零奈と写真の子に関する考察その2。写真の子は二乃か四葉? ポイントは「零奈の正体がほぼ確定した」という事実にある。
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
漫画『五等分の花嫁』に関する記事です。本作の結末およびキーパーソンといえる零奈と写真の子について、現時点での自分なりの予想・考察を書いてみました。
なお、本記事は『五等分の花嫁』第9巻収録予定分(エピソード77話「女の戦」)までの内容に関するネタバレを含みます。未読の方はご注意下さい(ネタバレが含まれうる部分に差し掛かったら明示します)。
なお、本記事の考察の前提は下記の2記事となります。よろしければご一読下さい。
『五等分の花嫁』とは?
この記事で始めて『五等分の花嫁』について知ったという方のために、簡単に作品の内容をご紹介します。
『五等分の花嫁』は雑誌「週刊少年マガジン」で連載されている漫画作品です。作品のジャンルはラブコメです。2019年1月よりアニメ化もされました。
主人公は男子高校生の上杉風太郎です。容姿が非常に似通った中野五姉妹の赤点対策のために、風太郎が家庭教師として雇われる所から物語が展開されます。
作品の冒頭で、風太郎と中野五姉妹の誰かが結婚する事が示唆されます。従って、風太郎が中野五姉妹の誰かと結ばれる事は既に確定しています。
しかし、その容姿から、五姉妹の誰が花嫁となるのかは読み手には判断がつきません。そのため、最終的に五姉妹の内、誰が風太郎と結ばれるのかが物語の焦点となっています。
ちなみに上記以外にも、万年赤点だった五姉妹が学力不足を克服しようと努力したり、風太郎が五姉妹の間に流れる不和を解消しようと奔走したりする様は見所も多く、読んでいて面白いです。
また、容姿の似た五姉妹であるが故に、時に彼女らは変装・入れ替わりによって風太郎及び読者を翻弄するシーンがあり、読んでいて意表を突かれることもあります。
多少、設定は風変わりですが、そんな事は気にならなくなるくらい、展開が面白いです。上記の説明でもし興味を抱かれた方が居ましたら、読んでみて損は無いと思います。
次項から物語のネタバレを含みます。ご了承下さい。
写真の子が誰かについての考察
前述の考察記事にて、最後に風太郎が結ばれる相手は五月ではないかと書いていました。しかし、77話を読み終えた時点で考えを変えました。以降、考えを変えるに至った経緯を記載します。
元々の考えについてのおさらい
私の考えの根幹は「花嫁=零奈=写真の子」という等号関係を前提としていました。物語の展開的に、零奈=写真の子であり、そして花嫁はそれと同一人物であるという風に考えたわけです。
しかし、77話読了時点で上の等号関係の根幹が揺らぎました。零奈=写真の子ではない可能性が高まったためです。
零奈≠写真の子?
77話において、零奈の正体が五月だという事がほぼ確定しました。ここまでは前の考察で書いた内容と(たまたま)一致しているのですが、ではその零奈=五月が写真の子であるかというと、どうもそれが怪しくなってきました。
というのも私の考えでは、もし零奈が写真の子であり、風太郎の結婚相手であるなら、その正体は徹頭徹尾隠されるべきだからです。にも関わらず、77話で零奈の正体がほぼ暴露されました。とすると、物語の展開的に零奈(五月)がそのまま写真の子であり、また結婚相手であるという線は薄くなったのではと思ったわけです。
ところで、五月が写真の子ではないが零奈の振りをしたという事になると、その動機は何なのでしょうか。いまいち判然としませんが、想像できるとしたら
- 風太郎の写真の子に対する意識を断ち切るため(五月の独断)
- 写真の子に何らかの理由で頼まれたため(写真の子の依頼)
この辺でしょうか? 明確にできる情報は今のところありませんが……。
【2019/3/30追記】五月が零奈として風太郎の前に現れたり、正体を明かそうとしたりする動機について、79話の感想・考察として言及しました。よろしければご参照ください。
写真の子の正体は?
