あるこじのよしなしごと

東京の片隅で、妻と4歳の息子と三人で暮らしています。 ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、遊んだゲーム、育児について、その他日常などを綴っています。

漫画『笑ゥせぇるすまん』第33話「夢に追われる男」感想

ざっくり言うと

お客様は悪夢による睡眠障害を抱えた男。喪黒さんは男に夢をコントロールする飴を授けるが……。笑ゥせぇるすまんでは意外と少ない、お客様が死ぬ話の一つ。

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

漫画『笑ゥせぇるすまん』第33話の感想です。
感想の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
他方、あらすじの紹介が主眼ではないので、話の枝葉末節は記載しないつもりです。そのため、本記事を読むだけでは物語の内容は分からない可能性があることも、ご了承下さい。

第33話「夢に追われる男」

お客様について

シナリオライターの夢見亜士です。名前の由来は「夢見がわるい(悪し)」ことから。

夢見は自宅で妻との二人暮らし。最近、悪い夢を見ることから落ち着いて寝られず、何とか熟睡するために夜のランニングをしているところで喪黒さんに出会います。

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夢見が見る夢は、ライオンに追いかけられる夢でした。これは疲れそうですね。

ちなみにこの作品は『ギミア・ぶれいく』の中で放映されたアニメ版としては製作されておらず、2017年放映の『笑ゥせぇるすまんNEW』で初めてアニメ化されました。このアニメ版においては、夢見が見る悪夢が無数の謎の手に追いかけられる夢に改変されていました。ライオンに追いかけられる夢も確かに怖いですが、こちらのほうがより疲弊しそうです。

「何かに追われる夢」の意味は?

ところで、夢見は漫画版もアニメ版も、何かに追われる夢を見るという点では共通しています。この「何かに追われる夢」というのは夢の中でもメジャーな内容と言われているようですね。

何かに追われる夢が意味することについての説明としては、上のサイトの記事が面白かったです。中でも、なるほどと思ったのは

夢を読み解く上で重要なポイントは『あなたがどのように感じたのか?』という部分

という記述ですね。単純に追われて逃げるにしても、その夢を見た自分がどう感じていたかで解釈は変わるのですね。

ちなみに、夢見が漫画版で見たライオンに追われる夢の解釈の一つとしては、上司など自分よりも権威のある存在によるプレッシャーで、心理的抑圧を受けているというものがありました。シナリオライターからすると、その相手は編集長という事になるのでしょうか。とすると、夢見は創作活動について何らかの行き詰まりを無意識に感じており、そこから今回の悪夢を見るに至ったのかもしれません。

遊夢糖

喪黒さんは悪夢を見て苦しむ夢見に「遊夢糖」というアイテムを差し出します。

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遊夢糖は、見たい夢を見ることが出来るという夢見にとってはうってつけのアイテムでした。これを使えば怖い夢からは解放されます。しかし、気をつけなければならない点として、喪黒さんはこう忠告します。

ただし、一晩に一粒だけにしておいて下さい! いい夢を続けて見ようと遊夢糖を飲みすぎると、今度はあなた自身が夢に支配されることになりますから!

ものすごいトンデモな話ですが、それを言えば遊夢糖の存在自体がトンデモです。

ともあれ、夢見は喪黒さんから遊夢糖を受け取り、早速試すことに。すると……。

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セーラー服姿の美少女と海岸の砂浜で出会うという夢になりました。見たい夢ってこれかよ! という気持ちにちょっとなりましたが、まあそんなもんかもしれません。

ちなみにアニメ版では、美少女の服装がセーラー服ではなくなり、年齢も女子大生ぐらいに変わっていました。原作そのままだと援助交際的なクレームが付くでしょうし、妥当な改変ですね。

ライオンから追われる夢から解放され、大満足の夢見。しかし、ある日見た夢の中で、少女とキスする直前で目が覚めてしまった事から、その続きが見たい一心で、喪黒さんの忠告を破って遊夢糖を新たに飲んでしまいました。

