あるこじのよしなしごと

妻・息子2人(2014生:小麦アレ持ち/2019生)と四人で暮らしています。ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、育児、その他日常等について綴っています。

漫画『五等分の花嫁』95話の感想・考察/風太郎の願いと言動に一花は破顔する

ざっくり言うと

一花の女優活動が本格化する中で、五人揃って笑顔で卒業することを諦めない風太郎によって、驚きの提案が出される。風太郎の強い思いと詰めの甘いプランによって、一花は久しぶりに心からの笑顔を見せる。

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

漫画『五等分の花嫁』95話「分枝の時②」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。

なお、下記は前話(94話)の感想・考察記事、および、感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。

 ◾️前話の感想・考察記事 

 ◾️感想・考察記事 一覧

出来事のおさらい・感想

95話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。

  • 一花の女優活動が本格化、その姿はテレビCMにまで登場するようになる。
  • 三玖・風太郎はこむぎやでアルバイトしつつ資金を貯め、一花に雇われるのではなく雇う事で一花の時間を確保するというプランを提示する。
  • 一花は風太郎に「学校に行く理由」を問う。風太郎はそれに対し、今しか過ごせない大切な時間であると返答する。
  • 四葉は一花から「本当にやりたいことを探す」ように提言された。

 

95話は端的に言えば、一花のメイン回でした。女優業と学業をどう両立するか、そして何のために学校にいくのか、これらについてひとまずの決着を見ました。

94話を読み終えた際には、95話では一花と四葉、そして風太郎との間で過去の「写真の子」に関する件の進展があるのでは? と予想していましたが、大きく外れました(笑)

上記の予想の外れっぷりも振り返りつつ、以下、今回特に気になった点を考察します。

考察

95話では過去の話については言及されず

前回の話を読んだ際、公園で一花と四葉が過去の話をしていた事、また95話が単行本11巻の最終話にあたる事から、この話では10巻のラストと同じく、何らかのインパクトのある事実が語られるのでは!? と予想していたのですが……過去の話はほとんど無かったですね。

細かい予想内容について気になる方は上部にあります94話の感想記事を読んで頂ければと思いますが、予想の外れポイントをざっくり整理すると、

  • 単行本最終話だが、衝撃の事実が明らかになる事は無かった
  • 一花と四葉の会話から、写真の子に関する話の進展があるのではと思ったが、そんな事は無かった
  • 風太郎と四葉の日焼けが何らかの伏線になっているのでは? と考えていたが、そんな事は無かった(そして夏は終わった)
  • ケーキ屋店長とこむぎや店長(?)の関係性が明らかになるかと思ったが、それも無かった。

こんな感じで大きく外してます。ちょっと深読みが過ぎたようです(笑)

これからしばらくの間は、伏線の意味を明かすのではなく、現在から結末へ至る過程を描きつつ、こつこつ伏線を張っていくフェーズなのかもしれませんね。

現時点で、とりあえず忘れずに覚えておきたい最近張られた伏線は

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誰が零奈の墓前に花を供えたか? ですね。今後、キーポイントになりそうです。

一花の女優業についての姉妹の受け止め方

一花が女優業に専念する事について、姉妹は全員肯定的であることも描かれました。

94話では「学校を辞める」という話に主眼が置かれたので、四葉や五月が応援するのに対し、二乃や三玖は反対のような立場に見えました。しかし、一花が夢を叶えようと努力する様子については誰も否定などしていないということが、はっきりします。

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二乃は最後には一花を気遣う言葉と共に一花を送り出します。また、他のカットでは一花が出演しているCMを検索する様子も描写されていました。

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三玖は得意の姉妹の物真似をノリノリ(?)で披露します。CMを繰り返し見て、練習したのでしょう。

五姉妹は、一花と共に卒業したい・学校を辞めて欲しくない気持ちがある一方で、彼女が女優業に邁進することについては応援しているのですね。 

一花は皆との卒業を目指す

そんな一花ですが、94話までは学校を卒業することを諦めていましたが、95話ではその思いを翻し、女優業と学業の両立を目指すという選択を下します。

この場面の各人の心理を噛み砕いていきましょう。

風太郎が一花を引き留めたい理由

まず、そもそも風太郎は何故、そこまで一花を引き留めたいのか。これは大きく分けて二つの理由があったようです。

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一つ目は過去の恩返し。風太郎がマルオから出禁にされた際、一花の稼ぎがあったからこそ、その後も雇用関係が継続できたのだという思いがあったのですね。だから、今度は自分が身銭を切ってでも彼女を手助けしたいという考えがあったようです。

