あるこじのよしなしごと

妻・息子2人(2014生:小麦アレ持ち/2019生)と四人で暮らしています。ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、育児、その他日常等について綴っています。

『惨劇RoopeR(惨劇ルーパー)』のルール概要とプレイ記(リプレイ)

ざっくり言うと

ループ物をテーマとしたボードゲーム『惨劇RoopeR』の紹介。惨劇を回避しようとする主人公(3人)と惨劇を起こそうとする脚本家(1人)に分かれてプレイする、推理型対戦ゲーム。

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

本記事はボードゲーム『惨劇RoopeR(惨劇ルーパー)』のルール概要の紹介、および、そのプレイ記を通じてその魅力を伝える記事となります。

惨劇RoopeRとは?

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日本のゲームデザイナー BakaFire Partyさんが製作した、ループ系惨劇体感型 推理ボードゲームです。基本的に4人プレイ限定のゲームで、その内の1人は惨劇を巻き起こそうとする「脚本家」を、残りの3人は脚本家が巻き起こす惨劇を回避する「主人公」をそれぞれ担当する、非対称の推理型対戦ゲームです。

ちなみに主人公3人をひとりで受け持つことで、通常ゲームと比べて難易度のバランスが変化するものの、一対一で遊ぶ2人プレイも可能です。

ゲームのテーマはずばり「ループ物」です。ループ物の定義については、wikipediaではこう書かれています。

物語の中で登場人物が同じ期間を何度も繰り返すような設定を持つ作品のこと。(略)半永久的に反復される時間から何らかの方法で脱出することが物語の目標となるものが多い。

この定義の通り、主人公はループ物作品の登場人物と同じように、繰り返される世界の中で、悪意ある脚本家によって毎回引き起こされる《運命》に抗い、悲劇的な未来を回避する事を目指すのです。

本ゲームでは、ゲーム開始の事前に「脚本家」が【惨劇の脚本】を用意します。そこでは、どんな出来事が起きるのか・何が起きてはいけない(惨劇の達成条件)のか・何回世界は巻き戻るのか(ループ回数)などが定められます。

主人公は、そうして組み立てられた「惨劇」に対抗する者たちです。規定のループ回数だけ世界を繰り返す内に、惨劇が起きるきっかけやルールを推理し、それを打ち破る道を探します。

最終的に、ゲームの事前で定めた「惨劇」を完璧に遂行できれば脚本家の勝ち「惨劇」を回避できれば主人公の勝ちとなります。

ちなみに本作を発行したBakaFire Partyさんは、人気作品『Fate/stay night』の聖杯戦争をテーマとしたボードゲーム『Dominate Grail War』を手掛けたメーカーでもあります。

Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-

Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-

 

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また、余談ですが週刊少年漫画『ぼくたちは勉強ができない』の第8話(2巻収録)の中に、このゲームの名前だけですが登場した事もありました。 

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ゲームの入手について

本ゲームは『惨劇RoopeR』(初版)、『惨劇RoopeR X(カイ)』と改訂が行われており、現在の最新版は『惨劇RoopeR 5th』となります。改訂が行われる中でルール説明の改善やシステム類のブラッシュアップが施されているので、現在購入するのであれば最も入手しやすい5th版を購入すれば問題ないです。 

惨劇RoopeR 5th

惨劇RoopeR 5th

 

ちなみに、本記事にて挙げられている画像の多くは、『惨劇RoopeR X』の版をプレイした際の画像となっています。そのため、5th版とは若干見た目が異なる点がございますが、ご了承下さい。

惨劇RoopeRの世界観

ゲームのイメージ・勝敗について

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このゲームは、都市・学校・神社・病院の四つの場所を示すボードと、そこに存在するキャラクターを示すカードによって構成されます。

ゲーム中の毎ターン、脚本家と主人公はこの場所やキャラクターに対して互いに干渉する事でゲームは進んでいきます。

脚本家は各キャラクターの不安を呼び覚ましたり、あるいは各場所に対して不穏な仕掛けを施したりする事で、何らかの惨劇(たとえば誰かを殺したり、あるいはある場所を爆破したり)を巻き起こそうとします。

一方の主人公は各キャラクターの不安を和らげたり、各場所に対しておかしな事が起きないよう見回りをしたりする事で、脚本家が起こそうとする惨劇を回避する事を目指します。

ポイントになるのは、主人公は、脚本家が巻き起こそうとする惨劇の正体が何か最初は分からないという点です。

脚本家が巻き起こす惨劇には必ずルールがあります。例えば誰かが死んだり、ある場所が爆破されたりしたら、その惨劇は完成します。しかし、その条件は主人公には分からないのです。

そのため、ゲームの最初の内は通常、脚本家は必ず惨劇を達成し、主人公は敗北する事になります。ですが、敗北を重ねる中で主人公らは、何故今回のゲームで敗北になったのかのヒントを徐々に得ていきます。

たとえば、キャラクターの内の誰かが死んで脚本家からゲームオーバーが告げられたような場合、この惨劇ではこのキャラクターが死ぬ事が敗北条件なのだと主人公は知るわけです。

そして、主人公らは世界をやり直すループ能力を有しています。そのため、一度敗北しても世界をやり直し、同じ惨劇を起こさないよう努力する事ができます。

主人公らはたとえば誰かが死ぬ事が惨劇の条件なのだと分かったら、恐るべき殺人鬼と二人きりにならないようにするとか、ある場所で起きる事件に巻き込まれないようにするとか、その人物が死ぬ事の無いように振る舞うことになります。

一方で、このゲームでは通常、惨劇=脚本家の勝利条件は複数用意されます。そのため、主人公はループを重ねる中で惨劇の条件全てを明らかにし、そのいずれも満たさないように行動する事が求められます。

最終的に、主人公に惨劇の条件全てを看破させずに規定回数の全ループで惨劇を起こせれば脚本家の勝利となり、惨劇の条件を全て明らかにするか、また明らかでなくてもその条件を満たす事態が結果的に起こらないように規定回数の全ループの内、一回でも振る舞う事ができれは、惨劇回避となり主人公の勝利となります。

登場人物について

主人公

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主人公はこのゲームのプレイヤーである3人です。彼等だけがこの世界に悪意を持った脚本家が影響していることを認識しており、その惨劇を回避するための対策を打つ事ができます。

なお、彼らの姿はゲームボード上には表されません。実在するプレイヤーの存在そのものが主人公の具象化した姿です。

ちなみに彼ら3人はそれぞれが阿吽の呼吸によって、別々に行動しているという設定になっています。そのためゲーム中、通常のルールでは、ある一定のタイミングを除いては主人公間において言葉による相談は禁止となっています(「時の狭間」と呼ばれる、各ループとループの間でのみ相談可能。また、難易度調整のために相談可のルールを独自に採用するのはアリ)。

キャラクター(NPC)

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各キャラクターはゲームボード上にカードの形で表現されます。

