あるこじのよしなしごと

東京の片隅で、妻と4歳の息子と三人で暮らしています。 ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、遊んだゲーム、育児について、その他日常などを綴っています。

漫画『岡崎に捧ぐ』1〜4巻の感想/変わりゆく自分と変わらない親友のお話

ざっくり言うと

漫画『岡崎に捧ぐ』1~4巻の感想。爆笑必至の自伝的漫画。1990年代頃のホビーが懐かしく、幼少期から青年期を迎えるにあたっての心境・環境の変化が切ない。

山本さほさんの漫画『岡崎に捧ぐ』が大変面白かったので感想を書きました。1〜4巻までを読んでの感想です。なお、作品を紹介する上で、物語の展開について若干のネタバレをしています。ご注意・ご了承下さい。

どんな漫画?

山本さほさんが自身の体験談を元にして描いた、エッセイ漫画です。期間は小学校から高校卒業後まで(既刊分)。雑誌「ビックコミックスペリオール」で連載されていました(現在は完結)。

山本さほさんがこれまでに接してきたカルチャー、タイトルにも出ている岡崎さんとの友情、子供の頃の万能感、そして成長するにつれて体験する挫折など、幅広い内容が、多くのコメディ要素に若干のシリアス要素を交じえ、描かれています。

以下、作品の魅力について記載していきます。

作品の魅力

登場する懐かしの遊びやゲームの数々

作中には、1990年代に子供たちの間で流行った遊びやゲームがしばしば登場します。山本さほさんは1985年生まれで、私は1981年生まれなので多少の差はありますが、「あったあったこれ!」と云うようなオモチャやゲーム類が沢山出てくるのでワクワクします。

たとえば、山本さんが岡崎さんと「らんらんらんど」でプレイするアヒルのヨーイドンなど、懐かしすぎます!

競馬の要領でアヒルの競争に対してベットするゲームです。きちんとオッズがあり、いわゆる単勝と馬連の二通りで投票できました。大穴で当たればメダルがザクザクです。私も近所のショッピングセンターのゲームコーナーに置いてあって、よく遊んだ記憶があります。

また、激レアのたまごっちを手に入れるためにコックリさんに勤しむ姿も描かれていました。たまごっちもコックリさんも懐かしいですが、そのコマにちらっと書かれている「ダイナミック ダイクマ〜🎵」という歌も神奈川県人にとってはかなりの懐かし要素です。

ダイクマは、かつて神奈川を中心に店舗を展開していたディスカウントストアです。ちなみに今はヤマダ電機に吸収合併されています。私はダイクマは全国区だとかつて勘違いしていたのですが、大学で知り合った友人や妻には「ダイクマ……?」と話が通じなかった事から、ローカル展開だったことを知りました。

調べたところ、山本さほさんは横浜市緑区で子供時代を過ごされたようでした。私はその隣の旭区で生まれ育ったので、この作品に対して、小さい頃の空気をより濃く感じているのかもしれません。

中学生の頃になるとプレイステーションが登場。『パラッパラッパー』ではなく、『ウンジャマ・ラミー』『バスト ア ムーブ』辺りが取り上げられているのが面白い。ちなみにパラッパラッパーは1996年、ウンジャマラミーは1999年、バストアムーブは1998年にリリースされました。つまり、前者は山本さんが小学生の時、後者2つは中学生の時に発売されている訳で、中学の頃にやり込んだゲームとなると、ウンジャマラミーになるのでしょうね。

更にはドリームキャストも登場します! これも懐かしいですね。このハードが供給された頃から、オンラインゲームが家庭でも気軽に楽しめるようになりました。山本さんが『スペースチャンネル5』をプレイするカットがあるのですが、私もサントラを購入するくらいハマったゲームなので共感しました!

これ以外にも、自分が小さい頃に熱中したカルチャーが多数描かれており、読んでいて懐かしい気持ちになります。

親友の岡崎さんらとの友情

これら子供の頃の懐かしい遊びの数々を楽しむ山本さんのそばに常にいる存在、それが岡崎さんでした。

友達の家に行ったら、ふとした事で帰されてしまい、そこで岡崎さんが家に誘うところから、二人の付き合いは始まります。

岡崎さん宅は両親が自由奔放で、かなりの放任主義……というか、ネグレクト一歩手前。しかし、山本さんは親が過保護気味だった事もあり、「何でもあり・自由」な岡崎家に魅力を感じ、足繁く通う事になります。

二人の関係は見ていて羨ましいの一言です。見事にウマが合ったというか、二人で遊ぶ・過ごす時間が楽しく、そして自然体であったということ。それが作品を通じて強く伝わってきます。

私も小学生の頃など、その時々での友人関係はあるものの、進学や就職、そして引越しなどに伴い、自然とそうした関係は途切れていきました。小さい頃からの継続した親友関係というものに縁遠い自分には、山本さんの岡崎さんらとの友情の姿が大変に得難く、眩しいものとして映るのです。

中学生になっても二人の仲は良いままです。ちなみに岡崎さんの他にもう一人、幼馴染みがいます。それが杉ちゃんです。タイトルに登場するだけに岡崎さんが親友という印象が強いものの、杉ちゃんともかなり深い関係が構築されているのが作品を読んでいると分かります。

高校時代の夏休みには、岡崎さんと杉ちゃん、三人で鉄道旅行へ行ったりもします。行き先は福井で、利用するのはもちろん青春18きっぷです。

大人になっても三人の関係は続き、これはある年の山本さんの誕生日。高級スーパーで食べたいと思った物を、思う存分食べられるというプレゼント。これは嬉しいですね!