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二つ目は、一花から「学校に行く理由」を問いかけられた際の答として述べた言葉から。

今しかできないことをお前たちとしたいと思った。その中には当然、お前も含まれている。

クラスメイトと海に行くという経験を経て、風太郎は、今まで自分が不必要と切り捨てていた物に、いつの間にか価値を見出している自分に気付いたのですね。

ただ単に勉強をして、高校卒業という資格を得るというだけではなく、同じ時間・青春を楽しむという事は今しかできない事であり、それを一花含めた五姉妹全員としたいというのが風太郎の素直な気持ちでした。

一花が考えを改めた理由

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一花は94話で「風太郎と一緒にいると自分が許せなくて辛い」ため、卒業をしたい気持ちはあるものの、高校には残れないということを三玖に語っていました。

風太郎と一緒にいると自分が許せない、というのは、もちろん偽三玖として暗躍した過去のことを気に病んでいるのですね。

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そうした自身の邪な企みは、修学旅行先で風太郎に見透かされ、また糾弾されるのですが、更にそれについて一方的だったと風太郎から謝罪されてしまった事で、一花の「自分を許せない」という気持ちは強固になったものと思われます。

しかし、それでも風太郎は「自分(一花)と一緒に卒業したい」という気持ちを伝えてくれました。

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風太郎のそうした思いを嬉しく思いつつ、資金が足りずに肝心の場面でお金を無心する風太郎の様子に毒気も抜かれ、その結果として、一花は「皆と一緒に卒業する」という気持ちに傾いたのかなと感じました。

この場面の一花の笑顔は、久しぶりに見られる彼女の自然な笑顔でした。憑き物が落ちたようというか、どこか救われたような様子が見て取れます。

風太郎は元からこのプランBを考えていたのか?

ところで、風太郎による「一花に雇われるのではなく一花を雇う」という考え。これをプランBと仮に呼ぶとして、この案はどの時点で思いついたのでしょうか?

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一つ考えられるのは、94話で断られた時点で既にプランBが頭にあったという案です。この場合、風太郎のこの後の「金が足りない」発言は、一花を雇うという展開を見越してのものという解釈になります。

しかし、個人的にはプランBは元から考えていたのではなく、一花との会話後、時間をかけて考えたアイデアなのではないかと感じます。

そう考えたポイントは風太郎が、94話で一花に提案を断られた際の

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となると……一花の分の給料は貰えないままか。困ったな。(略)このままじゃ金足りねぇ。

という一連の台詞です。

もし、この時点で仮にプランBまで頭にあったのだとすると、一花から給料を得られないとして、その場で「一花の給料が貰えないままで困った」という感想を述べるのは不自然に感じます。

もしプランBが頭にあったのなら、ここで今更「困る」ことはなく、その可能性まで頭に入れていたはず。となると、その場合に用いられる言葉は「仕方ない」とか、「どうするか」とか、そうした類になりそうです。

もっとも、上の話については、私の主観(言葉選びに関する考え方)が色濃く反映された考え方なので、絶対とは言いませんが……少なくとも、個人的にはあらかじめそうしたプランを風太郎が練っていたようには感じられませんでした。

風太郎はやはり生活費等の当座の収入が減ることについてまず困っており、その上で三玖から「こむぎや」でのバイトを提案されます。

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そして、こむぎやで働き始め、金策の目途が立った(結果的には資金不足でしたが)ところで、プランBを考えるに至ったのではないか、というのが私の考えです。

一花と四葉の関係性について

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94話終了時からの続き部分における一花と四葉の会話。ここでは「写真の子」に触れられる事はなく、四葉の風太郎に対する想いを一花が察するという所までに留まりました。

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エピソード「スクランブルエッグ」編では、四葉によって「したいことしてほしい」と元気付けられた一花。

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しかし、この場面ではその逆に、一花が四葉に「本当にやりたいことを探しな」と声をかけて励ますという形になりました。

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このあたりは、家出中の二乃が三玖によって元気付けられ、その後の修学旅行先では逆に二乃が三玖に発破をかける場面との相似性が感じられます。

しかし、そうなると、五月は一人"浮いた"形になるのですが……。

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そんな彼女は風太郎と共感しあい、互いに励まし合う場面が比較的多いように感じます。この点は、五月花嫁説を考える場合における、一つの拠り所となりますね。