脚本家は原則、この各キャラクターに関与する事で、互いに殺し合わせたり、また彼らをけしかけて主人公自体を殺させたりする事で、惨劇を達成しようとします。

一方の主人公は、各キャラクターに働きかける事で殺し合いを未然に防いだり、また時に彼らに協力してもらう事で脚本家の企みを看破したりする事で、惨劇の回避を目指します。

惨劇の達成も回避も、全てはボード上のキャラクターがどう動くか(主人公・脚本家がどう動かすか)に掛かっています。

脚本家

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脚本家は惨劇を巻き起こそうとするプレイヤーです。主人公やキャラクターを翻弄し、時に殺害する事で世界に惨劇を巻き起こそうとする存在です。

彼(または彼女)の姿はゲームボード上には表されません。また、便宜的にはプレイヤーが脚本家として行動していますが、本来は実体を持ち得ない、運命・巡り合わせ・底知れぬ悪意とでもいうべき概念の集合体が脚本家の正体考えられますこの点はゲーム内で明言されていないために私個人の解釈になります。主人公がゲーム中に「殺害」される事があるのに対し、逆に主人公が脚本家を打ち倒す事によって惨劇を回避するというケースがシステム上想定されていない事から、通常のルール内においては脚本家は少なくとも実体のない存在であると解釈しています)。

ゲーム中において、悲劇へと突き進む不条理な運命、いつも変わる事なく起こる事態、つい取ってしまうさりげない行動、それらの全ては脚本家の意志によって引き起こされていると考えられます。この得も言われぬ影響力に抗う事ができるのは、脚本家の存在を知る主人公たちのみです。

なお、ゲームシステム的には、惨劇の礎となる脚本を作成し、また予め設定した脚本のルールに従って勝利・敗北を制御する役割も果たします。その点からすると、脚本家はGM(ゲームマスター)と同義とも言えます。

惨劇RoopeRのルール概要

脚本の作成について

脚本家はゲームの事前にあらかじめ「脚本」を作成する事が必要になります。これによって、主人公が立ち向かうべき惨劇の内容が決定します。

脚本とはその回におけるルールであり、また主人公たちが解き明かすべき謎の答そのものといえます。

この項では脚本の構成要素を説明します。

なお、製品にはサンプルの脚本や、脚本の作り方などが付随しているので、最初の内はサンプルの脚本で遊んでみて、慣れてきたらオリジナルの脚本を作ってみるというのが通常の流れになるかと思います。

ループ回数

ゲーム中、何回まで世界がループするかについてです。

ループ回数が多ければ多いほど、主人公のトライアンドエラーの機会が増えるため、難易度は下がる事になります。

日数

ループ中の世界の日数です。この日数が経過する中で惨劇を起こす事なく回避できれば、主人公の勝利となります。

日数が多ければ多いほど、脚本家が惨劇を達成するチャンスは増えるため、難易度は上がる事になります。

ルールY

惨劇の根幹を成すルールです。通常ゲームでは、ルールYは下記の5種類存在します。

  1. 殺人計画
  2. 封印されしモノ
  3. 僕と契約しようよ!
  4. 未来改変プラン
  5. 巨大時限爆弾Xの存在

 

脚本家はこれらから1つを選択して採用します。

ルールYは惨劇の達成条件の根幹を成す要素が定義されているといえます。ゲーム中、脚本家はその条件を満たすことを目指して行動します。

ルールX

惨劇を構成するもう一つのルールです。通常ゲームでは、ルールXは下記の7種類存在します。

  1. 友情サークル
  2. 恋愛模様
  3. 潜む殺人鬼
  4. 不穏な噂
  5. 妄想拡大ウイルス
  6. 因果の糸
  7. 不定因子x

 

脚本家はこれらから2つを選択して採用します。

ルールXはそれぞれ、下記のいずれかの役割を持ちます。

  • ルールYの惨劇を満たす条件を達成させやすくする役割
  • ルールYとは異なる、別の惨劇の達成条件を追加する役割

 

端的に言えば、ルールXはルールYを補助するような役割を持つルールという事になります。

登場キャラクター/役職

ルールYおよびXを決定したら、このゲームに登場するキャラクター(NPC)を脚本家は設定します。

5th版に収録されているキャラクターカードの総数は何と24枚です! といっても、その全てを一回のゲームで使うわけではなく、脚本家がそこから今回の脚本(ゲーム)に登場させるキャラクターを取捨選択します。

脚本家はまた、登場するキャラクターを選んだら、更に彼らの裏の顔・正体とも言うべき「役職」を秘密裏に設定します。

実はこの前段階のルールYとルールXを決定する段階で、自動的にこのゲームにおいて登場すべき「役職」が決定しています。

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これがルールと役職の対応表です。選択するルールと役職の交点から、登場させるべき役職の種類と人数が決まります。

たとえば、ルールYで「未来改変プラン」を採用した場合、そのゲームではタイムトラベラーカルティストという役職を必ず登場させなければなりません。

更に、ルールY「未来改変プラン」に加えてルールXに「友情サークル」と「恋愛模様」の2つを選んだとします。この時、ゲームに必ず登場させなければならない役職の構成は全部で以下のようになります。

  • タイムトラベラー:1人
  • カルティスト:1人
  • フレンド:2人
  • ミスリーダー:1人
  • ラバーズ:1人
  • メインラバーズ:1人

 

ゲームの登場人物としてこの7人の役職は必ず割り当てなければならないので、最低でも7人のキャラクターを設定する必要がある事になります。

なお、この例における登場人物について、7人を超えて設定しても問題ありません。というか、多くの場合、最低限登場させなければならない役職・人数以上のキャラクターが登場人物に設定されます。

この場合、役職が割り当てられないキャラクターが出る事になりますが、そうしたキャラクターはすべてパーソン(一般人)として扱われます。

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パーソン以外の役職は皆、何らかの能力あるいは性質を持っています。大きく、以下の三つに分類されます。

  • 主人公やキャラクターに敵対する悪者(クロマク、キラーなど)
  • 主人公がその命を守らなければならない者(キーパーソン、フレンドなど)
  • 一言で悪とも善とも言い難いニュートラルな者(タイムトラベラー、シリアルキラーなど)

 

主人公は各キャラクターの裏の顔とも言うべき役職について、全く知らない状態からゲームを開始します。よって、相対する者が守るべき存在なのか、自らに仇なす存在なのかなどは最初の時点では分からず、手探りで徐々に正体を見極めていく事になるのです。

なお、この各役職がどのキャラクターに割り当てられているかについて、その全てを主人公が見破ることができたら、その時点で主人公勝利となることも補足しておきます。

事件の発生/犯人

脚本家は最後に、各日において発生する事件と、その犯人となるキャラクターを設定します。

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事件についても、その種類と効果が予め定められており、脚本家はそれらを自由に組み合わせて設定します。

