あるこじのよしなしごと

妻・息子2人(2014生:小麦アレ持ち/2019生)と四人で暮らしています。ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、育児、その他日常等について綴っています。

漫画『五等分の花嫁』109話の感想・考察/五月の自身の夢に対する決意が揺らぐ

ざっくり言うと

学園祭一日目と二日目の五月の様子が描かれる。学園祭前および開催中も、先生になる夢を目指し、五月は勉学に一心に打ち込んでいた。しかし、そんな彼女の前に、その夢を打ち砕かんとする存在が現れる。

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

漫画『五等分の花嫁』109話「最後の祭りが五月の場合①」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。

なお、下記は前話(108話)の感想・考察記事、および感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。

◾️前話の感想・考察記事 

◾️感想・考察記事 一覧

出来事のおさらい・感想

109話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。

  • 五月が受験対策の授業に参加し、その場で無堂と名乗る特別講師と出会う。
  • 風太郎と一日目、問題集をやり切るまでは教室に行かないと約束していた様子が描かれる。
  • 無堂から、母・零奈が教師に向かなかったこと、また五月が同じく適性がないのに教師になろうとしていないか等を言われ、五月が動揺する。
  • 自身が五つ子の母・零奈の元教師であり元同僚、そして元夫=五つ子の実父であると無堂本人が語る。

 

109話は五月エピソードの前編でした。これまでずっと伏せられていた五月の動向がいよいよ明らかになってきます。

109話の配信前に上のツィートをしたのですが、気になっていた伏線は概ねこの話で回収された感じです。今回はこれまで考察されてきた各種のことに関する答え合わせのような回だったなと感じます。

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とても気になっていたのが109話の表紙の内容ですが、五月もきちんと学校にいました! もしかしたら三日目の夜、五月は学校にいないのでは……と想像していましたが、その心配は杞憂でしたね。

110話ではいよいよ諸問題に切り込んでいく事になると思われますが、その前に109話の中身をきちんと整理して把握しておきましょう!

以下、今回特に気になった点を考察します。

考察

無堂の存在について

登場時点から、散々怪しいと言われ続けてきたおじさん。案の定、この人物は五つ子の父親であると主張する存在でした。

彼に対する周囲の評価で共通しているのが、五月(ひいては五つ子)と彼を会わせたくないというものです。

勇也も彼の存在について警戒していましたが、109話の描写からは、どうやら下田も五月が彼と出会わないよう、特別授業のことは教えないようにしていたことが分かりました。

この事からは無堂があまり好ましくない人物だと考えられているのだと読み取れます。

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これについては母・零奈が五つ子に残した

男の人はもっと、見極めて選ばないといけません

という言葉が示すと考えられる、実父の評価とも一致します。

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ちなみに五月の回想で、生前の零奈が何かについて選択を誤ったと後悔していた様子だったことが描かれています。

これについて五月は無堂の言葉と紐つけ、先生になったことを間違いだったと解釈してしまったようですが、実際のところは無堂と結婚したことを零奈は悔いていたのではないか? と思いました。

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実際、無堂は教師になりたいという五月の夢に対して、特に五月自身のパーソナリティまで知らないであろう中で、最初こそエールを送ると言っていましたが、結局はその心を折るような発言ばかりしています。その真意は不明ですが、今のところはどうみても悪役にしかみえてきませんね。

ところで、彼が実は実父ではないという可能性は無いのでしょうか? つまり、彼の発言が全くの嘘であるという可能性です。

彼が零奈の元夫であるという話は無堂本人からしか語られていません。上杉勇也が風太郎に話している内容は未確定のため、そこでは実は違う内容が語られているかもしれないのです。

しかし、考えてみましたが、この可能性は低そうに思いました。

何故かといえば、だとすると五月を無堂と接触させないようにした勇也や下田の行為の意図がよく分からなくなるからです。つまり、ここからは彼らは無堂と五月に何らかの繋がりがあると認識していた事になる。

この点だけをもって無堂が実父であると確定する訳ではないのですが、それでも、彼が実父であるという主張が確かではないかと考えられる一つのポイントになると言えそうです。

五月の行動について

続いて、五月の行動について。

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まず、一日目。そもそも五月は勉強していただけなのに、何故風太郎が指定した15時に遅れたのか? という謎がありました。

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この点も109話で説明が付きました。五月は風太郎とのちょっとした言い争いをきっかけに、ある問題集をやり終えるまでは集合場所に行かないという縛りを自分に課していたのですね。

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勉強中、ずっと我慢していた出店の食べ物にも無事ありつけました。五月が何かを食べているシーンはやはり和みますね(笑)

ところで、ここで五月がパクついている唐揚げですが、これを調達する過程で四葉が風太郎に渡した唐揚げチケットは使われたのでしょうか?

