あるこじのよしなしごと

東京の片隅で、妻と4歳の息子と三人で暮らしています。 ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、遊んだゲーム、育児について、その他日常などを綴っています。

映画『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』感想

ざっくり言うと

主人公のティムはある日父親からタイムトラベル能力がある事を告げられる。ティムはそれを使って恋人を作ろうとするが……。ティムの行動原理は等身大で共感できた。この映画を観て日常の見方が変わったという人も。レイチェル・マクアダムスの可愛らしさも見所の一つ。

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

映画『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』の感想です。感想を書く上でその展開等に言及することになるため、一部展開に関するネタバレを含みます。但し、本作を楽しむ上で重要と思われる伏線やオチについては情報を伏せています。

概要

監督は、『Mr.ビーン』シリーズや『ノッティングヒルの恋人』『ブリジット・ジョーンズの日記』などの脚本を務め、また映画『ラブ・アクチュアリー』の監督でも知られるリチャード・カーティス。英・米による合作として2013年に制作、公開されました。

以下、allcinemaにて記載のあらすじを引用します。

イギリス南西部コーンウォール。何をやっても上手くいかない冴えない青年ティム。いまだ恋人もいない21歳の誕生日、父親から思いも寄らぬ事実を告げられる。それは、一家の男たちにはタイムトラベルの能力があるというものだった。驚くティムだったが、その能力を活用して恋人作りに奔走する。やがてロンドンで働き始めたティムは、チャーミングな女性メアリーと出会い、恋に落ちるのだが……。

映画 アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜 - allcinema

以下、本作の感想を書いていきます。

感想

主人公・ティムについて

ティムは物語の冒頭、自分に自信が無くて、どことなく頼りなく、また少し変わった言動で周囲を困惑させる様が描かれます。この印象はタイムスリップできるようになった後でもあまり変わりません。

しかし、そんなティムの印象が変わるのが、ロンドンでの居候先である、脚本家のハリーを助けるシーンでした。"運命の女性"メアリーと出会った翌日に、ハリーが手掛けた劇がキャストの台詞忘れによって失敗に終わった事を知ったティムは、タイムスリップをしてハリーの劇を成功に導くのです。しかし、それによってメアリーとの出会いは無かった事になってしまいます。

もし私がティムだったなら、メアリーとの出会いを優先し、ハリーのためにその夜をやり直す事はしないでしょう。何せハリーは、ティムが色々頑張ったが故に興行が上手くいったなどとは考えてくれないのです。ハリーがティムの献身を分かり得ないのは仕方ないですが、やはり切ないです。多分、多くの人がここでティムに対して好感を持ったのではないでしょうか。

もう一点ティムに惹かれたのは、初恋の人シャーロットと再会する夜のシーン。シャーロットに夜の誘いをかけられたティムですが、彼はシャーロットと交際する気は無いため、誘いを断るのです。これだって、誘いに乗るだけ乗って、満足したところでタイムスリップし、無かった事にするという手段もあった。そんな手を使ったとして、誰が気付く訳でもない。完全犯罪……いや、犯罪にすらならないのです。ティムがこの事に気付いてなかった訳はありません。それでも、ティムはタイムスリップを使わずに断った。格好良いと思いました。

ただ、この映画に対するいくつかの感想を読んだ限りだと、ティムはタイムスリップを都合よく使い過ぎだという批判もあるようでした。確かにティムが使うタイムスリップはほぼリスクが無いチート能力ですし、それを駆使してティムが幸せを手に入れたのは紛れも無い事実です。他者を能力によって出し抜き、ティムは生きています。その点では褒められたものではないのかもしれません。

ただ、これを自分に置き換えて考えてみたら、やっぱりティムのように能力を使ってしまうだろうなと思うんですよね。そんな中でも、上で挙げたような優しさやある種の誠実さを忘れないティムは、やっぱり好人物だと私は思いました。

日常の素晴らしさを再認識できる映画?