事件はいくつ設定しても良いですが、全事件の犯人がそれぞれ必ず異なるようにしなければならないという制約があります。

よって、たとえば2日目に「殺人事件」、4日目に「連続殺人」が起きると設定した場合、それらの犯人はそれぞれ別人を設定する必要があります。

また、ここで設定した事件は無条件で起きるわけではなく、ゲーム中にある条件を満たさない限り発生しません(その条件については後述します)。

また更に複雑な点として、この事件の犯人と先に挙げた役職について、直接の関係性は無いということが挙げられます。

たとえば、上の項でキーパーソンやフレンドといった役職は主人公がその命を守らなければならないと説明しました。しかし、そのキーパーソンやフレンドが「殺人事件」などの犯人として設定されており、ゲーム中の誰かを殺そうとしている可能性もあるのです。役職における善悪関係は、事件の犯人設定には何ら影響しません。

そのため、殺人事件の犯人であるキャラクターを別の何らかの能力を持って殺害することで犯行を防いだ結果、実はその犯人が殺してはいけない役職だったなどという悲劇(喜劇?)も起こりうるというわけです。

友好値・不安値・暗躍値について

このゲームでは各キャラクターあるいは場所に対して、友好値・不安値・暗躍値を示す3種のカウンターが、主人公あるいは脚本家のアクションによって載せられる事があります。

以下、これらのカウンターの意味について説明します。

友好値

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友好値は主人公とボード上のキャラクターとの親交の深さを示すものです。

基本的に主人公のアクションによって、ボード上のキャラクターに友好カウンターを載せることで、値が増加していきます。

各キャラクターには主人公の役に立つ能力がそれぞれ設定されています。そして、その能力は各キャラクター毎に定められた基準以上の友好カウンターが同キャラクターに載っているときにだけ利用できるというルールがあります。

「主人公と仲良くなると各キャラクターが協力してくれる」というイメージで捉えると分かりやすいかと思います。主人公はこのカウンターを多くキャラクターに載せる(キャラクターとの友好度を高める)ことで通常、惨劇回避に近付く事になります。

不安値

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不安値はボード上のキャラクターが不安に思う心の強さを示すものです。

基本的に脚本家のアクションによって、ボード上のキャラクターに不安カウンターを載せることで、値が増加していきます。

各キャラクターには不安臨界という基準値がそれぞれ設定されています。そして、その不安臨界以上の不安カウンターが各キャラクターに載っている状態で、その人物が犯人である「事件」が発生するタイミングが訪れた場合、そのキャラクターは不安に耐え切れずに事件を起こしてしまうというルールがあります。

逆に言うと、事件発生のタイミングを迎えても、犯人であるキャラクターの不安値が不安臨界以上になっていない場合は、事件は発生しないということです。

通常、事件が起きるとそれだけ惨劇の条件を満たす可能性は高くなります。その点で、この不安カウンターは、惨劇の達成に対して間接的に影響を及ぼすものといえます。

暗躍値

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暗躍値は、その対象に対して何らかの悪影響が与えられている状況を示すものです。

このカウンターは友好や不安と異なり、ボード上の「キャラクター」だけでなく、「場所」に対しても載せられることがあります。

基本的に脚本家のアクションによって、ボード上のキャラクター、および、場所のボード自体に暗躍カウンターを載せることで、値が増加していきます。

暗躍カウンターは惨劇の条件に直接関係するものです。たとえば、ルールY「封印されしモノ」における惨劇の発生条件は「神社に暗躍カウンターが2つ以上載っている」です。

その点でこの暗躍カウンターは、惨劇の達成に対して直接的に影響を及ぼすものといえます。

一日(毎ターン)の流れについて

最後に、ゲーム中の一日の流れを大まかに説明します。これから説明する一日の流れを何度も繰り返しながら、主人公と脚本家は戦うことになります。

1. 脚本家/主人公の行動

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各キャラクターあるいは場所のボードに脚本家、主人公がそれぞれの手札をセットする事で関与します。

ちなみに、脚本家が持つ手札と主人公が持つ手札はそれぞれ別の内容です。

脚本家の手札

「縦移動」「横移動」「★斜め移動」「不安+1(2枚)」「不安-1」「暗躍+1」「★暗躍+2」「友好禁止」「不安禁止」

主人公の手札(主人公3人は全員、下記のセットを持つ)

「縦移動」「横移動」「★移動禁止」「友好+1」「★友好+2」「不安+1」「★不安-1」「暗躍禁止」

★:強力な効果により1ループにつき1回まで使用可能/主人公サイドは3人全員が「1ループにつき1回まで」使える(全員で合計3回使える)

カードセットの流れとしては、

  1. 先に脚本家が一人で3枚のカードを裏向きにセットし、
  2. 続いて主人公三人がそれぞれ1枚ずつ計3枚のカードを裏向きにセットします。

 

上の例では脚本家は【サラリーマン】と【アイドル】とエリア「都市」にカードをセットし、主人公はそれを受けて【手先】と【情報屋】とエリア「都市」にカードをセットしました。

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全員がカードのセットを終えたらオープンします。そして、その効果を処理します。

上の例では、脚本家は【サラリーマン】【アイドル】の不安カウンターを1つ増やし、またエリア「都市」の暗躍カウンターを1つ増やそうとしました。

他方、主人公は【情報屋】の友好カウンターを2つ増やし、【手先】をエリア「都市」から縦方向に移動させました。またエリア「都市」に対する暗躍カウンターの配置を禁止しました。

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上で挙げた例のケースを処理した結果が上の画です。

  • 【サラリーマン】【アイドル】に不安カウンターが1つずつ載せられました。[脚本家のカード効果]
  • 【情報屋】には友好カウンターが2つ載せられました。[主人公のカード効果]
  • 【手先】は「都市」から「病院」に縦移動しました。[主人公のカード効果]
  • エリア「都市」への暗躍カウンターの配置は、主人公によって共に置かれた暗躍禁止のカードによって相殺されました。よって、変化はありません。[主人公のカード効果 および 脚本家のカード効果]

 

カード配置の中で「暗躍」について一点補足します。

脚本家が場所のボード(エリア)にセットして意味のあるカードは暗躍値を増加させる「暗躍+1」「暗躍+2」のみです。しかし、脚本家はそれ以外のカード(たとえば「不安+1」など)をエリアにセットしてもよい点に注意が必要です。なおこの時、エリアには何の影響も及ぼすことはありません。

何故そんな事をする意味があるのかというと、これは主人公に対するブラフとしての意味合いを持っているのですね。

たとえば、脚本家は女子学生というキャラクターに暗躍を載せようとしているとします。しかし、単純に女子学生に対して「暗躍+1」のカードを置くだけでなく、上で挙げたようにエリア(たとえば「神社」)にも同時にカードをセットしたとしたら、主人公はどう考えるでしょうか?

