学園祭二日目の夜の様子が描かれる。二日目の夜、一花のもとに姉妹の誰かが倒れたとの一報が入る。その後、風太郎と二人になった一花は彼の真意を聞き出そうとしつつ、花火大会の夜を共に過ごした公園で彼にキスを仕掛ける。
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
漫画『五等分の花嫁』102話「最後の祭りが一花の場合②」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
なお、下記は前話(101話)の感想・考察記事、および、感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。
◾️前話の感想・考察記事
◾️感想・考察記事 一覧
出来事のおさらい・感想
102話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。
- 一花のもとに姉妹の誰かが倒れたとの一報が入る。
- 一花は病院に行き、二乃と風太郎に出会う。
- 一花は風太郎と夜の公園に赴き、本当は誰に好意を持っているのかを聞きだそうとする。
- 一花は風太郎にキスをする。
102話は予告通り、再び一花がメインの回でした。一花は二日目、学園祭には来ていない筈では? と思っていましたが、その夜に彼らが出会っていた様子が描かれました。なるほど、こういうやり方があるのかと思いました。
今週も矢継ぎ早に様々な謎が提示されました。果たして誰が倒れたのか、風太郎はどういう思いで自動販売機の前に立っていたのか……。
そして、最後には一花からのキスという思いもよらない場面が描かれました! 息もつかせぬ展開とはまさにこの事ですね。
以下、今回特に気になった点を考察します。
考察
倒れたのは誰なのか?
冒頭で一花のもとに、姉妹の誰かが倒れたという一報が入ります。そして、それが一体誰なのかは明かされませんでした。
二乃は風太郎と共にお見舞いにきていたので除外されるとして、可能性があるのは三玖・四葉・五月の誰かですね。
私は最初に話を読み終えた時、この出来事が一日目の夜の事と勘違いしてました。そのため、二日目(竹林が学園祭を訪れた日)には結局、学校に来たんだなーとか頓珍漢な考えに及んでいました。
実際には、この出来事が起きたのは、繰り返しになりますが二日目の夜の事でした。よって、病院に担ぎ込まれることとなった彼女は、三日目の告白の場面に居ない可能性も出てきました。
もっとも、風太郎たちが集まっているのは三日目の夜と思われるので、無事に復調して学校まで来る可能性も勿論ありますが……。
果たして、一体誰が倒れてしまったのでしょうか?
素直に考えるなら四葉
一番素直に考えるなら、最も疲労が溜まっていそうなのは明らかに四葉です。そのため、彼女が倒れた可能性が一番高そうです。
そもそも、100話では何故か学級長の仕事が免除されていた風太郎。一方、その裏で四葉は忙しそうにしていました。
もしかしたら彼女が風太郎の仕事を何らかの意図で肩代わりしていたのかもしれません。そして、そうした無理がたたって彼女が倒れたのだとしたら、話としては分かりやすいです。
また、お見舞いに来た二乃や風太郎と共に、最も体力がありそうな四葉が同行していない点も気に掛かります。彼女自身が倒れたのでない限り、四葉は付いてきそうですよね。
二乃と店番をしていたのは五月
一方で、姉妹の中で何故二乃だけが付き添ったのかを考えると、倒れたのが二乃と共に店番をしていた五月だったからとも考えられます。
五月は疲労の色を見せていませんでしたが、連日の勉強で疲れが蓄積されていたのかもしれません。
三玖や四葉がお見舞いに来ていないのは、倒れた時にそれぞれ別行動を取っていたからとも解釈できます。
お見舞いに来ていないのが不自然なのは三玖
更に観点を変えて、何故二乃以外の姉妹がお見舞いに来ていないのかの理由を考えてみます。
すると、四葉は学級長の仕事がありますし、また五月はお見舞いはいいから勉強をしていろと二乃あたりに言われていてもおかしくはなさそうです。
とすると、もし倒れていないなら、一番お見舞いに来ない理由が見当たらないのは三玖となります。
三玖はもともと姉妹の中では一番体力が無いので、学園祭での疲労から倒れる可能性もありえなくは無いでしょう。
もっとも、それ故(体力切れのため)に三玖はお見舞いに来られなかったのだとも考えられるのですが……。
結局、誰が倒れたんだと思う?
月並みな答になりますが、私は倒れたのは四葉と考えました。
まず上で書いた通り、三人の誰もが倒れている可能性はあります。しかし、三人の中で倒れた場合に学園祭にもたらす影響が最も大きそうなのが四葉です。
三玖と五月が倒れた場合、穴が開くのはクラスの屋台だけですが、四葉が倒れると影響が出るのは演劇部の代役に学級長の仕事となり、そのインパクトは大きいです。
四葉が無理を押して出席するのか。それとも演劇部は一花(三日目はオフらしいので出られるでしょう)、学級長の仕事は風太郎が穴埋めするのか。
その先の可能性は色々考えられますが、こうした展開の多様性を考えると、この場面で倒れてしまったのは四葉ではないかと思いました。
一花は風太郎の真意を確認しようとする
一花は風太郎と歩く中で、
そういう素直な気持ちを大切にしなよ。だから、誰も選ばないなんて言わないで。
と話しかけます。
このことをストレートに解釈するなら、やはり風太郎は誰か一人を選んでおり、彼の「告白しない」という発言は何らか風太郎がややこしく考えた結果、出てきたものと一花が考えているということが読み取れます。
実際、風太郎の気持ちはどうなのでしょうか。それを知るために一花は「自動販売機の問い」を仕掛けます。
選択肢の中に自分が入っていないのは、何とも切ない話です。
ただ、これはあくまで一花の指定した選択肢であって、風太郎が迷う中には一花も含まれていることが本人から示唆されました。それを聞いて顔をほころばせる一花の様子は何とも可愛らしいです。
さて、問いを提示されたフータローが一花のもとに戻ってくるまでには15分も掛かってます(もう10分経ってるけど、と一花が心の中で独白してから更に5分後に戻ってきているので)……長い!
