学園祭一日目・二日目の二乃の様子が描かれる。二乃はマルオを招待したが、マルオが自身のもとを訪れない事にやきもきする。業を煮やした風太郎は、こちらからマルオの所に行こうと単車を駆る。
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
漫画『五等分の花嫁』103話「最後の祭りが二乃の場合①」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
なお、下記は前話(102話)の感想・考察記事、また最近作成した五等分の花嫁の早押しクイズ20問の記事、および感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。
◾️前話の感想・考察記事
◾️感想・考察記事 一覧
★『五等分の花嫁』早押しクイズ(全20問)
出来事のおさらい・感想
103話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。
- 二乃がマルオの来訪を待ち望む様子が描かれる。
- 勇也(上杉父)から、彼がマルオと同級生だった事実が語られる。
- 学校に来ていたマルオだったが、病院からの電話に応対する形で引き返す(?)
- 風太郎が二乃と共にマルオの所に出向こうとする。
103話はおそらく多くの人の予想通り、二乃がメインの回でした。二年の期末テストの時には登場順がバラバラでしたので、二乃以外の回となる可能性もあったと思いますが、ここは素直に一花→二乃、という流れでした。
まず、本編では99話で提示された謎解きの解答が明示されました。
この辺の小ネタも投げっぱなしでなく、きちんと解説を入れる辺り、ねぎ先生の親切さが感じられます。
風太郎は一見して謎を解いてみせます。流石ですね。単なる秀才ではなく、地頭の良さもあるのがよく分かります。
もっとも、風太郎は小学生の頃、四葉と誓いを立てて勉強する前から、ゲームの類はおしなべて強いと思われていたようです。
この辺り、勉強に対する興味が無かっただけで頭の回転はもともと早かったのだろうと思わされます(ゲームが強い=頭の回転が早い、というのはある種の偏見かもしれませんが、私の中ではそう繋がってます・笑)
二乃がオープニングアクトに出たのは四葉の代わりだった事も明かされます。結果的に四葉の負荷が分散されていたことを示す内容です。
となると、二日目の夜に倒れたのは四葉ではなかったのでしょうか?
しかし、それでもやっぱり張り切りすぎた四葉がオーバーワークになってしまった→倒れたのは四葉、という線も残りますので、これだけでは何とも言えません。
むしろ、二乃が引き受けていなければオーバーワークになっていたわけで、この辺はまだまだ危なっかしい四葉の行動が表現されているともいえます。
二乃は、舞台の上からならマルオが見えるかもしれないと思ったのも引き受けた理由の一つだと語るのでした。
以下、今回特に気になった点を考察します。
考察
マルオを待ち侘びる二乃
風太郎と四葉が来る前、友達と過ごす二乃。友達に親が来ていることを知ると、会うことを促している点からは、今の二乃が親との交流を重要視している様子が伝わってきます。
二乃はマルオが来るかどうかについて
- ま、ダメで元々。気にしてないけどね。
- もういいの。元から期待なんてしてないんだから。
とネガティブワードを連発しています。
しかし、風太郎はその発言を言葉通りには捉えず、二乃の強がり、または酸っぱい葡萄的な気持ちからの言葉と読み取ります。
また、ここで風太郎が「何とかして探そう」とか「会いたいに違いない」などの言葉ではなくて、
お前だって、勇気出して招待状送ったんだろ
という、二乃が取った行動を賞賛しつつ、かつ諦めてはならないという気持ちを鼓舞する内容なのが良いと思いました。メンタリスト顔負けです。
マルオの高校時代
マルオを探す中で勇也と出会った風太郎ら。ここで彼らは勇也とマルオが同級生であった事実を初めて知ります。
このことは、98話時点ではかなり強く示唆されていたので読者は驚く話ではないですが、作中の風太郎らは初耳で驚いていました。