そう、この時に主人公は脚本家が神社に「暗躍+1」のカードを置いたのか、それとも置いていないのか(=これはブラフで他の箇所に「暗躍+1」を置いたのか)が分からないため、そこに一つの駆け引きが生まれることになるのです。

 2. 脚本家による能力使用

脚本家は、役職やルールによって与えられている能力を利用することができます。その能力によって、脚本家に有利となる効果を発生させることができます。

3. 主人公による能力使用

主人公は、各キャラクターに規定以上の友好カウンターを載せている場合に、その友好能力を利用することができます。その能力によって、主人公に有利となる効果を発生させることができます。

なおこの時、キャラクターに設定された役職如何によっては、脚本家から能力の利用を拒否されるときがあります(詳細は後述)。

4. 事件の発生

脚本で設定されている事件が発生する日数の場合、犯人となっているキャラクターの不安値を確認します。犯人に不安臨界以上の不安カウンターが載っている場合に事件は発生します。脚本家は「事件が発生する」ことを宣言し、その効果を処理します。

一方、犯人に不安臨界以上の不安カウンターが載っていない場合は、事件は起こりません。脚本家は「事件は発生しなかった」ことを宣言します。

これで一日が終わり、次の日へと移る事になります。

 

ここまで、ゲームの世界観・脚本・ルール等について説明してきました。ここからは実際のプレイの様子を見ながら、具体的にどのようにゲームが進むのか、またその面白さについて触れていきたいと思います。

プレイ記(リプレイ)

私と友人三人の四人で遊んだ際の記録です。脚本家は私が務め、友人三人は主人公を務めました。

脚本の公開

まず、脚本家は主人公サイドに今回遊ぶゲームにおける「脚本」を説明します。といっても、もちろん脚本の隅から隅まで教えるのではなく、あくまで公開情報の範囲までとなります。

つまり、ループ回数および日数、登場するキャラクター、事件の発生予定までを主人公に公開します。採用されているルールYとルールXが何か、各キャラクターにどの役職が割り当てられたか、事件の犯人は誰かは非公開です(というか、それが何かを主人公が推理するのがこのゲームの根幹なのです)。

今回の惨劇の脚本(公開情報)は以下のような内容でした。

ループ回数および日数

4ループ/7日間

事件発生予定
日数 発生する事件
1日目
(なし)
2日目
不安拡大
3日目
行方不明
4日目
蝶の羽ばたき
5日目
(なし)
6日目
病院の事件
7日目(最終日)
遠隔殺人
登場キャラクターおよび初期配置

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場所 登場キャラクター
都市
サラリーマン/情報屋/アイドル/手先
学校
女子学生/お嬢様
病院
ナース/入院患者
神社
巫女

 

今回はゲーム内の時間で7日間(=7ターン)、「惨劇」を発生させずに乗り切ることができれば主人公の勝利です。もし、この7日間を過ごす中で惨劇の条件(主人公の敗北条件)を満たしてしまうと、主人公は敗北となります。

しかし、これまでにもお伝えしてきた通り、主人公は敗北しても世界をやり直すことができる能力を持っています。そのため、主人公が敗北した(=「惨劇」が回避できなかった)としても、今回の世界は4ループなので、主人公は全部で3回までは敗北しても構いません。全4回のループの中で一度でも惨劇を回避できれば勝利となります。

1st Loop

ゲーム開始時、主人公は上記の公開された脚本の情報以外は何も推理材料がありません。そのため、大抵は脚本家の思いのままに展開が進みます。

2日目~4日目に設定された事件「不安拡大」「行方不明」「蝶の羽ばたき」は、脚本家によってばら撒かれた不安カウンターにより、全て発生しました。主人公には犯人の目星がつかないので、阻止できないのは仕方ありません。

しかし、そんな中、事件「行方不明」については、発生した内容から犯人が【お嬢様】であると分かりました。

事件「行方不明」

犯人を任意のボードに移動させる。その後、犯人のいるボード(場所)に暗躍カウンターを一つ置く。

事件発生によって、移動したキャラクターが【お嬢様】だったのですね。よって、この事件の犯人を主人公は把握できました。

また、事件発生日に不安が臨界に達していた者が複数存在したために犯人が分からなかった事件についても、その時点で犯人となりうる者(不安臨界まで不安が達していた者)について、今後の推理の際の材料とするため、主人公は記録を残していきます。

さて、主人公はループ中、【情報屋】の友好値を高め、彼女の特殊能力を使用してもらう事に成功します。

【情報屋】の特殊能力は、脚本家が採用した「ルールX」1つの情報公開です。この結果、ルールXの1つが「不穏な噂」である事を主人公たちは知ります。

ルールX「不穏な噂」

役職としてミスリーダーを登場させる。また、脚本家は能力利用フェイズにおいて、好きなエリアに暗躍カウンターを1つ置いてよい。(1ループにつき1回制限)

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また、更に主人公は【サラリーマン】との友好値を深める事で、友好能力である「自身の役職を開示する」を使用し、彼の役職がパーソン(一般人)である事も聞き出しました。

物語は進行して6日目。この日は事件「病院の事件」が設定されていましたが、発生せず。

しかし、最終日に設定された事件「遠隔殺人」は発生し、これにより暗躍2以上となっていた【女子学生】が死亡しました。

事件「遠隔殺人」

暗躍カウンターが2つ以上置かれているキャラクター1人を死亡させる。

そしてその直後、このループでは主人公が敗北した旨を、脚本家である私から告げました。これで、第1ループは終了です。

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殺害された【女子学生】。友好カウンターが2つ以上置かれているとき、同じエリアにいる自身以外の学生(今回のゲームではお嬢様・巫女・アイドルが該当)1人に載せられている不安カウンターを1つ除去する能力を持っています。

 

さて、ループが終了すると、「時の狭間」と呼ばれる主人公の相談タイムが始まります。このゲームでは、ループ中は主人公同士の相談が一切禁止ですので、ループ間の相談タイムは貴重な意見交換の場です。ちなみにこの日のゲームでは相談タイムについて10分間を設けることとしました。

第1ループで明らかになった事は色々ありましたが、主人公サイドが最も重要な情報と考えたのは、【女子学生】が死亡した直後に主人公が敗北したという事実です。

死亡した直後に主人公が敗北となる役職は、次のどちらかです。

役職:キーパーソン

死亡すると、即座に主人公は敗北する。

役職:ファクター

・「都市」に暗躍カウンターが2つ以上載せられている場合、キーパーソンと同じ能力を持つ(つまり死亡すると、即座に主人公は敗北する)。

・「学校」に暗躍カウンターが2つ以上載せられている場合、ミスリーダーと同じ能力を持つ。

(参考)役職:ミスリーダー

脚本家による能力使用フェイズで、このキャラクターと同一のエリアにいるキャラクター(ミスリーダー本人でも可)に不安カウンターを1つ置いてよい。

今回のループ終了時、「都市」に載せられていた暗躍カウンターは2つでした。したがって【女子学生】がキーパーソンとファクターのどちらであるかまでは絞れません。しかし、少なくともそのどちらかという事は間違いないと主人公は判断します。

また、キーパーソンあるいはファクターが存在するという事からの逆引きによって、

  • ルールY「殺人計画」:キーパーソンが登場する
  • ルールY「僕と契約しようよ!」:キーパーソンが登場する
  • ルールX「不定因子x」:ファクターが登場する

この3つのルールの内、最低1つは採用されているという事も主人公は把握しました。

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ちなみに、こちらはループ中の行動記録や推理過程が書かれた主人公サイドの一人が書いていたノートです(第1ループ終了時点)。

色々な情報が書き込まれてますね。何が起きていたかが分からないと推理の仕様がないため、主人公サイドはこまめにメモを残しつつ、プレイを進めます。

そうこうする内に、決めていた10分が経過しました。場はリセットされ、新たなループが始まります!