この点は109話配信後にも上の通りツィートしたのですが、私は違うと思いました。おそらく、姉妹の誰かが買ってきたのでしょう。

個人的には一花が買ってきたのではと思ってます。その結果として、ブロマイド付唐揚げが爆誕したのだと考えると、スッキリしますよね。看板に書かれた「ブロマイド付」の文字がやたらと小さいのは、急遽書き足された為だとすれば、そこも納得できます。

一日目で五月は食堂を訪れた無堂と遭遇し、母に教師としての適性が無かったことを示唆され、そして二日目に彼こそが実父であると明かされます。

この時点では五月は花柄のエプロンを身に付けていますが、その後、このエプロンは二乃に渡る事になります。

そこでどんな会話が交わされたのか? あるいは何も言わずにエプロンを二乃に押し付けて去ったのか? ここはとても気になる点です。

もし実父の事を二乃に伝えていたとしたら、その後、そんな事はどうでもよいとばかりにマルオとの絆を深めた二乃は、相当に芯が強いですね。

あるいは、実父の事は五月が二乃にこの時点では話していないという可能性もありそうです。マルオと接する上で二乃がその辺の葛藤を全く持っていない様に見える点は、そうした事実を示唆しているようにも受け取れます。

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少し話はそれますが、風太郎が二日目に「父親としてのマルオの行動」に強く拘ったのも、一日目の夜に勇也から無堂の存在を聞かされたことが影響していたのかもしれませんね。

 

無堂との遭遇、そして告げられた事実にショックを受けた五月はその後、姿が見えなくなります。彼女は何処に消えたのか。

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可能性が高そうなのは母・零奈の墓前でしょうね。学園祭を抜け出して、そこに向かったのではないでしょうか?

しかし、母に問い掛けを行っても、答は返ってこないでしょう。解決は、生きている者たちの中でしか為されないのです。

五月の夢の行方と救済

今回の話で無堂が否定した、母に憧れて先生になるという夢。これについては、形や言い方は全く違いますが、下田もかつて疑問を投げ掛けていました。

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但し、下田の場合は、母への気持ちだけではなく本当に自分のやりたい事かを考えるべきというのが話の要旨です。無堂が話した、零奈には適性がなく、だから五月も適性が無いから止めろという主張とは全く違うのですね。

さて、五月が先生になる夢について考える上では、大きく二つのポイントがあると思いました。

零奈は本当に教師としての適性が無かったのか?

まず、そもそも無堂が語る零奈が教職に向いてなかったという話は事実なのでしょうか?

この無堂の意見については正直、かなり疑問の余地があります。

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まず、マルオは零奈を恩師として相当慕っていましたよね。

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下田だってそうです。零奈の姿に憧れ、塾講師という教職の道に進みました。

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勇也もマルオとの絆を繋ぎ止めたのは零奈の存在だと話をぼかしつつも語っています。

だとすると、零奈が教職に向かなかったというのはあくまで無堂から見た姿に過ぎず、実際にはそんな事はなかったのではないでしょうか?

零奈が生前何かを後悔していた姿を五月は見ていたようですが、それは先述の通り、無堂と結婚した事を後悔していたのであって、教職を選んだ事を後悔している訳ではないと考えることもできると思います。

五月自身は教師に向いているのか?

続いて、五月自身の話です。彼女は教師に向いているのかどうか?

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かつての風太郎は

お前に教えられる生徒がかわいそうだ

と話していましたね……。

でも、これは今時点の学力で家庭教師のバイトをした場合の話です。

実際、教師を務めるにおいて一定水準の学力が必要なのは当然です。ただ、学力があればそれだけで先生が務まるのかというと、そんな事は無い。

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これはいみじくも、他ならぬ風太郎自身が通ってきた道なんですよね。彼は飛び抜けた学力を持っていましたが、それで五つ子が簡単に学力が伸びたかというと、そうではなかった。

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まず、五つ子に寄り添って、落ち込んでいれば励まし、やる気を出させる事が何より大事でした。

勉強が分からないと諦めている姉妹をどう勉強に向き合わせるのか? この点は幾ら学力が高くても、一筋縄ではいかなかったですよね。

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そして、分からない相手の気持ちや思考に合わせる力も必要です。この点も風太郎自身が苦労した点ですね。自分では苦もなく解が分かってしまうが故に、五つ子が何処でつまづいているのかがなかなか分かりませんでした。

これらの点で五月が劣っているかというと、決してそんな事は無いですよね。

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初めて赤点から脱出した期末テストでは、四葉に向き合い、分かりやすく指導できた五月の姿がありました。

学力さえ伸ばすことができれば、きっと五月は良い先生になれるんじゃないでしょうか?

