あるこじのよしなしごと

東京の片隅で、妻と4歳の息子と三人で暮らしています。 ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、遊んだゲーム、育児について、その他日常などを綴っています。

漫画『笑ゥせぇるすまん』第9話「たのもしい顔」感想

漫画『笑ゥせぇるすまん』第9話の感想です。

感想の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
他方、あらすじの紹介が主眼ではないので、話の枝葉末節は記載しないつもりです。そのため、本記事を読むだけでは物語の内容は分からない可能性があることも、ご了承下さい。

第9話「たのもしい顔」

お客様について

サラリーマンの頼母雄介です。役職は課長。その頼り甲斐のある姿について、職場や行きつけのバーなどで常日頃から称賛され、頼られる存在です。

その容姿が俳優に似ていると街中で女性にいきなり声を掛けられる頼母。ちなみに芦田伸介さんは実際にいらっしゃる俳優さんです。藤子A先生とはゴルフ仲間だったようですね。また、漫画『少年時代』が映画化された際にはキャストの一人として出演もしています。

さて、そんな頼り甲斐のある男として周囲から讃えられている頼母ですが、一つの大きな悩みがありました。

夜中の公園で喪黒さんと出会った頼母が語る悩み。それは、人から頼りにされる事に対する重圧・疲弊感でした。自分はいつも頼りにされるばかりで、誰にも頼れず、弱みも見せられないのだと。

共感型お客様の典型

笑ゥせぇるすまんに登場するお客様は大きく二つに大別されます。

一つは専門家であったりあるいはマニアックな嗜好・境遇が絡んだりするため、受け手にはあまり共感できない「非共感型」。もう一つは、サラリーマンや学生など、その辺にいそうなタイプの「共感型」です。

頼母は典型的な共感型のお客様です。周りから頼られるばかりで、自分が弱音を吐く場所が無い父親。この漫画が連載されていた昭和の当時は良くも悪くも男女の分業が今よりも強かった世相ですから、このエピソードに共感を覚えた人は多かったでしょう。

このエピソードは漫画では第9話ですが、テレビ番組『ギミア・ぶれいく』内で放映されたアニメ版では第1話に配置されていました。記念すべき第1話として、このエピソードが採用されたのは、そうした視聴者の共感を得られると放映サイドも考えたという事なのかなと感じます。

「救済」のその果てに

その後も会社や家族、果てはバーの女性にまで頼られ、寄りかかられ続けた頼母は、ついに切れてしまい、喪黒さんが紹介してくれるという「頼れて甘えられる女神」の元を訪れます。果たして、その女神というのが……。

ラストは割愛しますが、この話は画的にも大きなインパクトがあるためか、そのオチの衝撃度と比例して、知名度が高いように思えます。この話だけはオチを知っている、という人もいるのではないでしょうか?

また、漫画版とアニメ版では若干ラスト以降の内容が異なります。アニメ版では後日談があるのです。

漫画版では頼母が「救済」された後の様子は描かれません。一方、アニメ版では「頼母に対して救いの手を差し伸べるか、嫌悪感により離れるかで今後の頼母家は変わる」という旨の喪黒さんのモノローグを経て物語が幕を閉じます。

その後、アニメ版のみの別エピソード『湯けむり哀歌』の中で、ワンシーンですが頼母のその後に言及されており、頼母は一度離婚後、再婚したという話になっていました。この再登場時の頼母は以前の凛とした姿ではなく、だらけきった様子でしたが、今の家族は甘えさせてくれると嬉しそうに語っています。結婚相手が果たして誰なのかは少し気になるところですが、その様子だけ見ると頼母はとても幸せそうでした。

漫画版では破滅(?)しか描かれなかった頼母ですが、アニメ版では理解ある家族を得て、最終的には満たされているようでした。理不尽な破滅のみを描く漫画版も良いですが、アニメ版でこうした形の改変もたまにあると、少しホッとする気がしますね。

以上、『笑ゥせぇるすまん』第9話の感想でした。