さすがに待たせすぎに思いますが、それだけまだ風太郎も迷っているという事なのでしょうか?
長い逡巡の末、戻ってきた風太郎は結局、何かを買ったのか、また買わなかったのか、手元が見えないので分からないのは心憎い演出です。
何かを買ったとすれば、それは四人から誰かを選んだという意志を意味するのでしょうし、また買ってないとすれば、答を保留したのか、あるいは一花を選んだ(指定された選択の中に相手がいなかった)という意志とも取れます。
一花にとっての初キスと鐘キスの関係
誰にキスされたら嬉しいか問題
101話でも出てきたキスの問題。風太郎は一花の唇を見つめるなど、誰が相手かを引き続き気にしているようです。
一花はこの夜、
フータロー君は誰だったら嬉しいですか?
と聞いていました。
キスをされて嬉しい相手といえば、それは取りも直さず、自分が好きな相手です。風太郎は正面から問われ、動揺した事でしょう。
その後、自動販売機のやり取りを経て、この場面に至るわけですが、動揺している風太郎に対して、一花は更に自分からキスをしました(!)
その上で、こう問いかける一花。
これは、風太郎にとってはキスをした相手(=キスをされたら嬉しい相手)が私であって欲しいという意味に他ならず、実質的な告白と同義でしょう。
修学旅行が終わる際には、その思いを全て嘘だと告げた一花でしたが、ここでは風太郎にその好意を伝えることができました。
一花は今度こそ、本当の意味で区切りを付ける事ができたように感じます。あとはこのキスを受けて、風太郎がどう考えるかですね……。
一花が初めてキスをしたのはいつ?
一花はキスの話題の中で、ドラマでのキスシーンについて言及していました。この中で
男の人とキスなんて今はまだNGかな。だから、君が初めて。
と語っていました。
この言葉を額面通りに受け取るなら、「(ドラマの中で女の子としたキスシーンはノーカウント)だから、君が初めて」と読み取れます。
これを更に厳密に考えると、もしノーカウントにしないなら女の子とのキスが初めてだったのだとすると、風太郎とキスをしたのはこの時が初めてとも考えられますね。
この話が導く結論は、つまり、鐘キスの相手は一花ではないという話になりますが……ただ、これは一花がキスの事を隠そうとしていない前提での話です。彼女が鐘キスの相手である事を隠そうとしているなら、上の話は嘘となるため、断定はできません。
風太郎は独力でキスの相手を見つけられるか
ただ、このところの風太郎の行動をみる限り、彼が鐘キスの相手を独力で見つけられるかは微妙なところです。
となると、その相手は女性の側からの自白が無い限り分からない展開が予測されます。
しかし、ここまできて自白しない時点で、仮に一花が相手だとしたらもう風太郎に自分から名乗る事はしないと考えられます。
そうなると、いつか風太郎が鐘キスの相手に気付く展開を迎えると仮定すると、自分から明かしそうにない一花が鐘キスの相手である可能性は低くなると考えられます。
ただ一方で、一花が一発逆転する展開も考えられるのです。
それが、今回のキスをきっかけとして、その相手が一花だったと風太郎のほうから気付くという展開です。
正直なところ、キスの感触だけでその相手の正体に気付くというのはかなり無理があるとは自分も思いますが……。
ただ、偽五月の正体を三玖だと雰囲気から察知した風太郎であれば、強ち不可能とは言い切れないかなとも思いました。
長男・長女のシンパシー
102話で感じた一つの点が、風太郎は一花が自身と同じく兄弟姉妹の中で最も上(長男・長女)であることに強いシンパシーを感じているのだなということです。
101話で、ショー君に「強いお兄さんであるように」と語る一花を眺めていた風太郎。
そこには、同じく兄妹の中で一番上の立場の者同士が抱える悩み、そしてまたある種の誇りのような感情が湛えられているように感じてなりませんでした。
まとめ
今週は、まさかの一花からの風太郎へのキスが描かれました。風太郎の心境が、このキスを受けてどう変化するかは気になるところですが、おそらく次話は別の姉妹の「一日目」の話に進むと思われます。
もし次話も一花の話で、また姉妹一人あたりに対して3話の枠を割くとすると、五人の話を描いた場合、全員の話が終わるのは116話となります。これは、13巻の終わりを迎えるのが計算上、113話である事を考えると、中途半端な感じがします。
他方、一人あたり2話ずつだとすると、全員の話が一通り回るのは110話。そこから、単行本終わりとなる113話に向けてクライマックスを迎えると考えると収まりがよいです。この事から、次話は別の姉妹の話に移ると思われます。
問題は、誰の話が描かれるのか?
生まれた順で行けば、一花の次は二乃ですが、その通りに進むとは必ずしも限りません。次の話は誰のエピソードなのか? これを予想してみるのも面白いかもしれませんね。
個人的な予想は……やっぱり二乃なのですが(笑)
以上、『五等分の花嫁』102話「最後の祭りが一花の場合②」の感想・考察でした。
§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。