「分枝の時」エピソードの今後について

95話は「分枝の時」エピソードの2話目でした。今後の同エピソードの有無や内容について、少し考えてみました。

単行本またぎのナンバリングエピソードは過去にも存在する

まず大前提として、おそらくこのエピソードは96話以降も続くと考えられます。

「分枝の時」というエピソードタイトルに込められているのは、各人の今後の進路が分かれていくという意味だと考えられます。とすると、一花の進路だけが描かれて終わるというのは不自然で、他の進路が明確化されていない姉妹についても語られると考えるのが素直な解釈でしょう。

ちなみに、本作では単行本毎で一つのエピソードが区切られることが多いですが、同じくナンバリングエピソードの一つである「七つのさよなら」編は(単行本またぎの回において「零奈」初登場という衝撃の内容が配置されたものの)コミックスの5~6巻にまたがって各話が配置されました。つまり、必ずしも一連のエピソードが単行本単位で閉じるとは限らないという事になります。

よって、「分枝の時」のエピソードが次話以降も継続するという線は普通にありうる事だと考えます。

次回は五月の夢が描かれる?

では、次の話では誰のエピソードが描かれるのか?

これについて、私は五月の話になるのではと思っています。

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そう考えたのは上のコマにおける、五月のバイト先に関する言葉からです。

そもそも五月のバイト先ってどこだったっけ? と私は覚えていなかったのですが……。

上記の通り、五月のバイト先についてTwitterで教えて頂きました。鰆さん(@ot07406two)、ありがとうございます!

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そう、五月は下田さんの所に手伝いに行っていたのでしたね。塾講師の手伝いとなると、おそらくは塾の事務方のバイトになるのかなと思うのですが……。

その内容はともかく、そうした「五月のバイト先」に対して言及するカットを95話で入れておくことで、96話において五月のバイト先の場面を描いた際に、読者の理解を円滑にする狙いがあったのでは? と考えました。

よって、96話では五月のバイト先の様子、ひいては五月の進路に関することが中心の回となるのではないかと考えた訳です。

文化祭・運動会ネタだとすると四葉?

一方で、7/25にて作者のねぎ先生が呟いた上記の内容を読むと、次話は1年目(二年生時点)でスルーされた、何らかのイベントネタになる旨が示唆されていました。

秋の高校行事といえば、文化祭や運動会ですよね。ただ、運動会だとすると「始まる」という表現は個人的には多少違和感があります。開催・開幕・実施などの表現の方が適切かなと(運動会そのものではなく、「運動会編」が始まるという意味合いなのかもしれませんが)。

そのため、ここで示唆されているイベントは文化祭・学園祭のようなフェスティバルの類かなと思いました。

どちらのイベントだとしても、メインで取り扱われるのは五月ではなく、クラス委員長であり、また運動が得意な四葉かな? という気がしますね。

上の項では、五月の進路についてを描く上での言わば「前振り」を95話で行ったのだと書きましたが、そうした「前振り」であれば四葉だって、一花から

本当にやりたいことを探しな

と言われている場面がありました。これが96話への繋ぎとしての意味を持っているという可能性は十分考えられます。

ねぎ先生のツィート内容を重要視するのであれば、次回は四葉のメイン回という展開になりそうな気がします。

 

上記を総合すると、次回は四葉または五月の今後の進路に関する内容がメインで描かれるのではないかというのが自身の考えとなります。

まとめ

95話では、本当に久し振りに一花の真っ直ぐな笑顔が見られた気がします。修学旅行前から大分、一花は神経をすり減らして生きていたように見えますが、この回で良い意味で自身を素直に開放できた気がしますね。

一花は女優としての進路が見えてきましたが、残りの姉妹、特に四葉は「やりたいこと」が本人にも見えていないだけに、先が気になるところです。

単純に判断するなら、どう考えても四葉は運動系で何かしら進路を探すべきだと思いますが……彼女はどう考えるのか。それとも「やりたいこと」を進路だけでなく、より広い意味で捉えており、それが今後、風太郎に自身が写真の子であることを明かすなどの展開に繋がっていくのか。

読めば読むほど、次回の話がどう転がるのか、気になってしまいますね。また来週が楽しみです。

以上、『五等分の花嫁』95話「分枝の時②」の感想・考察でした。


§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。


 

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