学園祭三日目夕方の五つ子の様子が描かれる。五人は集まり、共に歩き、同じ物を食べ、五人でそれらを共有することの喜びを再確認する。そして、それぞれが風太郎を待つために別々の場所へと分かれていく。
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
漫画『五等分の花嫁』112話「最後の祭りが五つ子の場合」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
なお、下記は前話(111話)の感想・考察記事、および感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。
◾️前話の感想・考察記事
◾️感想・考察記事 一覧
出来事のおさらい・感想
112話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。
- 五つ子が揃って学園祭を楽しむ姿が描かれる。
- 風太郎の告白を前に、五人はバラバラの場所へと分かれていく。
112話は学園祭を巡る五つ子編でした。風太郎を除く五人が仲良く学園祭を回る展開でしたが、思えば、五人が固まって楽しんでいる姿を久々に見た様な気がします。
五人で一緒に楽しく過ごしている場面って前は何処だろう……と遡ってみました。直近でのエピソードは92話「秘密の痕」でしょうか?
掲載されたのは実に7月3日でした。夏。
以下、今回特に気になった点を考察します。
考察
過去からの縮図と未来への分岐
久し振りに見ることのできた、五つ子たちが一緒に過ごす時間。
記事冒頭ではプールで一緒だった事について言及しましたが、作中で五つ子がわいわいやっていたイメージが印象に残っているのは、やはり花火大会の日ですよね。
まあ、この時は不本意にもバラバラにはぐれてしまった五つ子たちですが……今回はというと、自分たちの意思でバラける事になります。
そう、今度は各々の場所で風太郎を待つために。
この話で描かれた五人が集まり、共に歩き、同じ物を共有し、喜ぶという姿。これは今までの時間の縮図なのだと強く感じさせられました。
風太郎が来る前には元々あったものであり、いつしか失われてしまったものであり、そしてまた風太郎を介して取り戻した彼女たちの絆そのものが、今回の話に詰まっていたのだと思います。
風太郎によって取り戻されたものが、その風太郎を巡って失われるというのは皮肉的です。
しかし、これは単なる喪失ではない。
言うなれば、これは発展的解消と呼ぶべきものなのだろうと思います。
風太郎を待つ場所と各話表紙との関連について
今回の話で明らかになったのは、五つ子編でそれぞれ描かれていた表紙の内容は皆、風太郎を待つ姿であり、別の場所にいるのだという事です。
表紙と各人の居場所について
明確には分かりませんが、それぞれの場所について想像してみると……
一つ目は五月?(殺風景な教室と廊下)
二つ目は三玖?(装飾のある廊下)
三つ目は二乃?(寄せ書きのある教室)
四つ目は四葉?(保健室→病み上がりの人物?)
五つ目は一花?(ベランダ)
となるのでしょうか。
四葉は何故外にいる?
言うまでもありませんが、ここで違和感があるのが四葉の場所です。彼女だけは何故か学校内ではなく屋外にいる。どういうことでしょうか?
最新話を読みました。
— あるこじ (@arukoji_tb) 2019年11月26日
ラストは皆別行動。となると四葉編の表紙はどう解釈すべきなのか?
風太郎は教室のドアを開けて入っている。とすると屋外にいる四葉が相手ということは無い?
が……それだと分かり易すぎる。
風太郎が四葉に告白→共に外へ、という流れなのかな。#五等分の花嫁 #ネタバレ pic.twitter.com/WQoFxgjBry
これを考えた時にまず思ったのが、風太郎が告白をする先が四葉であり、この姿はその後、後夜祭で二人が共にいる場面を切り取ったものという発想でした。
しかし、そう考えると、少しおかしな事になります。
何がおかしいか。どの表紙にも書かれていますが、その時点で後夜祭終了のアナウンスが掛かっている点です。
風太郎が告白をしたのは、アナウンス後にどれほど時間が経過したのかは明確ではないものの「アナウンスの後」なのは間違いなさそうです。
だとすると、風太郎が告白した後の四葉の姿を描いたという想像は時間的に逆転してしまい、矛盾する事になります。
そして、四葉が風太郎に教室内で告白を受けるとしたら、一旦外に出た後に教室に戻るという行動を取らざるを得ず、不自然です。
保健室に行く際に外を通らないと行けない、という事なら分かるけれど……そんな構造ありえるのかどうか。
風太郎が声を掛けたけど空振りだった可能性は?