写真の子が零奈(五月)ではないとしたら、一体誰なのでしょうか?
ミステリ的には最も意外な人物が「犯人」であるほど、盛り上がりが増します。今のところ一番意外な写真の子の候補はというと
二乃でしょう。私自身、前回の考察で、金髪の風太郎に関する記憶が無かった二乃について、零奈=写真の子であるはずという前提から、一旦写真の子候補から外して考えていました。
しかし、写真の子が零奈であるという前提が崩れたならば、金髪の風太郎を知らなかったという理由は写真の子である事を否定する材料にはなりません。零奈(五月)は風太郎が金髪であることを知っていたが、写真の子は風太郎が金髪であること、または風太郎と会ったこと自体を覚えていなかった可能性があるからです。
二乃は五姉妹の中で風太郎に真っ先に直球のアタックを繰り返しています。ラブコメ作品では先に動いた者ほど得てして結ばれにくいものですが、その点で、先に動いた二乃が最終的にそのまま結ばれるのであれば、それもまた意外な展開といえます。
これらから最も意外な人物=二乃がむしろ写真の子の候補であり、また花嫁だったら面白いなと思いました。
ただ、二乃が写真の子だとすると、二乃は風太郎と京都で出会っている事を、二人で撮った写真の一部を見ているにも関わらず思い出せなかった、もしくは京都で会った少年を風太郎と認識していない(つまり、風太郎だけがかつての二乃を覚えていた)ということになります。この点は上の仮説を考える上で、ちょっと苦しいなと感じるところですね……さすがに写真を見たら思い出すのでは? と感じます。
また、風太郎がホテルで髪を洗いながら二乃に顛末を話しているシーンがありましたが、あの箇所はどこまで風太郎が二乃に話しているのか判然としないんですよね。
五年前…一人の女の子に会ったんだ。《★》で、そいつは俺の前から消えた。終わりだ。
寝てるのか? と風太郎が疑っている事からして、この場面ではそれなりに多くの言葉を風太郎は紡いだはずです。よって、この★の部分で風太郎が何らか二乃に語っている部分が描写としてカットされたとみるのが普通でしょう。
風太郎がどこまで喋ったのか分かりませんが、もし京都で写真の子と会った経緯等まで話しているのだとすれば、それを聞いた二乃が記憶を取り戻さないというのはさすがに不自然な気がします。
ともあれ、もし二乃が写真の子だとするなら、今後の京都の修学旅行編で過去の記憶を思い出す描写が何らか入ることになるでしょう。
もう一人の写真の子候補
写真の子の第一候補として二乃を挙げましたが、もう一人候補がいます。
四葉です。四葉は零奈と別れた直後(と明確には言い切れませんが、そう仮定します)に風太郎と出会っています。もし彼女が零奈なら、部活トレーニングに参加していた点でいわゆる「アリバイ持ち」の状態でした。
しかし、零奈が五月だとしたら、言うまでもありませんが、そのアリバイは崩れます。わざわざアリバイのような描写が挿入されていた四葉は、逆に写真の子である可能性が高まったと思いました。
そもそも「なりすまし」は可能なのか?
ところで、上の考えはいずれも五月が零奈になりすます事が可能だった、という前提に立っています。この点は問題ないのかを整理して考えてみました。
お守りが思い出の品だと分かったのは何故か?
邂逅の際、零奈は思い出の品ともいえる学業お守りを風太郎に渡しましたが、これが風太郎と写真の子の思い出の品であると何故、五月に分かったのか?
