あるこじのよしなしごと

東京の片隅で、妻と4歳の息子と三人で暮らしています。 ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、遊んだゲーム、育児について、その他日常などを綴っています。

漫画『笑ゥせぇるすまん』第13話「手切れ屋」感想

漫画『笑ゥせぇるすまん』第13話の感想です。

感想の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
他方、あらすじの紹介が主眼ではないので、話の枝葉末節は記載しないつもりです。そのため、本記事を読むだけでは物語の内容は分からない可能性があることも、ご了承下さい。

第13話「手切れ屋」

お客様について

タレントの坊田進一です。名前のゴロは分かりませんでした。本人の考え方が幼い(坊ちゃん)という意味合いなのでしょうか?

彼はクラブ「マタドール」の千子という女性と関係を持ちながらも、ある理由で穏便に別れたいと考えていました。

その理由とは、千子とは異なる女性と交際していること。こちらが結婚を前提とした、いわば本命の彼女なのでしょう。

坊田は千子との関係についての縁切りを依頼すべく、知り合った喪黒さんに連絡を取ります。

千子との関係について語る坊田。対する喪黒さんのバッサリ切り捨てるような言い方は笑えます。

スナック 魔の巣

依頼を受けた喪黒さんは、千子との話を付けると言って、すぐさま出発します。その間、坊田は一人待ちぼうけ……。

手持ち無沙汰になった坊田は、「魔の巣」のマスターに、誰もが気になっている事を問いかけます。

不審すぎるが故にお客様の誰もがスルーしている、喪黒さんは何者なのか?という根源的な問い。

しかし、残念ながらそれに対して魔の巣のマスターはノーコメントでした。

ちなみに漫画版のこの話の時点では、魔の巣はスナック魔の巣」となっています。アニメ版でよく知られる「BAR魔の巣」とは微妙に名称(というか店舗形態)が違います。また、マスターの見た目もアニメ版とは違いますね。

なお、「スナック魔の巣」は第3話で初登場します。

ちなみに「BAR魔の巣」の表記は漫画原作では第21話にて初めて登場します。そちらについては、21話の感想を書く際に言及しようと思います。

子供の頃は意味が分からなかったラスト

魔の巣に戻ってきた喪黒さんに坊田が首尾を確認すると、素直に身を引いてくれたとの事でした。良かったですね!

しかし……と坊田は思い悩みます。

身勝手に縁切りを望んだものの、自分のためを思って身を引くと発言した千子に対して、情が湧いたのです。

喪黒さんから、千子とはもう二度と会ってはいけないと忠告されていましたが、居ても立っても居られず、坊田は千子の部屋に歩を進めてしまいます。その結果、坊田は約束を破ったペナルティとして、喪黒さんからのドーン!を受けるのでした。

結果、坊田と千子が裸のままくっ付いて取れなくなるというラストなのですが……子供の頃に読んだときは、何が起こったのか意味が分かりませんでした(笑)

魔法? それとも超能力? 喪黒さんが人智を超えた力を持っているというのは子供の時分にも分かっていました。しかし、周囲の住人が疑問を持たずに事態を受け入れているという事が、不思議でなりませんでした。

ある程度歳を重ねてから再読した際、何が起きたのかについて、ようやく得心がいったのをよく覚えています。

ちなみにこのラストはアニメ版も一緒です。小学生くらいでアニメを見ていた場合、一体何が起きているのか、やはり不思議に思ったことでしょうね。

優しい人?ほど堕とされるという皮肉

ラストの下ネタはともあれ、この話は笑ゥせぇるすまんという作品の肝を実によく表現していると思います。

喪黒さんの口上の巧さや泥酔していた状況など、幾つかの要素が重なってはいますが、坊田は千子に対してあくまでドライに考え、縁切り出来た事を喜んでさえいれば、喪黒さんのドーン!は回避できたのです。

しかし、結果はそうはならなかった。坊田は千子に対する情を捨てきれず、つい彼女の部屋を訪れてしまいました。人間としての優しさが却って仇となったのですね。

まあ、これは単純な「優しさ」ではなくて、「罪悪感」や「気弱さ」というものも含まれるのかもしれません。そもそも、本当に優しいというか、誠実な人間であれば、二股はかけなかったでしょうからね。

しかし、真に自分本位な人間であれば、こうした行動は取らなかったとも、また思うのです。

けれども、そうした中途半端な優しさや気の弱さといった「人間らしさ」の持ち主こそが、喪黒さんの餌食にされてしまう……。何とも皮肉的なエピソードだと思います。

以上、『笑ゥせぇるすまん』第13話の感想でした。