あるこじのよしなしごと

東京の片隅で、妻と4歳の息子と三人で暮らしています。 ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、遊んだゲーム、育児について、その他日常などを綴っています。

漫画『笑ゥせぇるすまん』第5話「ナマケモノ」感想

漫画『笑ゥせぇるすまん』第5話の感想です。

感想の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。

他方、あらすじの紹介が主眼ではないので、話の枝葉末節は記載しないつもりです。そのため、本記事を読むだけでは物語の内容は分からない可能性が高いことも、ご了承下さい。

第5話「ナマケモノ」

お客様について

サラリーマンの佐保民夫です。不動産のセールスマンですが、なかなか契約も取れず、また家では嫁姑のいざこざや小さい娘の世話などもあり、なかなか気が休まりません。

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彼と喪黒さんが出会ったのは動物園でした。そこでナマケモノがうらやましい、理想の存在と喪黒さんに伝えてしまったのですが……。

サボリーマンと理想像

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場所は変わって、佐保と喪黒さんは、今風に言うならスーパー銭湯のような所に移動しました。佐保は営業回りをサボっては、スーパー銭湯で油を売っているようです。佐保曰く、

月の十日や十五日は日中こうやってヒマを潰しているんです

休みすぎでしょ! これ、十日と十五日(2日間)じゃなくて、10〜15日間って意味ですよね。

なお、この作品の連載期間を調べてみたら、1969〜1971年の間との事でした。週休二日制が広く企業に導入されたのは1990年代との事ですから、月の稼働日は25日程度となります。とすると、大体月の三分の一から半分以上はサボってる事になりますね。

それてよくセールスマンが務まりますね、と敏腕セールスマンの喪黒さんが言うと

これで中には変わった客がいまして、一発で買ってくれる人もいるんですよ

と佐保の弁。

ちなみにこのシーンをアニメ版でみると「務まらないから、こんな所(昼間から銭湯)にいるんです」というような台詞に改変されていました。さすがにそんな簡単に不動産は売れないだろうとスタッフが思ったのでしょうか? または、それをもう一歩進めて、商売を舐めるな的なクレームが来ることを警戒したのかもしれません。

そんな訳で仕事をサボりまくっている佐保。社内の月間売上ランキングでトップの同僚・細目からはあからさまに見下されています。

そんな彼から、忙しくて手が回らないから少し客を回してやろうかと提案されると

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その施しを受けることはせず、自分で契約を取るぞと発奮しています(結局、契約は取れませんでしたが)。

また、その後喪黒さんが代わりに契約を取ってきてくれたことで細目のランキングを追い抜くと

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嬉しそうですね。

また、喪黒さんが物語の終盤で、いよいよ佐保を「本当のナマケモノ」にしようと迫ったときには

ふざけるなっ! 僕はナマケモノなんかになりたくないんだ!

と言っていました。

これらの描写をみる限り、佐保自身、営業成績はどうでもいい、他人との競争にも興味が無い、というわけではないようです。自身の理想はやはり、契約をきちんと取って稼げるセールスマンなのでしょう。喪黒さんに語ったナマケモノになりたいという思いは、一種の現実逃避に過ぎないわけです。

喪黒さんの能力

しかし、喪黒さんは止まりません。佐保の元々の望み(?)通り、佐保をナマケモノにしてしまいます。

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ドーン! とやっていますが、何を隠そうこのドーン!こそが漫画の中で初めて喪黒さんが放ったドーン!です

より正確に言うと、これまでにも喪黒さんの言動に「ドン!」「ドーン」などの表現は出てきていました。しかし、アニメ版で激しい光と共に繰り出される、決め技的なドーン!にあたるものは漫画版では未登場でした。しかし、この話から、喪黒さんの決め技としてドーン!が定着し始めます。

第5話では作品の扉絵(タイトルページ)、途中での佐保への気合い入れ、そしてラストの決め技と3回もドーン!が登場しており、この回から喪黒さんの決め技としてのドーン!を読者に印象付けようという意図が感じられます。そして実際にこの話以降、終盤でドーン!→ラストシーンへ、という流れが徐々に固定化されていきます。

また、喪黒さんの能力の範囲も、この話で一線を越えます。これまでの話の感想では、喪黒さんの能力について、それが普通の人間でも可能な範囲であるか、または催眠効果など普通の人間には難しいか、などといった実現可能性について語っていました。

しかし、この話では喪黒さんのドーン!一発で佐保は廃人化します。ここから、喪黒さんの能力が一般人の範囲を超越し、人外の存在であることが確定したといえるでしょう。

喪黒さんにおけるドーン!という技の定着、また、完全に悪魔的な存在であることの確定など、以降の喪黒さんのキャラ付けを行うという観点からすると、第5話は大きなターニング・ポイントになっていると思いました。

以上、『笑ゥせぇるすまん』第5話の感想でした。