あるこじのよしなしごと

妻・息子2人(2014生:小麦アレ持ち/2019生)と四人で暮らしています。ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、育児、その他日常等について綴っています。

漫画『笑ゥせぇるすまん』第17話「夢のあと」感想

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

漫画『笑ゥせぇるすまん』第17話の感想です。
感想の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
他方、あらすじの紹介が主眼ではないので、話の枝葉末節は記載しないつもりです。そのため、本記事を読むだけでは物語の内容は分からない可能性があることも、ご了承下さい。

第17話「夢のあと」

お客様について

サラリーマンの浦島太一です。明らかに浦島太郎から取った名前ですね。これは分かりやすい。

タイトルにもある通り、浦島さんには夢があります。それは、一流ホテルに客として泊まることでした。

ホテル名はニュープラザホテル。浦島太郎と掛けているあたり、プラザは竜宮城の「宮」と掛かっているんでしょうね。ちなみにアニメ版ではより分かりやすく「HOTEL NEW RYUGU」となっていました。

喪黒さんは、自分の夢を語った浦島に対して

いまの人たちは若くて夢をなくしているのに、あなたのような年齢の方でまだ人生の夢をもっていらっしゃるなんて、すばらしいことです

と声を掛けます。

私からすると「失われた20年」を経て夢を見る事がしづらくなった昨今に比べ、昔はもっと夢を持ちやすかったんじゃないかなと単純に思ってしまいます。

しかし、本作品が連載されていたのは1969年頃。にも関わらず、当時の世代の方からしてみると、もうその頃には既に夢を持ちづらいという感覚だったのか……と思うと、なかなか興味深いです。

その後、喪黒さんは浦島さんに対して「家族のためにずっと働いてきた貴方にとって、少しくらい贅沢は許されるはずです」とドーン!しながら、夢の実現を後押しします。

夢の実現

浦島さんが家に帰ると、奥さんが子供の世話をしながら、帰りを待っていました。

奥さん、優しすぎる! 浦島さんは喪黒さんとの会話の事もあり、奥さんと一緒に今こそ夢を実現すべき時だと決心します。

浦島さんは喪黒さんにお礼を言いに、スナック魔の巣を訪れますが……。マスターが喋っている! 珍しいですね。

さて、喪黒さんを待っていた浦島さんですが……。

何処となく不穏な空気が漂い始めます。

その後、浦島さんは彼女にねだられ、一杯奢るのですが、その際にすっかり酩酊した浦島さんは……。

彼女と奥さんを混同してしまいます。喪黒さんが誤解を助長しているとはいえ、さすがに見た目が違いすぎると思いますが……。

ちなみにアニメ版をチェックすると、奥さんの家での格好と、魔の巣で会う女の格好で、服の色調が揃って濃い目のピンク系になっているんです。浦島さんの取り違えについて、少しでも説得力を持たせるための一工夫ですね。

夢のあと

その後、彼女と浦島さんはホテルへ。浦島さんも酔いが覚めた翌日には、取り違えに気付く訳ですが、押しの弱さもあって彼女にホテルに軟禁されてしまいます。三日目の朝にはようやく解放されるのですが……。

正体(?)を晒す女。浦島さん、ショックなのは分かるが、すっぴんを見て「おばけー!」はストレート過ぎませんかね(笑) なお、アニメ版では当然のようにこの台詞はカットでした。いかにもクレームきそうな箇所ですからね。

そしてラストは、大方の予想通り浦島オチでした。

「帰ったら自分の家が無くなっている」というオチは、以降も『笑ゥせぇるすまん』の中で多用されるのですが、浦島太郎をモチーフにしたこのエピソードだと、特によくはまっていますね。

浦島さんが可哀想

この話は、お客様に落ち度がほぼ無い、理不尽系の話でした。ただただ浦島さんが可哀想です。

まず、喪黒さんからの接待がほぼ無い。夢を後押ししてもらっただけです。喪黒さんなら、ホテルに招待くらいしてくれてもいいんじゃないかと、ちょっと思ってしまう。まあ、夢は自分の力(資金)で叶えるのが大事という事かもしれませんが。

次に、喪黒さんからの忠告も無い。むしろ、喪黒さんが夢を叶えることを推奨しており、その提案に乗っただけ。

なのに、喪黒さんの最後の口上は

夢はやっぱり夢のままおいといたほうがよかったのでしょうか

ですからね。いやいや、喪黒さんが言い出したことだからね?

最後は、浦島さんの言動にほぼ落ち度が無かったこと。少なくとも、私はそう感じました。

女に一杯奢るのは別に構わないでしょう。強いて言えば、奥さんと取り違えるくらい酩酊したのはまずかったかな。あとは、ホテルで取り違えに気付いてから、即立ち去らなかったのも良くなかったか。軟禁されるって言っても、強引に出てくればよかった。

こうしてみると、深みにはまらないためのアクションはそれなりにあったとも思いますが、自分の欲望のために身勝手な選択をしたという要素は無い。それで、家をまるごと失うってのはペナルティが大き過ぎやしませんかね……。

なお、アニメ版のラストでは「若い女と楽しい時間を過ごしたのは羨ましい」的なことを喪黒さんが下世話に語ってましたが、明らかに浦島さんがそれを望んでるように見えないからなあ。

やっぱり、お客様の中でも特に可哀想な部類に属するのは間違いないと思いますね。

以上、『笑ゥせぇるすまん』第17話の感想でした。