三人の友情は変わらず続く中で、各人を取り巻く環境は変わっていきます。小学生〜中学生の頃は全体的にギャグ要素ばかりで、楽しい出来事ばかりでしたが、高校に進学し、将来の進路というものを意識し始めた辺りから、山本さんの苦難が始まります。

青年期の成長と挫折

絵が得意だった事から美大を目指し、予備校に入る山本さん。しかし、そこの予備校講師から受けるのは理不尽な指導ばかり。しかし、山本さんが何より堪えたのは絵が上手かった自分よりも、更に才能があると思わされるクラスメイト達との出会いでした。

自分が一番、あるいは、そうでなくても何かしら特別な存在であると信じる事は若い頃なら誰でもある事だと思いますが、多くの場合はそれが幻想だったと打ち砕かれ、自分も他の人々と同じ、普通の存在であると思い知らされる時が来ます。そうした、誰もが通る理想と現実の狭間に苦しむ姿が、ギャグタッチを時折挟みつつも物悲しく描かれており、読んでいて切なくなります。

その後、紆余曲折あって山本さんは関西へ一時的に移住し、バイトで生計を立てる事に。旅行で訪れた大阪で出会った人たちが気に入っての移住でしたが、いざ移住してみると文化の違いに振り回される事に……。

そんな折、地元での成人式に参加するため、職場の社員さんに平身低頭して何とかバイト先の休暇を取得した山本さん。久しぶりに地元に戻り、皆と楽しい時間を過ごせたものの、その別れ際、一人で夜行バスに乗って帰らなければならない時に、溢れる寂しさから涙をこぼしてしまいます……。

そして完結へ…

やがて、遠地での生活に疲弊し、地元の関東に帰ってくるも、これといった目標もなく、ただ空費する日々……。自分は何をやっているのだろうか。山本さんの胸を、そんな想いが占め始めます。

子供の頃は何でもできていたし、何にでもなれそうだった自分。しかし、歳を重ねるにつれ、そうした万能感は薄れていき、現状はまともに就職もできていないという体たらくであることに、山本さんは自虐的になっていきます。

一方で岡崎さんの中では、山本さんは前と変わらない、楽しくて行動力のある昔のイメージのまま変わっていませんでした。そのため、飲み会とかでも語られるのは「輝いていたときの山本さん」のこと。それが、山本さんには辛くなっていきます。

そもそも、実際に岡崎さんの目からは、この時の山本さんも昔と変わらない姿で映っていたのかもしれませんが、自虐的になっている山本さんには、岡崎さんが持つ自身に対するイメージと、セルフイメージとのギャップが耐え切れず、とうとう連絡を絶ってしまいます。果たして二人はこのまま仲違いしてしまうのか? ……というところで4巻は終わり、5巻へと話が繋がっていきます。

「ビックコミックスペリオール」での連載はこの記事を書いている時点で既に完結しており、5巻が最終巻になるとのこと。そして、最終巻である5巻の発売日は2018/10/30と発表がありました。今から発売が待ち遠しいです!

【追記(2019/1/5)】最終巻(5巻)を読み終えての感想記事をアップしました。

《要望》『無慈悲な8bit』も是非電子化を!

ここまで『岡崎に捧ぐ』についてずっと語ってきましたが、同じく山本さほさんの作品をもう一つ取り上げたいと思います。

それが『無慈悲な8bit』です。こちらはゲーム雑誌『週刊ファミ通』における連載漫画で、話題はもちろんゲームの事です。『岡崎に捧ぐ』の中で登場するゲームの話題の描かれ方から、この漫画は絶対に面白いだろう!という確信がありながら、現時点で未読の状態です。というのも、『岡崎に捧ぐ』をはじめ、山本さほさんの作品の多くが電子化され、kindleなどで購入できる中で、『無慈悲な8bit』だけは電子化されていないのです。

上のツィートを見る限り、念願の電子化について具体化されつつある様子ではあるのですが、2018年8月末時点では購入はできません。

もしkindleで発売されたら絶対購入するので、是非電子化をお願いしたいです! 読者層(多分多くがゲーマー?)を考慮しても、kindleで発刊されたら購読したいと考えている人はきっと沢山いると思います。

以上、『岡崎に捧ぐ』の紹介、並びに『無慈悲な8bit』の電子化への要望でした。

【追記】『無慈悲な8bit』電子版発売決定!

『無慈悲な8bit』の電子版の発売について、山本さほさんのツィートで発表がありました!

発売日は2018/10/15とのことです。Amazonでは既に予約注文も受け付けています。10月末には『岡崎に捧ぐ』の最終巻も発売ですから、今月は楽しみが一杯ですね! 

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