花嫁の絞り込みへの布石

私は109話を読んで、四葉が花嫁の可能性が高まったと思いました。以下、その思考過程を書いていきます。

風太郎を励ました"零奈"の存在

上の項目で、教師の素質の一つに、人に寄り添って励ますことができる力というものを挙げました。

この点について、風太郎が五月をどう捉えているかと考えた時に、実は彼が既に"零奈"の正体が五月だと気付いているとしたらどうか。

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ショッピングモールで"零奈"が現れた事から、彼がその正体を五月と見破っている可能性は十分にあります。

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そして、"零奈"の初登場時、風太郎は上手くいかない現状に打ちひしがれていました。そんな中、声を掛けてくれた彼女に風太郎は救われた事と思います。

このエピソードを下地として、風太郎が五月を励ます展開が描かれるのでは? と次話の展開を想像しました。

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ちなみにこのエピソードが絡む場合、"零奈"を演じた五月がお守りに託したメッセージが、五月の心情を描く形で明らかになる可能性もありますね。その際、当時の五月が風太郎に送ったメッセージが、そのまま今の迷える五月に対しても一つの特効薬になる展開もありうると思っています。

風太郎の心の中に"零奈"の存在が強く残っているタイミング

三玖編・四葉編で描かれた三日目の中に五月の姿はありませんでした。それ以前(たとえば二日目夜、一花と別れた後とか)に五月が風太郎によって救済されていたなら、三日目朝時点で五月は元気になっていた事になります。

この場合、五月が三玖編や四葉編にも絡めて登場させられた可能性は高いでしょう。しかし、実際にはそうはなっていなかったことから、五月の救済は三玖編・四葉編の後の時間軸になる可能性が高いですね。

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となると、風太郎はその事前において夢の中で"零奈"(実際は四葉)と会話している事になります。ならば、その記憶の残滓が上で述べた様な五月との絡みに影響する可能性があるという推測が成り立つと思うのです。

風太郎が零奈の正体を五月と看破した展開が描かれたなら?

では、風太郎が"零奈"を五月と看破する展開から、一般的に読み手が想像する未来は何か?

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風太郎は"零奈"……というか、京都で出会った写真の子に感謝していると語っていました。それ故に、"零奈"の正体を五月だと風太郎が看破したなら、彼が告白する相手は五月ではないか? と考えるのが自然でしょう。

 

更にもうワンステップ発想を飛躍させましょう。ここで、もし読み手の裏をかこうと考えるなら、どういう展開になるでしょうか。

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こう考えた時に、実は風太郎が零奈と写真の子が別人だと見切っており、五月ではなく四葉に告白する、という展開になる可能性が高いのではないかと思ったのです。

結論として、風太郎の告白先は四葉となり、花嫁も四葉になるのではないかと考えを立ててみたのですが……いかがでしょうか?

まとめ

109話では、これまで伏せられていた無堂の存在が明らかになりました。

感想等をTwitterで読んでいて思ったのは、読まれた方からは相当無堂が嫌われているなという事でしょうか。まあ、五つ子を零奈に押し付けて好き勝手に生きてきた(と思われる。実は良い人パターンだったらごめんなさい)のですから、当然ですよね。

でも、無堂が完全に悪人パターンの方が気持ちが落ち着くというのが私個人の感想です。ここで下手に善人の面を見せられると、マルオが育ての父として五つ子を養育するという今後の展開に溝が生じかねないからです。

その点で、単純に無堂一人が悪人という流れの方が個人的には気が楽です。言わば、物語全体におけるスケープゴートとしての役割を彼に果たして欲しいと感じました。

次話では、これまでの流れに則るなら、五月も風太郎とキスをするはずですが、どういった流れでそうなるのかは気になりますね。

個人的には、間接キスの形で描かれるんじゃないか? と想像しています。風太郎が四葉から貰った唐揚げ無料券がここで絡んでくるんじゃないでしょうか?

あと、今後において風太郎編が存在するのは間違いなさそうですね。

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頬の傷のことや、唐揚げ無料券がどうなったか等、彼の視点で見通さなければ分からない事象が複数あります。

やはり、111〜112話は風太郎編が描かれ、113話で三日目夜に決着が付く(そこで13巻終了)という展開になるとみて、ほぼ間違いないでしょうね。

以上、『五等分の花嫁』109話「最後の祭りが五月の場合①」の感想・考察でした。


§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。

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