2nd Loop

第2ループで主人公は「第1ループと同じ展開で負ける事だけは回避する」ように動きます。全く同じ展開で負けてしまうと、新情報が何も出ないためです。

主人公は第1ループにおいて、遠隔殺人の事件で殺されてしまった【女子学生】を保護します。たとえば、脚本家から何かしらカードがセットされた場合に、それが「暗躍カウンターを載せる」効果であることを警戒して「暗躍禁止」のカードをセットするようにする、とかですね。

これは、遠隔殺人の事件では、殺害の対象に暗躍が載っていなければ殺されないというのもありますし、またこの時点ではルールYに「僕と契約しようよ!」が採用されており、その上で【女子学生】がキーパーソンだとすると、彼女に暗躍カウンターが載るのはそれだけで敗北条件となるかもしれないという危惧もありました。

ルールY「僕と契約しようよ!」

・属性:少女のキャラクターの誰かがキーパーソンとなる。

・キーパーソンに暗躍カウンターが2つ載っている状態でループ終了した場合、主人公は敗北する。

上記のどちらを防ぐのにも、【女子学生】に暗躍が載るのを警戒するのは正しい判断です。

一方で主人公は更に、未だ犯人が分からない各種の事件で、その犯人を特定しようと、各キャラクターの不安値を制御し始めます。

第1ループでは各種の事件が起きた際に、不安臨界に達していたキャラクターが複数いたために誰が犯人なのか絞り込めませんでした。そこで第2ループでは、その時と各キャラクターの不安値が異なるようにコントロールし、第1ループとは別の条件となるようにしていきます。

たとえば、第1ループである事件が発生した際に、AとBの2人のキャラクターが不安臨界に達していたとします。しかし、第2ループではこの内、Aだけが不安臨界に到達しており、Bは不安臨界に到達させないようにします。この状況で、事件がもし発生したら単純にAが犯人と分かりますし、またもし事件が発生しなければBが犯人だと分かる事になります。

こうした努力の結果、主人公は事件「不安拡大」の犯人が【アイドル】、「蝶の羽ばたき」の犯人が【手先】であると見破りました。

事件「不安拡大」

任意のキャラクター1人に不安カウンターを2つ置き、それと異なるキャラクター1人に暗躍カウンターを1つ置く。

事件「蝶の羽ばたき」

犯人と同一エリアにいるキャラクター1人(犯人自身でもよい)に何らかのカウンターを1つ置く。ルールYで「未来改変プラン」が採用されている場合、そのループ中に「蝶の羽ばたき」の事件が発生したなら、ループ終了時に主人公は敗北する。

また、第1ループ同様に主人公は【情報屋】と仲良くなることで、再度友好能力を使用します。それによって、既にルールXの一つが「不穏な噂」であることは【情報屋】から教えてもらっていましたが、更にもう片方のルールXが「不定因子x」である事も彼女に教えてもらいます。

ルールX「不定因子x」

役職としてファクターを登場させる。

更にループ中における脚本家による能力利用フェイズにおける不安値の上昇のされ方から【手先】の役職がミスリーダーである事も主人公は見破りました。

役職:ミスリーダー

脚本家による能力使用フェイズで、このキャラクターと同一のエリアにいるキャラクター(ミスリーダー本人でも可)に不安カウンターを1つ置いてよい。 

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【手先】は不安臨界が1と、キャラクターの中では最も事件を引き起こしやすい内の一人です(ちなみにこのゲーム中ではもう一人、【お嬢様】も同じく不安臨界1と低いキャラクターです)。まさに脚本家の手先のような存在。

但し、主人公との友好値が3以上ある場合においては、自分が犯人の事件を起こさないという能力(?)も持っています。

主人公と接することで改心したようなイメージと捉えると理解しやすいですね。そのため、彼が犯人の事件を防ぎたければ、彼の不安を抑えなくても、事件発生当日までに彼の友好値を上げてしまえばよい訳です。

 

こうして情報収集を進める主人公でしたが、6日目に予定されていた「病院の事件」がこのループ内では発生してしまいます。

事件「病院の事件」

・病院に暗躍カウンターが1つ以上ある状態で発生すると、病院のキャラクター全員が死亡する。

・病院に暗躍カウンターが2つ以上ある状態で発生すると、主人公を死亡させる(主人公の敗北)。

この事件は発生した際、病院に載っている暗躍カウンターの数によっては、直接主人公を死に至らしめる(=敗北する)という凶悪な効果を持っています。そして今回の事件発生時、病院には暗躍カウンターが2つ載っていました。

この点には実は、第1ループの終わりにおいて主人公サイドが「女子学生」に対する暗躍カウンターが載ることを警戒しようと判断した(せざるを得なかった)ことが影響しています。

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主人公サイドの手札には、脚本家がキャラクターやボードに載せて用いる「暗躍+1」を防ぐためのものとして「暗躍禁止」があるのですが、このカードは二人以上が出した場合は無効にするというルールがあります。

カードの配置についての説明時に暗躍を巡る駆け引きに関して言及しましたが、この「主人公は2箇所に暗躍禁止を置けない」というルールが、尚のこと主人公サイドのカード配置に対して悩ましさを生じさせるのです。

今回のゲームではたとえば「病院」や「都市」などのボード上に対して私(脚本家)が「暗躍+1」と思しきカードをセットしても、同時に【女子学生】にカードをセットされてしまうと、主人公は「【女子学生】の暗躍を抑える」という方針を貫く場合、場所に対してセットされた「暗躍+1」は常に通すしかないことになります。そのため、主人公は病院の暗躍が増えることは回避できなかったのです。

結果として、主人公は「病院の事件」による効果で、第2ループも敗北となります。

ただし、同時に状況から【ナース】が「病院の事件」の犯人であることも確定しました。

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「病院の事件」の犯人である【ナース】。何が起こったのかは知らないが、主人公三人は全員、彼女が病院で引き起こした事件で死んだ。一体、彼女は何をやらかしたのか……。

【ナース】の友好能力は、同じエリアで自身以外の不安臨界以上の不安カウンターが載っているキャラクター1人の不安カウンターを1つ減らすというもの。なお「自身以外」と書かれているため、自分自身のメンタルケアまではできません。