上の話をTwitterで呟いた時に頂いた意見に「風太郎が声を掛けたが誰もいなかった可能性は無いか?」というものがありました。
つまり、風太郎が声をかけようとした相手は四葉だったが教室にはおらず、室内に誰かいるつもりで待たせたなと声を掛けたが無人だった……という考え方ですね。
この可能性は思いつかなくて、なるほど!と思いました。
ただ、一方で自分なりの解釈としては、これは可能性が低いかなと思いもしました。
何故そう考えたかというと、もしそれが答だとしたら、構成上は風太郎が教室の外から扉を開ける前に「待たせたな」と声を掛け、それから扉を開ける描写にするんじゃないかと思ったのです。
実際には扉を開けて、一拍おいてから風太郎が声を掛けている。無人の教室という答を後に用意しているのであれば、この描写はアンフェアと取られかねないので、やはり風太郎は誰かがいる部屋に入り、視認した誰かに声を掛けたんじゃないかと思いました。
となると、風太郎が教室で声を掛けたのが四葉という可能性はやはり低くなると思います。
風太郎が声を掛けた相手は?
では、風太郎は誰に声を掛けたのか?
ここは何も仮定を置かずに考えると幾らでも可能性がありうるので、一つの前提を置きました。
それは、風太郎はアナウンスが鳴ったほぼ直後に教室に入ったという前提です。
はっきり言って、この前提は全く保証されている事実ではないので、これを基に組み立てた論が正しいという保証も何処にもないです。あらかじめ、断っておきます。
さて、もし風太郎が教室に入ったのがアナウンスの直後だったら、声を掛けた相手となりうるのは誰か?
逆に表紙は事実で、答を導くための材料だったと仮定する。この時、風太郎はアナウンスの直後にドアを開けたものとする。
— あるこじ (@arukoji_tb) 2019年11月26日
この場合、二乃/五月に相手が絞られる。
一花・三玖・四葉はアナウンス時に教室の中に不在で声を掛けられないからだ(一花は際どいけどベランダなので)#五等分の花嫁#ネタバレ pic.twitter.com/URK1jJ3mnP
これは、二乃か五月かなと思いました。四葉は校庭にいるので論外ですが、一花はベランダ、三玖は廊下と彼女たちもそれぞれ教室外にいるのです。
「待たせたな」が相手を正面に見据えての発言だとすると、光の当たり具合から、彼は教室の入口と垂直に向かっている様にみえる
— あるこじ (@arukoji_tb) 2019年11月27日
光が廊下側と窓側のどちらから差し込んでいるか分からないので、教室の前後どこにいるかは不明ですが……彼と相対する形になりうるのは二乃か五月だなぁ
#五等分の花嫁 pic.twitter.com/b0TnE2iAzP
更に言うと、風太郎の顔への光の当たり具合。
ここに着目すると、風太郎は教室において出入り口と垂直の位置関係にあるように捉えられるように思うのです。
そして、教室で同じく垂直の位置関係にいるのは、黒板を背にして立つ二乃と黒板の方を向いて座る五月という事になります。
さあ、二人に絞られました。ここから一人に絞り込む材料はないでしょうか?
風太郎が声を掛けた相手は五月かな?
— あるこじ (@arukoji_tb) 2019年11月27日
風太郎の視線が僅かながら下向きというか見下している様にもみえる。
だとしたら、相手は椅子に座っている五月となる。
ただ、イコール五月が告白先とは限らない。告白前、彼女(零奈)に感謝の念を伝えに来ただけ?とも考えられる。#五等分の花嫁#ネタバレ pic.twitter.com/z8A5MCyjB4
ここは苦しいですが、一つ感じたのは風太郎の視線です。ちょっとだけ下を向いているというか、見下し気味に見えませんか?
もし風太郎が誰かを見下ろしているのだとしたら、その相手は座っている五月となるのではないでしょうか。
という訳で、仮説の上に更なる仮説と主観的観測を重ねた話で恐縮ですが、私の中では風太郎が声を掛けたのは五月という結論になりました。
風太郎が告白する相手は誰か
私は風太郎が教室で声を掛けた相手が五月だという結論にたどり着きましたが、風太郎が教室内で声を掛けた相手がそのまま花嫁であるかどうかは別問題だと思っています。
もう少し具体的に言うなら、風太郎の告白相手は四葉だと思っています。
やはりこれまでに重ねてきた伏線等が、四葉を指し示しているように見えてなりません。具体的に書くと、
- ブランコからの飛距離を風太郎が気にしている伏線
- 鐘キスの解釈(五月の姿なら自分とバレないと思って衝動的にキス→以下は黙秘)
- 最近はあまりにも「報われない恋」が強調されている(からの逆転)
この3点ですね。他にもありそうですが、パッと思いつくのはこの辺です。
以下、上の項で書いた、五月に声をかけたという自説との辻褄合わせを書いていきます。
屋外にいる事があからさまな四葉
やはり引っかかるのは、何故四葉だけが室内にいないのか? という点です。
深読みのし過ぎかもしれませんが、彼女だけが風太郎が訪れた学校内にいないと示唆されているのは物凄く怪しいです。
真っ先に風太郎の声掛け先から外れた彼女が実は花嫁、という意外性を狙っているのではないかと考えたくなります。
先に五月に声を掛けた理由は?