私が好きな漫画に『ヤサシイワタシ』という作品があります。

その中で自由奔放なヒロイン・弥恵が主人公に対して放つ言葉にこんなものがあります。

目の前暗くなれば、ぶり返すよ。思い出の善し悪しって、現状の満足度で決まるからね。

決して前向きな発言ではありませんが、確かにと思わされました。どんなに辛い思い出だって、今が良ければ笑い話です。どんなに嬉しい思い出だって、今が悪ければ後悔の源泉になってしまうでしょう。

そして、この映画です。映画の中でティムは父から聞いたノウハウにより、何でもない一日を2回繰り返すという行為を行います。一度目は何が起きるか分からない緊張もあって振り回されますが、二度目は何が起きるか分かる事で緊張が軽減され、余裕を持って日常を楽しめます。この経験を重ねる事でティムは、どんな日常であっても自分の心掛けや気の持ちようで、いくらでも輝く物なのだと悟り、やがては2回繰り返す事をしなくても人生を楽しめるようになるのでした。

このシーンについて感銘を受けて、自身の日常も輝かしいものだと前向きに捉えられるようになった! という感想が多く見受けられた……のですが、残念ながら私にはそこまで劇的なパラダイムシフトは起きませんでした。

ティムの考え方は素晴らしいし、普段の日常が実はそれだけで輝かしいものであるという話も頭では理解できます。ただ、実感を伴う理解にまでは至らなかったというのが正直なところです。

何でだろうと考えた時に、上で挙げた弥恵の言葉をふと思い出したのでした。つまり、それは実際にタイムトラベルを繰り返した末にティムの辿り着ける境地であって、それを経ていない自分にとっては、ティムのメッセージの理屈はわかるが額面通りには受け取れない、という気持ちになったのかもしれません。

父子関係への憧れ

この作品の最重要キーパーソンだと思ったのが、ティムの父親です。ティムにタイムトラベルの能力の事を伝え、上手くやるための方法論を説く男。そして、そうした能力云々は抜きにしても、メアリーを除けばティムの一番の理解者であり、ティムという息子の存在を誇りに思う父親です。

彼とティムはタイムスリップの事で会話を交わしたり、自宅で卓球に興じたりと非常に仲が良い。それでいてベタベタし過ぎという関係でもない。程よい距離感を保っています。その様子がとても見ていて好ましかったです。

二人の関係をより強固にしているのは、やはりタイムスリップの存在でしょう。彼らのみが知る重要な秘密。これを共有し、その事を互いに忌憚なく相談できる相手だからこそ、尚更に二人は互いの存在が重要で、愛おしく思うのでしょう。

しかし、タイムトラベラーとて不死身ではありません。ある時、ティムの父親にも避け得ない死が訪れます。それでも、ティムにしてみれば、タイムトラベルを行う事で生存している父がいる時点まで戻れば、会うことは可能でした(ティムはまだ見ぬ未来に飛ぶことはできませんが、過去に行ってから再び元の時間軸に戻ることは可能です)。

但しタイムスリップには、"ある時点"より過去に戻ることはできないという事実上の制約がありました。そしてこの制約がある中で、ティムはその"ある時点"の有り無しに関わる選択を求められます。

「過去の父に会いに行くことが出来る道を残す」のか、それとも「父と決別して未来を生きる道を選ぶ」のか……。

ティムがこの重過ぎる選択について決断を下したのちに、生前の父と二人で海辺で過ごすシーンは凄く良かったです。

レイチェル・マクアダムスの可愛さ

これまで殆ど、ティムが出会う女性メアリーについて言及していませんでした。彼女を演じたのはレイチェル・マクアダムスという女優さんです。

とにかく美しい。そしてそれだけでなく、仕草の一つ一つが可愛らしい。そりゃティムも何度もタイムスリップしてアプローチするはずです。

中でも良かった場面は、仕事でベストセラー作家と会う事になったメアリーがティムに着ていく服を選んでもらうシーン、そして、それに続いて起きるアクシデントでティムを責め立てるシーンですね。

全編を通じてメアリーは可愛らしいのですが、このシーン以外ではメアリーが割とティムを立てるというか、あまりティムを振り回している場面が無いのです。しかし、この場面では憧れのベストセラー作家に会える事でテンションが上がっているのか、ティムを思いのままに振り回します。そこが良かった。

メアリーを演じるレイチェル・マクアダムスの可愛らしさは、一見の価値ありです。

まとめ

本作はタイムトラベル作品ですが、SFというよりはヒューマンドラマとして捉えるのが正しいです。

自身がタイムトラベル能力の持ち主だと知った主人公のティムは、多少自分本位な部分もありますが、その行動原理は等身大で、またその優しさから好感が持てました。

ティムの父とティムの関係は憧れを感じました。この作品の魅力の一つです。特に終盤近くの海辺のシーンはぐっときます。

ヒロインのメアリーを演じるレイチェル・マクアダムスの姿も本作品の魅力の一つです。きっと、その可憐さに魅了される事でしょう。

以上、映画『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』の感想でした。

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