3rd Loop

第3ループを始めるにあたり主人公は、第2ループ終了後の「時の狭間」において、下記の方針を定めました。

  1. 【女子学生】と「場所」(特に病院)、双方の暗躍カウンターを抑える必要がある。どちらを抑えるべきかは個々で判断する。但し、【女子学生】に誰かが「暗躍禁止」と考えられるカードを置いた場合、その後に「場所」に対して「暗躍禁止」カードをセットするのはしないようにする(もし【女子学生】に置いたカードが実際に「暗躍禁止」だった場合、「場所」に対しても「暗躍禁止」をセットすると、2枚以上出ていることにより無効になってしまう)。また、その逆に「場所」に対して誰かが「暗躍禁止」をセットしたと考えられる場合にも、同様の理由で【女子学生】に「暗躍禁止」カードはセットしない。
  2. 各事件の犯人の不安値をケアする。特に【ナース】が犯人である「病院の事件」については要警戒。

 

かなり細かく方針を決めていますが、これはループ中は相談禁止であるためです。「あのカードは暗躍禁止だから、他の人は暗躍禁止置かないように!」といったやり取りができないので、事前に申し合わせておくしかないのですね。

主人公は上記の方針の内、特に2への対策として【アイドル】の友好度を高めることを行いました。

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彼女の友好能力は「同じエリアにいるキャラクターの不安を-1する」というもの。確かにこの能力が使えれば、【ナース】の不安値を下げる事ができます。

しかし、主人公が自身の能力使用フェイズで【アイドル】の友好能力を使用しようとしたところで、脚本家の私は「【アイドル】の能力は使えない」旨を告げました。

これは、もちろん私がズルをしている訳ではなく、きちんと根拠があります。

実は「役職」の中には友好無視という属性を持っている者が存在します。友好無視属性とはその名の通り、友好能力を使用しようとした際にその効果を無視する(使用させない)というものです。

★友好無視属性を持つ役職

クロマク・キラー・ファクター:友好無視

カルティスト・ウィッチ:絶対友好無視

また、この友好無視にも「友好無視」と「絶対友好無視」の二つがあります。

「友好無視」の場合は、友好能力を使うように主人公が宣言した際、脚本家はそれを拒否してもしなくてもよいです。

それに対して「絶対友好無視」の場合は、友好能力を使うように主人公が宣言した際、脚本家は絶対に拒否しなければならないという違いがあります。

【アイドル】の友好値をせっせと高めたのに能力が使えないのは主人公にとって痛手ですが、一方で【アイドル】は役職がパーソンではない事が確定するので、まるっきりの無駄足というわけでもありません。

このループでは事件の発生をある程度防いできた主人公でしたが、まだ犯人が特定できていなかった最終日の事件「遠隔殺人」だけは起こってしまいました。そしてまた、この際に【女子学生】に暗躍カウンターが2つ載っていたため、第1ループ同様に彼女は殺害されてしまいました。

しかし、事件が発生した際の各キャラクターの不安値の状況から、この事件の犯人が【サラリーマン】である事が確定しました。

また、【女子学生】が死亡こそしたものの、第1ループとは異なり、私(脚本家)は主人公の敗北をその場で宣言しません。【女子学生】が死んだ時点では、主人公の敗北は決定していないのです。

そして7日目が終わり、ループの終わりまで到達したところで、脚本家である私は「主人公はこの時点で敗北しています」と伝えました。

 

第3ループも主人公の敗北で終わった訳ですが、その後の「時の狭間」で主人公らは起こった事象から推理を開始します。

まず話題に上ったのは、ループの最後に起こった事象です。すなわち【女子学生】が死んだその直後に主人公は敗北せず、しかしループの終点にたどり着いた時点で主人公が敗北となったのは何故か。
もし、【女子学生】が役職:キーパーソンであったなら、死亡した瞬間に主人公の敗北が告げられるはずです。しかし、今回はそうはならなかった。

この現象と第1ループの終わり際とを合わせて考えると、【女子学生】は死ぬと必ず敗北となるキーパーソンではなく、死んだ際に条件付きで敗北となるファクターだったのだと主人公は結論しました。ファクターは都市の暗躍が2以上でなければ死亡しても主人公敗北とならず、実際に第3ループでは都市の暗躍は2に達していませんでした。

では、何故このループでは何故主人公は負けたのか?

これは、実は第3ループ終了時にエリア「神社」の暗躍値が2以上になっていた事が原因でした。主人公は状況を精査しますが、盤面上、敗北条件となりうる事象はこれだけです。この瞬間、これまでずっと不明だったルールYについて、「封印されしモノ」であると確定しました。

ルールY「封印されしモノ」

・役職としてクロマクとカルティストを登場させる。

・ループ終了時点で「神社」に暗躍カウンターが2つ以上載せられている場合、主人公は敗北する。

役職:クロマク

同一エリアのキャラクター1人、またはこのキャラクターのいる場所に暗躍カウンターを1つ置いてよい。 

役職:カルティスト

同一エリアのキャラクター、またはこのキャラクターのいる場所に対する主人公の「暗躍禁止」を無効にしてもよい。 

なお、議論の最中ではルールYが「巨大時限爆弾Xの存在」である可能性は無いのか? という点も言及されました。

ルールY「巨大時限爆弾Xの存在」

・役職としてウィッチを登場させる。

・ループ終了時点でウィッチの初期配置エリアに暗躍カウンターが2つ以上載せられている場合、主人公は敗北する。

役職:ウィッチ

能力はない。絶対友好無視。

これも「特定のエリアに暗躍カウンターが2つ以上載っていると主人公が敗北する」系のルールYでした。これが採用された可能性は無いのでしょうか?

しかし、整理するとこれはありえないという事が分かります。

もしルールYが「巨大時限爆弾Xの存在」だとすると、神社に暗躍2で敗北となった事から、役職:ウィッチの正体は【巫女】でなければならないはずです。ですが、仮にそうだとすると、同じく友好無視の【アイドル】は一体何の役職なのかという疑問が生じます。

つまり、ルールYが「巨大時限爆弾Xの存在」だとすると、ウィッチ以外の正体不明の友好無視の役職は場に存在しない事になるため、【アイドル】が友好無視の属性を持っている事実との矛盾が生じることになるのです。

したがって、やはりルールYは「封印されしモノ」で確定するのです。

ちなみに、手前味噌ながら脚本作成段階でのポイントの一つに触れておくと、今回はルールYが「封印されしモノ」でありながら、発生する事件の中に「邪気の汚染」が存在しないというのがキーポイントの一つでした。

