もしも自分の思い通りに時間を巻き戻す能力を手に入れることができたら?
こんな誰もが一度は考える事を疑似体験できるゲームが『LIFE IS STRANGE』です。ちなみに対応ハードはPS3またはPS4、あとスマホアプリ版もあります。
主人公について
彼女が主人公のマクシーン・コールフィールド、通称・マックス。カメラが好きで、オレゴンにあるブラックウェルという学校で写真の勉強をしています。彼女が時間を巻き戻す力を得る所から物語は始まります。
マックスは能力を得るのと同時に、巨大な竜巻が自らの住む街であるアルカディア・ベイを呑み込む幻覚を目にします。やたらリアリティのある幻覚と、自身に備わった不思議な能力から、彼女は竜巻が本当に発生する可能性について危惧するのですが……。
時間を巻き戻す能力について
マックスが意図して手を前に差し出すと、自身の周囲の時間だけが巻き戻ります。自身の記憶や所有物・位置関係は巻き戻りません。
そのため、巻き戻る前の会話内容を記憶して相手に好印象を与える回答をしたり、一度見た出来事を覚えてこれから起きる出来事を予言したりといった芸当が可能です。
物語について
マックスは能力を手に入れてすぐ、学校内で発砲事件に遭遇します。被害者となる女性を救おうと時間を戻して対処するマックス。彼女が救った女性こそ、マックスが小さい頃の親友であるクロエ・プライスでした。
クロエは天真爛漫で素直な少女でしたが、母親を自動車で迎えに行こうとして父が事故死して以来、髪を染め、怪しげな連中とつるみ、不良化してしまいます。
マックスとは子供の頃に親友だったものの、マックスが引っ越したことで五年もの間、交遊が途絶えていました。マックスとクロエは様々な交流を重ねる事で、かつての友情を取り戻していきます。
クロエを凶弾から救ったものの、それがきっかけで町の権力者の息子に目をつけられるマックス。また、スクールカースト上位のビクトリアらとの諍い、友人であるケイトのイジメ問題、家庭不和に陥っているプライス一家との関わり合い、そして何よりアルカディア・ベイに迫る(?)竜巻など、諸問題にマックスは否応無しに巻き込まれていきます。
ゲームの面白い所について
「時を巻き戻す」ギミック
このゲームで最も特徴的なのが、やはりこの点です。
授業中にいきなり当てられて答えが分からなくても、正解を聞いてから巻き戻った上でしれっと正答したり。飛んできたボールが頭にぶつかって痛がっている友達に、予め声を掛けて回避させたり。気分はちょっとした神様です。
ゲームが進むと、ギミック的により面白くなっていきます。ここで、時間を巻き戻すときにはマックスの所有物や位置関係は巻き戻らないという点がポイントになってきます。
たとえば、事態打開に必要なアイテムを制限時間ギリギリまで掛けて取得し、そこで時を巻き戻してアイテムを所持した状態からリスタートしたり。また、施錠された部屋のドアを破壊して強引に侵入し、時を巻き戻して部屋の内側から普通に解錠したり。一工夫する事で情報を探ったり、窮地を切り抜けたりしていける所が楽しいです。
ただし、マックスの時間を巻き戻す能力は無限ではありません。ある一定の時間までしか戻せないという制約があるのです。
数多くのストーリー分岐
各シーンが進むごとに、ゲーム上そこから前には戻れなくなります。マックスが時を戻せるのは、あくまで各シーンの中だけであり、そこをまたぐと前のシーンに戻る事はできません。
たとえば、クロエと一緒にいる際に友人から電話が掛かってくるというシーンがあります。自分としては当然のように電話に出たのですが、クロエからは目の前にいる自分を蔑ろにするのかと非難されます。それなら……と時間を巻き戻して、今度は電話に出ない事にしました。すると、クロエは気分を害さずに一緒に出掛けようと声を掛けてきました。しかし、掛かってきた電話は結果的に無視してしまう事になります。
このシーン自体は巻き戻して、何度でもやり直せます。ですが、ここからシーンが進むと、そこで選んだ行動選択が確定し、もう他の選択はできません。よってプレイヤーは何度か巻き戻して短期的に何が起きるかは確認しつつも、長期的にはどういう影響があるかは分からない中で、行動選択していかなければならないのです。
選んだ結果が良かったかどうかは、当然ながらすぐには分かりません。
また、登場する選択肢がどれもとても悩ましいんですよね。こっちがいわゆる「 正解」だろう、という風に判断できる選択肢が少ない。良い意味で常に悩ましい選択を強いられます。
しかも、ゲームはオートセーブ。簡単にはやり直せないため、多くのプレイヤーは主人公であるマックスに強く感情移入しながら物語を進めていく事になります。
海外ドラマのような雰囲気と音楽
『24』などの海外ドラマの雰囲気が随所に感じられます。特に、世界観や人間関係などについてはかなり練られていると感じました。
そして、音楽も凄く良い。聞いていて、良い意味で頭が空っぽに近づいていくような、そんな曲調です。ゲームを製作したのはフランスのメーカーなのですが、言われてみればそれっぽい感じもします。
雰囲気はトレーラーを見てもらうのが一番伝わりやすいと思うので、貼っておきます。
まとめ
一方的に話の受け手にしかなれない映画やドラマと違い、自らの手で登場人物を動かし、物語を進めることができるのがゲームというメディアの大きな特徴だと思います。
そんなゲームでも、結果として一本道をなぞる事になる作品も多い中、ライフイズストレンジはゲームというメディアの特性を上手く活かし、自らの手で登場人物に行動選択させ、結果として未来が変わることをプレイヤーが実感できる作りになっているため、強く世界に入り込むことができます。
実はこれを書いている時点ではまだプレイ途中(既プレイの方にだけ伝わるように書くと、クロエと映画『ブレードランナー』を観ている辺り)なのですが、今の時点ではかなり面白いです。ゲームクリアまで至ったときにまた新たな感想が得られれば、それについても言及してみたいです!