ちなみに漫画版で夢見は遊夢糖を3粒余計に飲むだけなのですが、アニメ版では十数粒ほどを飲んで(というかバリボリと食べて)おり、その向こう見ずな様子に笑ってしまいました。

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喪黒さんの忠告を破り、一夜に複数の遊夢糖を摂取した結果、夢の中の少女の態度は豹変してしまいます。豹変した少女のコマに書かれている「ジャーン!」というオノマトペの迫力が凄い(笑)

その後、喪黒さんに助けを求める夢見でしたが、遊夢糖の効果については取り返しがつかないため、喪黒さんにもどうしようもありません(どうにかしようがあったとしても、どうもしないでしょうが)。後は喪黒さんの言う通り、夢に支配されるしかないのです。しかし、「夢に支配される」とは一体どういうことなのか。

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結果として夢見は、それまで自分の思う通りに振る舞っていた夢の少女から、逆に彼女の思う通りになること、つまり無理心中することを強要されます。この後のコマで夢見は刺されるのですが、少女の思う通り、おそらく死亡するのでしょう。

漫画版でお客様が明確に致命傷を負うのはこれが2例目ですね。なお、1例目は第28話の「決断ステッキ」です。

夢をコントロールする方法(明晰夢)

夢をコントロールする力を持つ遊夢糖ですが、実はこのアイテムに頼らなくても夢がコントロールできるのはご存知でしょうか?

夢をコントロールする方法、それはずばり、明晰夢を見ることです。明晰夢とは夢の中で「これが夢である」と理解し、かつ、そのまま夢の中の状態を保つことです。この状態に入ると、自分の思うように夢をある程度コントロールすることができます。私自身は一度だけ成功した記憶があります。その時は空を自由に飛び回るイメージを実現できました。

ただ、夢の中でそれが夢であるという事に気付くと多くの場合、夢から覚めてしまうと思います。しかし、訓練を積む事で夢から覚めずに留まる確率を上げることができるそうです。

明晰夢の見方について改めて調べてみて、面白かったのは上の記事です。明晰夢の定義、明晰夢でできること、明晰夢を見るやり方などが実体験を含めて広く書かれていました。明晰夢に興味のあるかたは、一度調べてみては如何でしょうか。

遊夢糖の恐ろしさ

さて、喪黒さんの遊夢糖ですが、これは笑ゥせぇるすまんの他の話に出てくるアイテムに比べ、危険度が高いと思いました。

喪黒さんがアイテムを授けてくれる話は沢山ありますが、そのときには必ず破ってはいけないルールがあります。ストーリー展開上、結果的にお客様はそのルールを破る訳ですが、このルールの破られ方は様々です。お客様がルールを守れなくても仕方ないと思うケースもあれば、このルールを守れないのはどうなん? って思ってしまうケースもあります。

遊夢糖の場合、今回の夢見のルールの破り方はちょっとやらかし感が強い気がしますが、自分の立場に置き換えてみると、いつかは夢見と同じく遊夢糖を複数飲むという禁忌を犯してしまう気もします。

というのは、遊夢糖を追加で服用するかどうか、判断する瞬間は必ず夢から覚めた後という多少朦朧としているタイミングであるためです。夢見自身、夢の続きが見たかったという気持ちはある和でしょうが、普通の状態だったら思い留まったのではないでしょうか。この点、寝起きすぐという覚醒前の状態だった事が、判断力を鈍らせていた可能性もあります。

喪黒さんに課せられたルールを朦朧とした中で破ってしまう可能性が高いアイテム、それが遊夢糖です。おまけにペナルティは自身の命(必ず命を落とすと決まった訳ではないのかもしれませんが)。喪黒さんの授けてくれるグッズの中でも特に危険度が高い一品ですね。

以上、『笑ゥせぇるすまん』第33話の感想でした。


§ 本記事で掲載している画像は藤子不二雄A『笑ゥせぇるすまん』より引用しています。


笑ゥせぇるすまん (2) (中公文庫―コミック版)

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