事件「邪気の汚染」

・神社に暗躍カウンターを2つ置く。

素直な脚本の場合、ルールY「封印されしモノ」と、事件「邪気の汚染」の存在は大抵セットとなっており、この事件の発生=敗北条件に直結するという仕掛けを用意します。

しかし、今回はこの事件を脚本作成段階で敢えて外しました。

これには二つの理由がありました。一点目は事件の配置からルールYが何であるかに関する主人公側の読みを外すこと(ミスリード)であり、二点目はこの事件がある場合、おそらく脚本家が有利になり過ぎると考えた(難易度調整)ためでした。

 

さて、ルールYが明らかになった事で様々な事実が明確になります。主人公は以下の通り、状況を整理しました。

  • ルールYは「封印されしモノ」
  • ルールXは「不穏な噂」と「不定因子x」
  • 主人公の敗北条件は以下の3つに絞られる。どれか一つでも満たせば敗北。

①都市の暗躍2以上でファクターである【女子学生】が死亡する。

②病院の暗躍2以上で【ナース】が犯人の「病院の事件」が発生する。

③神社の暗躍2以上でループ最終日を終える。

  • 登場する役職はクロマク・カルティスト(ルールY「封印されしモノ」で追加)、ミスリーダー(ルールX「不穏な噂」で追加)、ファクター(ルールX「不定因子x」で追加)の4つ。
  • ミスリーダーが【手先】、ファクターが【女子学生】であることは判明済み。
  • クロマクとカルティストの正体が分からないが、友好無視をした【アイドル】はそのどちらかである。

 

これまで全3回に渡るループで幾度となく敗北してきた主人公でしたが、彼らはここに至りようやく、悪意ある脚本家の仕掛ける「惨劇」を回避する条件の解明に至りました。

主人公は最終ループで、以下のどちらかを満たすことで勝利となります。

  1. 各種の敗北条件を回避してループ最終日を終える。
  2. 全役職の正体を暴く(つまり、現時点では判明していないクロマクとカルティストの役職が、どのキャラクターに割り振られたのかを解明する)。

 

ただし、次のループがラストチャンス。このループで敗北すると、主人公はもう時間を巻き戻すことはできず、脚本家の勝利が確定します。

 

さあ、最後のループを始めましょう!

Final Loop

最終ループでは、主人公はルールYが「封印されしモノ」であるとはっきりしたことで、【女子学生】への暗躍が載ることを過度に恐れない方針に切り替えました。

これまで、主人公サイドはルールYが「僕と契約しようよ!」ではないかと疑っていました。そしてその時は、彼女に暗躍が2つ載るとそれだけで敗北条件を満たす事になるため、警戒レベルは高かったです。

しかし、実際には彼女に暗躍が載るだけでは敗北せず、同時に「都市」に暗躍カウンターが2個以上載った上で殺されない限りは負けない(第1ループで敗北したのはファクターの能力によるもの)と看破した現在では、むしろ警戒すべきは「都市」への暗躍カウンターの配置だと認識を改めたのです。

その他に警戒すべきは同じく場所である「病院」への暗躍カウンターの配置、そしてその上で【ナース】の不安上昇によって起こされる「病院の事件」による敗北です。

また、もちろん「神社」への暗躍カウンターの配置も警戒が必要です。ここに2つ以上の暗躍カウンターが載ると、主人公は敗北が確定します。

つまり、主人公サイドが警戒すべきは総じて、脚本家による各種の場所への暗躍カウンターのセットだと気付いたのですね。

 

しかし、最終ループで行動を変えるのは、脚本家である私も同じことです。

脚本家の私は、これまでのループでずっと存在を隠匿していたクロマクの能力を使い始めます。

今回のゲームでは上で書いた通り、都市・病院・神社への暗躍カウンター配置が主人公敗北に影響します。そのため、各ターンで暗躍カウンターを強制的に配置する事ができるこの能力は非常に強力です。

ただし、一方でクロマクの正体が発覚することは脚本家の敗北に繋がるため、絶対に避けなくてはいけません。そのため、まだ役職が判明していないキャラクター(主人公がクロマクかどうか絞り切れないキャラクター)が同一エリアに固まっているときにだけ能力を発動していきます。

他方、主人公は【巫女】の友好値を高める戦術を取ります。【巫女】は強い友好能力を2つ持っているキャラクターです。

キャラクター:巫女

・友好値3以上:「神社」にいるとき、このボードに置かれた暗躍カウンターを一つ取り除く

・友好値5以上:同一エリアのキャラクターの役職を教えてもらう事ができる。<1ループにつき1回までの制限あり> 

主人公はこれで神社に対する暗躍の増加をけん制しつつ、まだ役職がわかっていないキャラクターの正体を見極めようとします。

この流れの中で、脚本家である私は、神社に暗躍を配置して勝利するのは困難と判断し、「都市」の暗躍値2以上の状態で事件「遠隔殺人」により【女子学生】を殺害することに狙いを定めました。

ポイントとなるのは「都市」および【女子学生】に暗躍カウンターを配置すること。この点について、クロマクの能力がやはり強力なのと、また直接的な敗北条件である「神社」への暗躍配置との二択などを迫られると、どうしてもそれ以外への暗躍は通しがちになってしまうのとで、主人公は暗躍値の制御で遅れをとっていきます。

ならば、「遠隔殺人」の犯人のサラリーマンの不安値を抑えれば……と動こうとしますが、既に正体が看破されているミスリーダーである【手先】がばんばん能力を使って不安カウンターをサラリーマンに載せていくので、そちらも抑えられません。

次第に主人公はどう足掻いても事件「遠隔殺人」の発生を食い止められない状況にまで追い込まれます。

そんな中でも主人公は諦めずに、役職が不明である【ナース】を【巫女】と同一のエリアまで連れてくる事に成功します。そして【巫女】の友好能力によって【ナース】がパーソンである事を知りました。

ここで【ナース】がクロマクかカルティストであると判明すれば、あとは【アイドル】が残った片方の役職という事になるので、全役職の看破となり主人公勝利だったのですが……。

ただ一方で、そうならない事を私(脚本家)が知っていたからこそ、【ナース】と【巫女】の合流を許したという側面もあります。もし【ナース】がいずれかの役職持ちだったとしたら、脚本家の持つ移動カードを用い、可能な限り彼女らの合流は妨害していたでしょう。

結局、最終日にサラリーマンが犯人である事件「遠隔殺人」が発生し、【女子学生】は死亡。この際に都市の暗躍値が2以上だったため、第1ループと同じ条件で主人公は敗北となりました。

これをもってループ上での勝負は終了ですが、主人公には脚本家の配役を推理し指摘する「最後の戦い」と呼ばれるチャンスが残されています。根拠はどうあれ、ここで配役を完璧に言い当てることができれば主人公の勝利となります。

 

「最後の戦い」

状況を整理すると、ファクターが【女子学生】、ミスリーダーが【手先】である事までは主人公は把握しており、最終ループ終了時点で正体が明確になっていないのはクロマクとカルティストの2人です。そして、【アイドル】に対して脚本家が友好無視を行ったため、彼女はクロマクかカルティストのどちらかである事までは分かっています。