- 病室での風太郎との会話から、五月が二人の思い出の品と推測した
- 過去に写真の子が五月に京都での出来事を話しており、それを覚えていた
- 思い出の品だとは気付いておらず、たまたま持ってきただけ
考えられるのは、この辺でしょうか。一番可能性が高いのは1だと思いますが……。
お守りを五月が準備できたのは何故か
この「準備」とは、何故五月がそもそもお守りを持っていたのかという意味です。
これは素直に考えれば、写真の子が五月にあげたのでしょう。写真の子は5個のお守りを買って、それを五姉妹に配ったのです。
少しだけ引っかかるのは、回想シーンにおける写真の子のこの台詞です。私は風太郎に五姉妹の存在を説明するのが面倒なためにそう言ったのだと思い込んでいました。また病室での五月と風太郎との会話で
買ったのか……貰ったのか……よく覚えてませんが
と五月が発言したことも、お守りは写真の子によって配られたのだという思考の後押しになっています。
しかし、写真の子がもし5個買って本当に自分で5個保持していたのだとしたら、なりすましは不可能=五月が写真の子であり、上で書いた説は誤っているという事になります。写真の子の発言の真意は気になるところですが……この点が明かされるのは正体が明かされるその時でしょう。
なお、五月が上杉家に家出中にも関わらず何故お守りを準備できたのかについては、一旦家に戻って調達すればいいだけの話です。この点はさほど大きな問題ではないと考えます。
ちなみに、四葉に荷物を持ってきてもらう際に一緒に受け取ったという可能性もあります。しかし、もし五月が独断で零奈になる事を考えたのだとしたら、そういった「足が付く」依頼をするとは考えにくいと感じました。
一方で、仮に四葉が写真の子で、五月に零奈になりすます事を依頼したのだとすれば、五月に荷物を渡す際についでにやり取りした可能性はありますね。
風太郎に対する「イメチェン」発言
零奈は風太郎がかつて金髪である事を知っていたかのように「イメチェン」という単語を使いました。これはつまり、五月がかつて風太郎が金髪だったという事を知っていた事になりますが、何故でしょうか? これについては、可能性は2点思いつきました。
- かつての京都で金髪の風太郎が写真の子といる場面を目撃していた
- 家出して上杉家に転がり込んだ際、昔の風太郎が金髪である事実を知った
77話を読む限り、一花も金髪だった風太郎の姿を目撃していることを示唆するような描写がありました。この事から、五月も同様に目撃していた可能性があります。また、他ならぬ上杉家で上杉父(又はらいは)から聞いたという可能性も考えられます。
個人的には上杉父(又はらいは)から聞いた可能性が高いと考えています。理由は次の項で言及します。
風太郎が思い出の写真を生徒手帳に忍ばせている事を何故知っていたのか
この疑問点は、しっかり突き詰めて考えてさえいれば、もう少し早く零奈の正体には辿り着けていたのではないかとすら思える重要なポイントです。
零奈は風太郎と会話する際に生徒手帳を「人質」に取りました。
そして、そこから風太郎と写真の子のツーショット写真を抜き取りました。
しかし、よく考えてみると、何故生徒手帳に思い出の写真が忍ばせてあり、風太郎が大事にしている事を知っていたのかという疑問があります。写真の子だろうと何だろうと、この点だけは知らない筈なのです。
風太郎が生徒手帳を大事にしている事は、単行本2巻収録の第14話「始まりの写真」で五姉妹にバレている可能性があります(よく見ると全員がこの場で二乃の発言を聞いています)。しかし、何故大事にしているかまでは皆、分かりません。ツーショット写真が隠されている事までは分からない筈なのです。
しかし、風太郎の前に姿を現した零奈の狙いの一つに、このツーショット写真を持ち去ることがあったものと思われます。となると、零奈はこのツーショット写真が生徒手帳に忍ばせてあると知っていた筈なのです。
五姉妹の中で唯一、風太郎の生徒手帳に接触しているのが二乃ですが、演技の可能性を考えないのであれば、そこに風太郎と一緒に女の子が写っている写真があったことには気付かなかったようでした。
