ゴルフが好きだが腕前が悪いお客様の話。喪黒さんからの忠告を破るが、上司命令が原因なので可哀相に感じる。
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
漫画『笑ゥせぇるすまん』第25話の感想です。
感想の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
他方、あらすじの紹介が主眼ではないので、話の枝葉末節は記載しないつもりです。そのため、本記事を読むだけでは物語の内容は分からない可能性があることも、ご了承下さい。
第25話「ゴルフフリーク」
お客様について
サラリーマンの白玉教一です。名前の由来は一般的なゴルフボール(白い玉)から。
白玉さんはゴルフについて、いわゆる下手の横好きでした。その腕前は、ゴルフから帰ってすぐ、奥さんから順位についてからかわれる程です。
ただ、奥さんはからかいながらも、優しく夕飯や晩酌の準備をした上で、ゴルフが唯一の楽しみと語る白玉さんに対し、
楽しみならもっと楽しんでやって下さいな。あなたを見てると、まるでゴルフを苦しみながらやってるみたいよ。
と諭します。少なくとも、白玉さんの趣味を制限するつもりはなく、より良い趣味との付き合い方について、提案している思慮深い女性でした。
この点で白玉さんは、冷え切った家庭が舞台の「月下美人」などのエピソードなどと異なり、大分恵まれているほうに感じますね。
さて、奥さんは優しく声を掛けたつもりでしょうが、白玉さんにとっては逆効果でした。白玉さんは悔しさも相まって、突如寝間着のまま、夜の公園へとゴルフ練習に繰り出します。
しかし、その練習中にクラブが白玉さんの手からすっぽ抜け、それが喪黒さんに命中するのでした。
下手したら(というか普通なら)致命傷、よくて大怪我というところですが、喪黒さんは無傷です。この展開は「ゴルフ入門」の話と一緒ですね。
白玉さんは喪黒さんに自身のゴルフの成績が振るわない事、会社でも共にプレイする人々に馬鹿にされて悔しい事などを伝えます。すると、喪黒さんは後日、ゴルフクラブ作りの達人が作ったというクラブを白玉さんに貸し出すのでした。
陰の組織?
喪黒さんから借りたクラブで白玉さんは、社内ゴルフでこれまでと見違えるプレーをし、スコアを驚異的に更新します。しかし、それに対して上司である部長が納得がいかないと言い出し
これは何かのマチガイだ!
ようし! 今度の日曜にあらためて対戦しよう! そこでもし白玉くんが勝ったら三万円やるよ!
と勝負を吹っかけます。どんだけ大人気ない上司だと思いますが、白玉さんは喪黒さんから借りたクラブがあれば負ける訳が無いとその申し出を受けます。
BAR 魔の巣で喪黒さんに、クラブのお礼と共にその事を報告する白玉さんに対し、喪黒さんは
あのクラブ、せいぜいお使い下さい。ただし、念を押しますが、絶対に他の人に使わせないように!
と再度忠告します。もう何となく先が読めたかもしれませんが……。
大方の皆さんの予想通り、白玉さんはクラブを件の大人気ない部長に貸してしまうのでした。
しかし、白玉さん以外が利用しても効果が無いため、ボールは大して飛ばず……。部長はこんなもん使えないと白玉さんにクラブを返します。
さて、クラブを返してもらった白玉さんでしたが、次のショットは見当違いの方向に飛んでいき……。
ヤクザ(?)のような集団のお偉いさんにヒットしてしまいます! これはヤバい。この後どうなるかについては読み手の各人の想像力に委ねられ、物語は幕を閉じます。
ちなみに輩の帽子にはバツ印が印字されています。これは、藤子A先生の別作品『プロゴルファー猿』における「影の組織」のトレードマークですね。A先生のちょっとした遊び心が見て取れます。
大体、部長のせい
このエピソードでは、他人にクラブを貸してはいけないと喪黒さんから忠告を受けたにも関わらず、クラブを部長に貸し出してしまった事がきっかけになる訳ですが……。
はっきり言って、白玉さんがクラブの貸し出しを断るのは無理な話でしょう。上司から部長命令とまで言われれば、大抵の人は止むを得ずクラブを貸すと思います。
実際、白玉さんはクラブを貸し出すように言われた時、最初は喪黒さんとの約束を思い出して一度断っているのです。しかし、部長の押しに負けてしまい「仕方がない」とクラブを差し出してしまいました……。
そもそもの話の始まり自体が、部長による白玉さんへの揶揄などが一因である事を考えると、この大人気ない部長さえいなければ良かったのに……と思わざるを得ませんね。白玉さん、不運なお客様でした。
以上、『笑ゥせぇるすまん』第25話の感想でした。