なお、「少なくとも二人が知り合いなのは、スクランブルエッグ編のお風呂の場面のやり取りから、風太郎には想像がつくのでは?」という指摘がツイッターで書かれていて、確かにそうだなと頷かされました(笑)
この場面は単行本で
親父たち、同級生だったのかよ
的な台詞に修正される可能性が高そうですね。
ところで予想外だったのは、マルオは昔は別に不良などではなく、最初から優等生だったという点です。
というのも、私は過去の画にあったこの3人が上杉勇也・中野マルオ・下田(いわゆる上中下のトリオ)だと思っていたのです。
そして、勇也と下田が容姿からほぼ決まるので、残った眉無しの生徒がマルオと思っていたのですね。しかし、どうやらそれは違ったようです。
マルオは昔から優等生然としていたのですね。
マルオは実は昔は不良であり、そこから優等生に変身を遂げていた。その様子が、かつて金髪少年だったが今は成績優秀となった風太郎と被り、それ故の同族嫌悪からも風太郎を嫌っている。そういう事なのかなーと私は想像していたのですが、ここは考えを修正しないといけませんね。
学校から引き返すマルオ
一方その頃? かは分かりませんが、とにかく学校に来ていたマルオは携帯にあった着信に対し、バックコールします。
口調からして明らかに仕事先ですね。数少ない(であろう)休みの日くらい、上位者に頼らずに現場で何とかすべきだと思うのですが、マルオは病院でも上の立場なのでしょう。当然の事として、マルオは淡々と対応した上で
構わないよ、すぐ行こう
と学校を後にする(?)のでした。
正直、マルオには「娘の学園祭なんで無理」くらい言ってほしいです。管理職に代えはきかない……という事なのかもしれませんが。
職場の人間も、マルオが娘の学園祭に行っているなら何とか自分たちで解決する! みたいな気概を見せてほしいところです。が、多分マルオは何で休みを入れたのか周りには言ってないんでしょうね……。
まあ、仮にマルオが
今日、娘の学園祭だから休むわー
なんて周りに伝えていたら、それはそれでキャラ崩壊なので、難しいところです(笑)
ところで、例えばこのマルオが電話を受けたのが実は姉妹が倒れた事に起因する可能性はあるでしょうか?
つまり、五姉妹の誰かが倒れる→マルオの病院へ行く→マルオに連絡が入る→娘の事だからと慌てて引き返す、という可能性ですね。この理由なら、マルオが引き返すのは文句なしに納得です。
しかし、時間的にみて、この可能性は現実的ではなさそうです。
マルオが電話を折り返したのは、三玖のインタビューを見た直後でした(厳密にいうとページを跨いでいるので断言できませんが、時間の経過を示す空白のコマ等が一切無かったので、ほぼ間違いないとみてよいでしょう)。
そして、100話を読んだ方は皆ご存知の通り、三玖はインタビュー後に四葉と出会い、その後クラスの屋台の前で竹林と二乃・五月が対峙する場面に遭遇します。
ということは、この時点では誰も倒れていないのは明らかですので、これよりも前のタイミングでマルオが受けた電話は姉妹が倒れた事とは無関係と考えられます。
マルオの行動は、直接的に姉妹のためを思って為されたものではなさそうです。やはり、単純に仕事を優先したようにしか今のところは思えませんが……果たして。
あと余談ですが、この場面でマルオの革靴が描写されたのは非常に意味深です。というのは、
100話で描写された、このページで革靴を履いた人間の背後から誰かが迫るシーンにおける、靴の持ち主である可能性が高まったからです。
そもそも、マルオが履いている靴がはっきりと描かれたことがこれまでの話の中で一度も無かったのです。
これは私が調べただけなので見落としがあったら申し訳ありません(もしあったら、コメントで何巻何ページにあったみたいなご指摘頂けたら嬉しいです)が、デフォルメされた姿での登場こそあれ、しっかりと描かれた靴は見覚えがありません。100話を読んだ際に、マルオの靴かどうかを見定めたくて探したのですが、見つかりませんでした。
その上で、今回、マルオの靴が描かれました。ここから、この場面で靴を描写する事に意義があったのではないかと想像するのであれば、それは100話の靴の持ち主であることを示唆しているのではと考えたわけです。どうでしょうか?
