あるこじのよしなしごと

妻・息子2人(2014生:小麦アレ持ち/2019生)と四人で暮らしています。ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、育児、その他日常等について綴っています。

漫画『五等分の花嫁』106話の感想・考察/三玖が不可能を可能に変えられると確信する

ざっくり言うと

学園祭二日目と最終日の三玖の様子が描かれる。三玖は二乃からパンケーキが零奈の味を再現していると告げられ、不可能な事などないのだという認識を持つ。その意識の下、三玖はクラス内の不和、そして風太郎を射止めるべく邁進する

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

漫画『五等分の花嫁』106話「最後の祭りが三玖の場合②」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。

なお、下記は前話(105話)の感想・考察記事、および感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。

◾️前話の感想・考察記事 

◾️感想・考察記事 一覧

出来事のおさらい・感想

106話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。

  • 最終日、三玖のパンケーキが零奈の味を再現できていることを二乃が伝える。
  • 三玖がクラス内の男子と女子の不和を解決する。
  • 三玖が風太郎にキスをする。

 

106話では大方の予読者の予想通り、三玖が風太郎に学校の屋上においてキスをしました。

一花や二乃がキスをしている中、三玖もキスをするのでは? と考えていた方は多かったと思いますが、その予想通りとなりましたね。

一方で、私は106話は未だ描かれていない一日目の夜の時間軸で物語が展開されるのでは? と思っていました。

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しかし実際には、本話は未踏の領域だった最終日において物語が展開される事となりました。

これは私にとって予想外で、最初に読んでいた際は私自身、最終日の様子が描かれている点に気付かなかったのですが、二乃がマルオのパンケーキに対する評価を知っている? 何故? と思って読み返したところ、最終日というカットが入っているのに気付いた次第です。

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105話の考察でも言及していましたが、三玖はやはり風太郎に出会った当初に言われた言葉を心に刻んでいたようですね。それ故に、自分が好きなもの(=風太郎)を信じることができたのだということが分かりやすく説明されました。

以下、今回特に気になった点を考察します。

考察

三玖がキスをするに至った心理は?

三玖が風太郎にキスをする事になるとして、その心理はどういったものだったのか?

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このキスと同タイミングで行われたのがクラス内の不和を解消するために男女の代表を呼び、話を付けるという行為だった点は見逃せません。

この行動のきっかけとなったのは、二日目の夜、おそらく病院でマルオと会った後に学校に片付けのために戻った二乃が、三玖に対して話した

お父さんが言ってたわ。あんたのパンケーキ、お母さんの味にそっくりだって。

という内容にあるのでしょう。

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かつては料理が苦手だった自分が、努力によって母・零奈が作っていたパンケーキと同等の物を作れるまでに成長できたことから、自分が行動を起こす事で不可能は可能に変えられるという気持ちを得られたのですね。

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それ故に彼女は、クラス内の不和を解消するためのアクションを起こすことができましたし、また更に風太郎に自分からキスをする事によって彼の気持ちを掴もうと、遮二無二行動を起こすことに繋がったと考えられます。

二乃は三玖にパンケーキ以外の事も伝えている?

自身のツィートからの引用にて。

二乃は三玖にマルオのパンケーキに対する評価を伝えていましたが、実はそれ以外にも何が伝えていたりするのでしょうか?

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例えば、自分が風太郎に対してキスをしたことまで伝えていたとしたら?

これなら、三玖が風太郎にキスをした事についても、そうしなければならないと考えた理由が、より明確になります。

しかし、実際のところは、二乃は三玖にパンケーキの事しか伝えていないだろうというのが最終的な私の解釈です。

そう考えた理由は大きく二つあります。

一つは、まず二乃が風太郎へのキスの事まで「皆(つまり四葉や五月含めた五つ子全員)に報告」するつもりとは考えにくい点です。一花や三玖に絞って話す、というのならありうるかもしれませんが……。

もう一つは、メタ的な話になりますが、この真相を明かそうにも三玖のエピソードが既に終幕しているため種明かしの場が無い点です。後日、二乃のモノローグ等で明かされたり、あるいは上の予想が外れて最終日に実際に二乃が全員に伝えたりによって、真相が描かれる可能性が無いわけではないのですが、自身の感覚からは、そうした形で描かれる可能性は低いかなと思いました。

結論として、やはり二乃は三玖にパンケーキの事以外は伝えていないかなと私は思いました。

二乃はエプロンをどう調達したか?