カルティストは誰か

主人公は【アイドル】がカルティストの可能性濃厚と判断しました。

その根拠は、第3および最終ループで共に、脚本家の行動で【アイドル】が都市から神社へと幾度となく移動させられていたからというものでした。

最終ループで私(脚本家)はクロマクの能力を発動して「都市」に暗躍カウンターを配置していきました。だとすると【アイドル】を「神社」に移そうとする私の行動は、彼女がクロマクだとするとおかしなことになります。

私は口には出しませんが、その判断は正解で、【アイドル】の正体はカルティストでした。

私(脚本家)が【アイドル】を「神社」に移動させたのは、最終的にルールY「封印されしモノ」の勝利条件(神社に暗躍2以上)を満たす際に、主人公の「暗躍禁止」を無効にするという役職能力が役立つ可能性があると思ったためでした。結局、最終ループでは巫女の友好度が高められ、神社に暗躍カウンターを配置しても除去されてしまう状況になったため、そうした行動は取りませんでしたが……。

クロマクは誰か

残る最後の謎はクロマクの正体が誰か。最終的に今回のゲームの要はここになるとあらかじめ想定していたので、クロマクの正体だけは徹頭徹尾、隠してきました。

果たして主人公は誰が文字通り黒幕だったのかを暴けるかどうか?

最終ループの開始時点でクロマクの容疑者は【アイドル】【ナース】【入院患者】【巫女】【情報屋】【お嬢様】の6人でした。しかし、最終ループでとうとうクロマクが能力を利用した事もあって、容疑者は絞られていきました。

  • 【アイドル】は前述の通りカルティストであると主人公は仮決めした(そして、実際正解)ので、クロマクではない。
  • 【ナース】は【巫女】の能力でパーソンと確定。クロマクではない。
  • 【巫女】と【入院患者】は、エリア「都市」に入れない(後述)。最終ループでクロマクは「都市」で能力を利用していたので、クロマクではない。

 

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クロマク候補から外れた二人のキャラクター【巫女】と【入院患者】。

【巫女】は箱入り娘過ぎて「都市」という不浄の地には足を踏み入れられません。また【入院患者】は「病院」から動けないため、やはり「都市」には移動できません(今回のゲームでは登場しなかった【医者】の能力を使うことで移動可能になります)。

 

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残ったクロマクの候補は【お嬢様】と【情報屋】です。

この二人のどちらかが、今回の惨劇を裏で糸引く存在なのです。

ここで主人公の議論のポイントとなったのが、主人公が第1・2ループで【情報屋】と友好を深め、ルールXの開示という特殊能力を使用できたという点です。

第3ループで主人公は【アイドル】に友好能力の使用を拒否されましたが、これはカルティストのもつ属性:絶対友好無視によるものでした。

そして、上で友好無視について説明したところでも書きましたが、クロマクも友好無視の属性をもっており、この能力使用の拒否が脚本家には可能です。

但し、拒否するかどうかは任意なので脚本家は拒否せずに能力使用を許すこともできます。

それでは、第1・2ループでの【情報屋】の友好能力の使用は

  • クロマクでないから行えたのか?
  • クロマクだが、それを隠すために脚本家が拒否しなかったから行えたのか?

 

長かったゲームも、最終的にはこの二者択一に勝敗が収束しました。

主人公は議論するも結論は出ず、最終的に多数決で答を出す事になりました。その結果、【お嬢様】2票に【情報屋】1票とはなり、主人公の回答はクロマク=【お嬢様】と決まりました。

 

しかし……残念ながら、クロマクの正体は【情報屋】でした。これにより、主人公の敗北が決定しました。

脚本を作成していた時の私の想定では、最後の局面でクロマク候補が【情報屋】と誰かに絞られた上で

能力使用をこれみよがしに許しておきながら【情報屋】がクロマクというオチだな……さすが脚本家、考える事が狡いな

という論調で【情報屋】がクロマクに違いない!と指摘されると思っていたのですが(笑) そうした結論にはならなかったようです。

そうした可能性について、主人公ももちろん考慮はしていたようでしたが、最終的には【情報屋】が友好能力を使えたのはパーソンだったから、という意見が多数派を占めたようでした。 

ともあれ、こうして、およそ5時間弱(長い!)に渡って行われた今回のゲームは、脚本家の勝利で終わったのでした。

まとめ

ルール説明から実際のプレイの様子まで網羅したら、かなりの長文記事になってしまいました。すっ飛ばしてまとめの項を先に読まれている方がもしいましたら、必要な個所だけつまみ食いして読んで頂ければと思います。

『惨劇RoopeR』は主人公・脚本家ともに非常に濃密な時間を過ごせるゲームだと思います。

プレイ時間は確かに長い(脚本の内容にもよりますが、まともに展開すれば最低でも90分くらいは掛かると思う)のですが、ダレるというよりは終始楽しい時間が続く感じです。その分、頭もずっと使うので、多少疲れる部分もありますが。

謎解きゲームやパズルなどが好きな方は、このゲームはすごくハマると思います(特に主人公サイドは)。主人公間での相談禁止というのも、最初こそもどかしいのですが、慣れてくると大分阿吽の呼吸で動けるようになりますし、そうして主人公同士でうまく連携が取れると凄く気持ち良いです!

また、脚本家についても言及すると、脚本を作る準備はそれなりに労力が要りますが、その作業自体がまた楽しかったりするんですよね。どのルールにどの事件・どのキャラクターを組み合わせようか。各役職をどう動かそうか。ループの途中までどのルールと見せかけて主人公を翻弄しようか。そんな事を考えながら脚本を組んでいると、それだけでもう面白かったりします。

一方で、プレイするまでのハードルはなかなか高いのも、また事実かなとは思います。

まずプレイ人数は四人ぴったり揃えることが基本的には必要ですし、遊ぶ上では脚本家の事前準備は必須です(脚本を作るか、サンプル脚本を使うとしても最低限頭に入れてどう行動するかの指針くらいは考えておく必要がある)。かつ主人公含め、プレイヤー全員がゲームの基本原則を押さえる事が必要です(ちなみに、どのルールだとどんな役職がいるかとか、各役職の能力は何かとか、事件の内容は何かとかの細かい条件まで記憶する必要はありません。公式で用意しているサマリーがあるので、プレイ中はそちらを参照しながら遊ぶのが普通です)。

ただ、そうした遊ぶまでに越えなければならないハードルがあるものの、それを越えるだけの価値・楽しさを見出せるゲームであるのは間違いないと思います。

なお、このゲームは時々、経験者がレクチャを行ってくれるオープン会が度々開催されているようです。そのため興味を持たれた方の中で、いきなり自分たちだけで遊ぶのが難しそうだと考える方がもしいましたら、まずはそうした会に出てみて、経験者から手ほどきを受ける機会を得てみるのもよいかもしれませんね。

以上、ゲーム『惨劇RoopeR』のゲーム概要の説明、およびプレイ記でした。

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