もっとも、単に学生の革靴/ローファー等である可能性が消えたわけではないので、実は真相は違うが上のように考えをミスリードするための描写である可能性も否定はできないのですが……。ただ、ここはそこまで深読みしなくてよいかなと思うんですよね。
なお、仮にその人物がマルオだとして、背後から迫る人間が誰かは全く絞れていません。
よく言われるのが、五姉妹の実父という説ですよね。それはあるかなと思います。というか、張られた伏線的には最も可能性が高そうです。
ただ、103話を読んで、後ろから迫ったのは風太郎じゃないか? とも思いました。影の頭がやたらまん丸なのは、風太郎がヘルメットを被っているためとも解釈できます。
次回、104話でマルオに対峙するとして、その際に風太郎らが背後から声を掛ける構図になることがあるかもしれませんね。
二乃・風太郎の行動について
マルオのもとに向かう二人
さて、風太郎は上のマルオの動きはみえていませんが、単純に二乃の誘いをシカトしているのだろうと憤り、二乃を連れてマルオに会いに行こうとしているようです。
バイクに乗ってきた風太郎を見て、背景の女生徒が
上杉君か〜……
と内心でがっかりしている(のでしょう)のには、ちょっと笑ってしまいました。風太郎、そんなにバイクのイメージと合わないのでしょうか?
二乃にとっては、風太郎とバイクは愛すべき思い出の組み合わせです。
102話で一花とベンチの関連が再度描かれたのと共通点のある演出といえますね。
ケーキ屋店長が学園祭を訪れた理由は、二乃や三玖・五月と会うシーンを描くためというのもあるのでしょうが、物語構成上は風太郎が使用するバイクを用意するためだったということですね(と言い切っては身も蓋もないが……)。
まさか、マルオに会いに行ったが会えなかったという展開になる訳が無いでしょうから、二人がマルオがいると考える場所、すなわち病院にマルオがいるはずです。となると、やはりマルオは電話を受けて仕事をしているのでしょう。
ここで、風太郎がマルオに喝を入れて様になる場面を描くのであれば、マルオはそこまで緊急性がない仕事にも関わらず戻っていることになります。
一方で、マルオは淡々としていたが、どうしても戻らなければならない、のっぴきならない事情があったとすれば、風太郎の行動は肩透かしとなるわけです。
展開として予想できるのはやはり前者だと思うので、だとすると、マルオは姉妹との接触を避けて仕事に逃避したという話になるのかなと思うのですが……。
それとも、実はやっぱり何らかの事情があるのでしょうか?
もしそうだとしたら、上のような考えを抱いた自分は、マルオに全力でごめんなさいしないといけなくなりますね(笑)
お見舞いが二乃と風太郎だけだった理由
102話では、病院の元を訪れた一花が二乃・風太郎と遭遇していました。
何故この二人だけが来ていたのか? その意味については前話の記事でも考えていましたが、元々二乃と風太郎は二人で移動していたということが今回の話から分かりました。つまり、病院から直接バイクでその病院に向かった、あるいはそもそも同病院(マルオの病院)に運ばれてきたかのいずれかになるのですね。
なお、姉妹の誰かが担ぎ込まれた病院が何処かですが、個人的には前者、つまりマルオの病院ではないように思いました。そう考えたのは
一花も来てたのね
の「来てたのね」が引っかかりました。
もし二人が既にいる病院に一花が来たなら、「一花も来たのね」という語尾になりそうかなと。
「一花も来てた」という言い方からは、自分たちも報せを聞いて別の場所から移動してきたというように聞こえました……考え過ぎかもしれませんが。
また、二乃がお見舞いの後に学校に戻ろうとするのも納得がいきました。
学校からお見舞いのために病院に行くなら、普通は「後の片付けはやっておくよ」くらいはクラスメイトが言いそうなものと思っていたのですが、実際はまず私用で離れて、そのままお見舞いに来ることになったため、二乃は片付けくらいはしなければならないと考えたのですね。なるほど。
「倒れたのは誰か」再考
前回記事では倒れたのは四葉と考えていましたが、103話を読むと、まだまだ分からないと思い始めました。
まず、分かりやすく浮上したのが五月の可能性ですね。
倒れたのは四葉だと思ってたけど、五月の可能性も高くなってきましたね。
— あるこじ (@arukoji_tb) 2019年9月24日
一花編でベンチ、二乃編でバイクと過去に印象深かった何かが出てきました。
三玖はパン?(こむぎやさんも出てきたし)、四葉はブランコ?