こちらは先日、Twitterで頂いたご意見から。

二乃が五月のエプロンを身に付けている件についてのコメントを頂きました。言われてみると、確かに……。

また、今回の話で気になったのは、二日目だけでなく三日目も二乃が五月のエプロンを着用していることが明らかになった点です。

最初は、五つ子は屋台での当番が順番なので、同じエプロンを使い回すつもりだったのか? と思っていました。しかし、三玖が着用しているエプロンは明らかに五月また二乃が使用している物とはデザインが違うのですね。だとすると、五姉妹で使い回す意図はなかったことになるのです。

もちろん、この事だけで二乃が三玖同様、自身でエプロンを用意したとは決めつけられないのは確かなのですが、五月のエプロンを二乃が二日目だけでなく三日目まで引き継いでいるという点は少し気になりました。

105話の考察では五月が寝不足から倒れた可能性が高いと書きましたが、そうして病室にいる彼女のエプロンを二乃が引き継いで、かつ三玖に屋台当番を譲ってもらってまで調理班に回っているとしたら、そこには何らかの意味付けがあるのかもしれないと本話を読んで感じました。

【訂正】二乃が三日目にエプロンを付けている様子は未確認

書き上げて、自分でブログを読み直してから気付きましたが、二乃がエプロンを三日目に着ているかは106話からは読み取れないですね。失礼しました。

106話を読んだ当初、二乃が三玖に話しかけているのは三日目の朝と誤認していたのですが、背景の暗さ等からして、おそらくは二日目の夜、病院から戻ったタイミングっぽいです。

だとすると、二乃が三日目に五月のエプロンを着用しているという上の項の前提自体が成立していないことになります。

早とちりしてしまいました。すみません。

未だ描かれない一日目・夜に何が起きているのか?

冒頭でも書きましたが、私は本話が一日目の夜において描かれると思っていたので、その点で読みが外れました。

そもそもそう思った根拠は何かというと、これまでの話の中でほぼ描かれていない時間軸として一日目の夜があり、また三玖が回復する所から話が始まるならその時間軸にぴたりとハマるので、そこになるだろうという考えからでした。

しかし、実際には三日目まで話が踏み入って、物語が展開される事となりました。

これによって、俄然興味が湧いたのが、未だ明らかとなっていない一日目の夜には一体何が起きているのかという点です。

この点ですが、五月絡み……あるいは五姉妹の実父、またはそうでなくとも上杉勇也及びマルオの知人絡みで何かが起きているものと考えられます。

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そう考えた理由の一つは、上杉勇也が当初学園祭に来ないつもりだった"一日目"に、急遽予定を変えて現れた理由が明らかになっていない点がまず挙げられます。"一日目"に何かの意味が込められているとしたら、それは上杉勇也が感知しうる何かである、という事が推測できるわけです。

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また、四葉は一日目の演劇参加後、演劇部の部長に呼ばれており、そこから何らかの変化が与えられるようです。となると翌日、つまり二日目・昼の演劇部での舞台を軸として四葉のメインエピソードが展開される可能性が高く、だとすると一日目の夜に四葉の物語は関与しにくいという点も理由として挙げられます(おそらくは風太郎が、二日目の竹林と出会った後の時間軸で、無料である演劇部の舞台を観に行く展開になるのだろうと予想していますが……)。

これらの点を総合的に解釈した結果、五月絡みの何かが、未だ描かれていない一日目の夜に起きている可能性が高いのではないか? と私はみています。

【追記】一日目の夜、四葉の演劇練習に風太郎が付き合う展開も?

上の項を書き上げてから思い付いてしまったので追記の形で入れますが、一日目の夜に四葉の演劇練習に風太郎が付き合うという展開は如何にもありそうですよね……。今更ながら、その可能性の高さに思い当たりました。

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そう考えた理由は、一日目の夜のタイミングを逃すと、四葉を象徴するブランコ及びそれがある公園に、学園祭開催期間中において風太郎が行く機会がほぼ無いためです。

二日目の夜は入院騒動かつ一花を送っており、そこから更に公園に行くとは考えにくいです。そして、三日目の夜は風太郎と各姉妹は学校にいる筈です。と考えると、四葉と公園にもし行くとしたら、そのタイミングは一日目の夜の可能性が高いことになるのです。

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二日目の劇に間に合わせるなら、四葉は一日目に必死に練習しなければならない筈ですし、またその夜の練習に風太郎を付き合わせたからこそ、翌日はその埋め合わせのつもりで四葉が風太郎の仕事を代わりに行っている(だから、風太郎の仕事は無くなった)と考えると、しっくり来ます。

勇也が一日目の参加にこだわった点からみて、そこに彼の知人の話が関与している可能性は高いとみていますが、その場面に風太郎が直接居合わせないのであれば、一日目の夜に風太郎が四葉と共にいても何らおかしな話ではないと気付きました。

未だ描かれていない一日目の夜において、風太郎が四葉の練習に付き合っている可能性は高い気がします。

四葉・五月はキスをするのか?