では何故、零奈は知っていたのか。これはおそらく上杉父に聞いたのではないでしょうか。
彼だけは風太郎が生徒手帳に写真を忍ばせている事を知っていました。風太郎自身はその事を公言していないのですから、上杉父から情報を仕入れる以外に無いように思えます。
なお、上のシーンで妹のらいはも上杉父の言葉を聞いているため「大事な写真が風太郎の生徒手帳に入っている」事だけは、らいはも知っていることになります。ただ、そのバックボーンまでは知らない状態ですので、五月が話を聞くとしたらやはり上杉父になるのかなと思いました。
零奈登場時点までに上杉父と接点を持てたのは、風太郎の家を知っており、その家に転がり込んでいる五月のみです。よって、やはり零奈は五月なのでしょう。
病室での会話を経て、風太郎が京都で写真の子と会っていた事を知った五月は、二乃との喧嘩から上杉家に転がり込みました。この時、上杉父に質問したのか、あるいは上杉父から話を振られたのか、どちらかは分かりませんが、ともかく五月は写真のことを知ったのでしょう。また、かつて風太郎が金髪であった事も、この上杉父との会話の中で知ったのではないか? と私は思いました。そして五月は、零奈になりすます際の状況証拠としてこの事実をさりげなく使ったのだとすれば、辻褄が合います。
なお、この考えは風太郎が作中で知りうる情報からも組み立てられるロジックです。よって、既に風太郎が裏では零奈の正体を看破している可能性もあると言えます。
【2019/3/30追記】風太郎が生徒手帳に写真を忍ばせていたことを何故零奈が知っていたのか。この点について上で書いてきましたが、コメントにて
単行本1巻で五月がタクシーで風太郎を送った際にも五月は生徒手帳を見ています。そこで確認したのでは?
というご指摘を頂きました。
言われてみれば確かにそうです! 完全に見落としていました。このシーンで風太郎が写真のことについて言及する台詞があるのも伏線っぽさを感じますね。
堅物の五月が自分から写真を覗き見るとは思いませんが、生徒手帳から写真が落ちたなどの経緯で、五月の目に触れた可能性はあります。
ちなみに、アニメ版ではどのようになっていたかが気になったので確認してみました。すると、アニメ版でも風太郎が写真を見たかどうかを五月に問うシーンがちゃんとありました。
なお、風太郎の問いかけに対して五月は
何のことですか? ……それより、一泡吹かされましたね。
と返していました。原作の「そんなのどうでもいいでしょ…」という五月の台詞からは僅かですが変わっているのは、少し気になりました。
いずれにせよ、この点を考慮したとしても、やはり生徒手帳に写真がある事を知る機会があったのは五月だけという結論は変わらなそうです。
まとめ
上の考察の中身を整理すると以下となります。
- 結婚相手は零奈であり、写真の子であると考えていた前提が揺らいだ。理由は零奈がほぼ五月であると思われる情報が早くも提示されたため。
- 零奈の正体が五月とほぼ固まったため、結婚相手は零奈ではないと考えた。風太郎の結婚相手はまだ正体が判明していない写真の子である可能性が高い。
- もし写真の子が零奈でないとすれば、「零奈ではないと思わされていた二乃」こそが写真の子の候補として最も怪しい。
- 零奈への変装に関するアリバイ持ちだった四葉も写真の子の候補として浮上する。
- 二乃が写真の子だとしたら、風太郎と会った当時のことは思い出していない可能性が高い。
- 五月は零奈になりすましが可能だった。中でも「風太郎が生徒手帳に写真を忍ばせていた」という事実を知り得たのは五月だけと思われる。
最後に、考察①の記事の末尾で書いた事と同じことを書きますが、上の話は推測に推測を積み重ねたものです。『五等分の花嫁』の結末に関する一つの考え方として、お楽しみ頂ければと思います。
以上、『五等分の花嫁』の結末に関する考察でした。
§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。