五月は入院・お見舞いのテーマが扱われるとすれば……。
#五等分の花嫁
#ネタバレ pic.twitter.com/c7wgcVG4an
自身のツィートをそのまま引用しますが、一花のベンチや二乃のバイクと、過去に風太郎との関連があった要素を掘り起こす形でエピソードが構成されています。
となると、病院という構成要素と絡むのはベッドの横で会話を風太郎が交わした五月になります。
更に言えば、各種の状況から三玖が倒れた可能性も検討できます。
ブログ執筆中。色々考えると、倒れたのは三玖という可能性も?
— あるこじ (@arukoji_tb) 2019年9月25日
風太郎は一花との帰り、バイクを押していない。放置するとも思えないのでケーキ屋店長に病院で託したとすれば説明がつく。
彼が病院に居た理由がパン屋店長についてきたのだと仮定すると、その動機になりうるのは三玖。
#五等分の花嫁 pic.twitter.com/HA9ybvDjeh
再び自身のツィート引用。引っかかるのは、一花と帰る際に風太郎はバイクをどうしたんだ? という点です。
二乃と居たのがマルオの病院にしろ、そうでないにしろ、そこまではケーキ屋さんから借りたバイクで来たはず。だとすると、一花と帰る際には押していなければ辻褄が合わない。
そこから想像を飛躍させると、病院でケーキ屋店長に会い、そこで返した可能性が出てきます。
しかし、何故ケーキ屋店長が病院にいるのか? ここに説明を付けるなら、パン屋店長が姉妹の誰かが倒れた際に同行し、彼も行動を共にしたケースが考えられます。そして、彼女が心配して病院への同行までしそうな相手といえば、三玖という事になります。
倒れたのは単純に疲労が溜まってそうな四葉なのか、それともモチーフを重視して五月なのか? はたまた、消えたバイクの線から三玖なのか? 分からなくなってきました。
ケーキ屋店長とパン屋店長の関係は何?
上でも少し触れましたが、風太郎のバイト先であるケーキ屋(REVIVAL)の店長と、パン屋(こむぎや)の店長が仲良く学校を訪れました。
二人の関係が初めて示唆されたのは、いつだったか……と振り返ってみたら、91話でした。どんな関係なのか、過去記事でも色々と想像してました(笑)
やはり二人は仲が良さそうですね。事故をきっかけに知り合ったのか、それとも以前からの知り合いなのか?
そこまで引っ張るネタではなさそうなのに、一向にその関係性が明らかにされない点はなかなかに興味深いです。作品の本質に絡む要素が、実はこの二人の関係性に何らか隠されているのでしょうか?
ケーキ屋店長とパン屋店長の繋がりは、それぞれでバイトしている風太郎と三玖の繋がりの暗喩と取れなくもない……というのは、さすがに深読みのし過ぎでしょうか。
まとめ
今週は色々な話が上がりましたが、全体的に次の話への布石感が強いかなと感じました。
次回は104話。久し振りに風太郎が(おそらく)マルオと対峙する回であり、またコミックス12巻の最終話でもあるのです。これは波乱の予感がしますね。
なお、以前は4巻・8巻のラストで未来の結婚式のシーンが描かれていたので、 12巻のラストである104話でも同じようになるのではと考えを書いていました。
しかし、さすがに今の展開がぶった切られる事は無いでしょうから、未来の結婚式の描写は無さそうですね。
個人的には、マルオにビシッと決める風太郎が見たいのですが、一方でマルオには学校を離れなければならない事情があったという事であってほしいとも思うわけで……やや複雑な気持ちです。一体、次話がどう展開されるのか、とても楽しみです!
以上、『五等分の花嫁』103話「最後の祭りが二乃の場合①」の感想・考察でした。
§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。