106話では三玖が風太郎にキスをしました。この展開自体についてはこれまでの流れ(つまり、一花や二乃が風太郎にキスをしてきたという事実)から、大方の方がそうなると予想していたのではないかと思います。

問題はこの後、四葉と五月がキスをするのかということです。

これまでの三人は全員、その好意を風太郎に伝えていた姉妹でしたが、四葉と五月は風太郎に恋愛でのアプローチはしておらず、五月に至ってはそもそも恋愛感情を持っているのかも明確でありません。

つまり、他の三姉妹とは大分状況が異なるのですね。ここは一体、どうなるのか?

しかし私は、その経緯がどういったものになるかは分かりませんが、四葉や五月も結果的に他の三姉妹同様にキスをすると予想しています。

その理由は、ここでキスをしない姉妹は風太郎と結ばれる花嫁候補として逆に色濃くなると考えられるためです。

これまでの三姉妹は皆、自分から風太郎にキスをしており、風太郎は受け身でした。しかし、この流れの中で風太郎に対してのキスをしない姉妹が出るとしたら、その場合、後に他の姉妹では受け身だった風太郎のほうからキスをするという展開が描かれるのではないかと予想できる事になってしまいます。

つまり、キスをしないということが、逆説的にその女の子が花嫁である可能性を高める結果になるといえるのですね。

よって、誰もが風太郎に告白される可能性を均等に残すためには、全員にキスさせるしかないというのが私の考えです。

この予想に反してキスをしない姉妹が現れた場合、その子が花嫁であると可能性は極めて高まるのではないでしょうか?

但し、四葉がキスをしなかったとしたら、五月も同様にキスをしないと展開はありうるとも思います。この場合、実質的に花嫁となるのは二人のどちらかに絞られる事になると思っています。

まとめ

106話では三玖が風太郎を射止めるべく、積極攻勢に出ました。

前回の話では三玖が風太郎と恋仲になるのは不可能と考えており、それは何故なのか? 風太郎が一花のことを好いていると考えているためなのか? と考えを巡らしたのですが、この辺の三玖の心理は明らかにならない可能性もありそうな気がしてきました。

その理由として、このエピソードで主に描きたかったのは、不可能と思われる事でも実際は自分の行動次第で可能にできると考えられるように三玖が成長する様だったのではないかということが挙げられます。

つまり、理由はともあれ、こうした三玖の成長を描くためには風太郎との恋の成就を不可能と思ってなければ話が始まらないのですね。よって、三玖が風太郎と結ばれるのは不可能と考えた動機よりも、そう考えた上でそれを克服する過程こそに着目してほしいと作り手が構想していたと仮定すると、その動機部分については深く練られていない可能性もあるのかもしれないと考えた次第です。

さて、次話からはまた新たに姉妹の話が始まりますが、ここはもう四葉で決まりでしょう。 

ここで四葉の回を後回しにする事は、彼女が特別視されることを明確に意味してしまう事になります。

104話の考察内でも書きましたが、風太郎が誰を選ぶのかについて、できる限り読み手にフラットな印象を与えておきたいとねぎ先生が考えているとすれば、ここで姉妹の序列で並んでいる登場順を崩すとは考えにくいです。よって、やはり107話からは四葉のエピソードが始まると考えられます。

ついでに書くなら、私は五月が入院しているだろうと思っていますが、四葉のエピソード内で五月が倒れた事が明らかになり、その後、五月編になだれ込むと予想しています。各エピソードの表紙では姉妹は皆、最終日の夜の学校にいる様子が描かれていますが、それが続くのは107話の四葉の話までであり、109話で描かれる五月編だけは病室にいるカットが表紙となるのではないかとみています。

以上、『五等分の花嫁』106話「最後の祭りが三玖の場合②」の感想・考察でした。


§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。

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