もし風太郎が四葉に告白するつもりだとして、何故先に五月に声を掛けに行ったのか?
これは、零奈である五月に感謝の念など何らかの気持ちを伝えてから四葉に告白するためではないかと思いました。
風太郎が零奈の正体(五月)と写真の子の正体(四葉)に気付いているかどうかには諸説意見があると思います。
ここでは風太郎は五月が零奈だと思っているが、それが写真の子ではないとまでは気付いていないと考えています。
というのは、修学旅行後の描写だけを見れば、零奈と写真の子を完全に同一視しているように取れ、その違いに気付いているようには感じられないからです。
一方で、風太郎が五月を零奈だと見破るチャンスはありました。ショッピングモールで零奈と出会った際の事を素直に考えれば、その正体は五月と気付いていてもおかしくないと考えます(例えば、風太郎がらいはに「四葉と共にいたか」を裏で確認していれば尚更はっきりする事実です)。
それを踏まえて……風太郎は四葉に告白する前に、"写真の子である五月"に何らかの言葉を掛けに行ったのではないでしょうか? そして、その上で四葉に告白しに行った。
風太郎の心情は一旦置いておき、そうした展開にするのは、話としての意外性だけの意味以上のものがあると考えます。
どんな意味があるかというと、四葉は写真の子だから花嫁に選ばれた、という考え方を完全に否定できる展開であるという事です。
四葉が写真の子だと風太郎には気付いて欲しい気もしますが、もし告白前に気づいていたとすると、その場合は結局過去の繋がりで風太郎は四葉を選んだのかと読み手に思われてしまうんですよね。
ここを否定したくて、上記のような展開にしているのではないかというのが、私の考えです。
四葉が写真の子である事は、別に風太郎が告白した後にバレたって構わないのです。
というか、もし風太郎と四葉が付き合う事になったとしたら、速攻でバレそうな気もします。
この展開は五月からすれば、告白される!? と思った矢先に肩透かしを食う結果になりますが、111話ではやはり風太郎に恋愛感情を抱いているように見えなかったですし、また四葉が写真の子だと風太郎が気付かなかったのにそれでも彼女を好きだとしたら、四葉の気持ちを知っている五月にとってそれは喜びなんじゃないかと思いました。
ただ、この解釈は五月が綺麗さっぱり風太郎を友達と思っている場合のみ、五月が救われる話であるともいえます。ここで、実は五月も風太郎に淡い恋心を抱き始めていたという話だと、かなりしんどい展開になりますね……。
また、上の解釈が当たっているとしたら、風太郎このタイミングで言うなよ!(紛らわしいわ!)という思いが湧くのは間違いないですね(笑)
まとめ
112話は「最後の祭りが五つ子の場合」というタイトルでした。
13巻のラストを迎える次話。タイトルは「最後の祭りが風太郎の場合」で決まりでしょう。もうこれ以外、無いと思います。間違いない。カシオミニを賭けてもいい。
風太郎の心の動きが描かれる回になると思いますが、尺的には風太郎が告白するまでで、その相手の反応はその次に繰り越される可能性もありそうな気がしますね。
大分長い記事になってきたので雑に書きますが、個人的に想像している展開は
風太郎は初日で告白するつもりだった→迷子の男の子の言葉を聞いて思い留まる→「誰も選ばない」→一花が別れ際にビンタ→二日目夜の話もあってやはり告白すると決める→告白
という流れかな……と思ってます。なお、風太郎が告白を思い留まる辺りの考察は101話の感想記事で書いているので、興味があればお読み頂ければ幸いです。
そして、上の説明の中に入ってこない伏線が唐揚げチケットの存在ですね。これがどう利いてくるのかは分かりませんが、私が風太郎の告白先として考えている四葉にまつわる物である点は、何か意味があるのかないのか。
次回、果たしてどうなるのか。そして、更新直後、マガポケのサーバーがダウンする心配は無いのか。
冗談ではなく、ちょっと心配してます(笑) 次回、配信後に何の問題もなく五等分の花嫁を楽しめることを祈ります。
以上、『五等分の花嫁』112話「最後の祭りが五つ子の場合」の感想・考察でした。
§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。