あるこじのよしなしごと

妻・息子2人(2014生:小麦アレ持ち/2019生)と四人で暮らしています。ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、育児、その他日常等について綴っています。

漫画『五等分の花嫁』110話の感想・考察/五月が夢を目指して母を追う覚悟を決める

ざっくり言うと

学園祭二日目と三日目の五月の様子が描かれる。教師になる夢について考え直すべきという意見を受けた五月は風太郎に自身の意見をぶつけることで助言を得る。謎の男・無堂の狙いは何なのか?

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

漫画『五等分の花嫁』110話「最後の祭りが五月の場合②」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。

なお、下記は前話(109話)の感想・考察記事、および感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。

◾️前話の感想・考察記事 

◾️感想・考察記事 一覧

出来事のおさらい・感想

109話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。

  • 無堂が五月に実の父としての愛を語り、進路を変えるべきだと伝える。
  • 五月はそれでも夢を諦められないと風太郎に意見をぶつける。
  • 風太郎は五月に、夢を目指して母を追うのであれば問題無いと励まし、自分はそのサポートをすると約束する。

 

110話は五月エピソードの後編でした。無堂が実の父であると本人から聞かされた五月のその後の話ですね。

110話の公開前にはこんな予想をぶち上げてましたが、擦りもしませんでした(笑)

110話では五月がその進路について、決意を新たにします。前回の考察の中で多少、今回の展開に沿っている部分といえば、風太郎が家庭教師として抱えてきた苦労がそのまま五月の教師という職業と直結しているという話くらいでしょうか。

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風太郎の助言および約束により、五月は教師を目指すことを再決心しました。もう彼女が揺らぐ事はないでしょう。

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また、110話ではクラス内の男女が仲良くしているカットもありました。これは三玖の功績ですね!

以下、今回特に気になった点を考察します。

考察

夢を目指して母を追う五月

五月は風太郎と会話し、自身の教師になりたい気持ちについて、母の夢を真似て教師を目指すのではなく、自分が教師になりたいという夢を目指しており、それが結果的に憧れの母を後を追う形になったのだという事を再確認します。

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記念すべき第1話で風太郎に対して五月が発したのと同じ言葉。

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しかし、今度は出会った時とは違い、風太郎は五月の申し出を快諾しました。

この場面は良かったですね。過去の演出との重ね合わせであり、それが未来へと繋がっていく。美しい構成でした。

ところで、この五月の教師になりたいという夢は本当に母の真似ではないのか。この点について、少し振り返って見てみました。

五月の夢が明確になるのは第57話「最後の試験が五月の場合」においてです。

この話の描写を追っていくと、確かに五月は母への憧れだけで教師を目指しているのではないことが読み取れます。

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まず、五月が下田に母の事を聞く場面。ここでは

お母さんが先生としてどんな仕事をしていたのか知りたいのです

と五月が話しています。つまり、下田との会話において、母・零奈が先生としてどう過ごしていたかという話題になったのは、五月から"先生"という観点で話して欲しいと要望があったことに起因するのですね。

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続いて、話を聞き終えた五月の台詞。

下田さんの話が聞けて踏ん切りがつきました。

「踏ん切りがついた」という表現からは、母・零奈に関する話を聞いて教職についての憧れを持ったのではなく、話を聞く以前から先生になりたい気持ちがあり、それが後押しされたことが分かります。

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最後は、風太郎と会話する中で、教師を目指そうとしたきっかけについて語る五月から。

五月はそのきっかけが

あの時の気持ちを大切にしたい

というものだったことを明かしています。そして、あの時と言うのはもちろん……。

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期末テストに向けて互いに教師・互いに生徒という体制で臨み、その中で四葉に勉強を教え、感謝された時ですね。この時の満ち足りた気持ちから、五月は教師を目指そうと思ったのです。

これらの描写から、五月は母・零奈を目指して教師の道に進もうとしたのではなく、その以前に教師になりたいという気持ちがあったのだということが明確に分かると言えますね。

無堂の素性がより明らかに

無堂についても五月および無堂本人の台詞から、その素性が明らかになってきました。

無堂は零奈の子が五つ子であると分かった時点で蒸発した

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これは五月が語っていた事です。五つ子がまだ零奈のお腹の中にいる時点で、無堂は姿をくらましたようです。

率直に言って、無堂はクズですね。

そもそも五つ子の出産ともなると、生まれてからの養育費等を心配する以前に、その出産が無事に行われるかどうかすら保証されないでしょう。

零奈は文字通り、命がけで出産に対峙したはずなのです。

その出産の場に立ち会わないのはおろか、それ以前から蒸発していたというのは、擁護のしようがないです。

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五つ子の養育という面では、マルオについて「不合格」呼ばわりしていましたが、全ての養育を放棄した上で、言わば自分の尻拭いをさせた相手に対して使う言葉ではおよそありません。

今回明かされた話からすると、無堂が実は良い人という展開はほぼ無くなったとみて良さそうです。

無堂が接触してきたのは一花をテレビで見かけたのがきっかけ

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これは無堂本人が話していたことです。

私はこれまで、五月が特別授業に参加を申し込んだことから偶発的に再会したのでは? と思っていたのですが、どうやらそうではないようですね。無堂は自分から意図的に接触してきたようです。

ここで上で述べた通り、無堂が善人という可能性を排除して考えた場合、どのような可能性があるか。

一番ありそうなのは、女優として成功しそうな一花が今後得るであろう金目当てに近付いたという線かなと思いました。

この場合、直接一花から接触するのが良いような気もしますが、教師志望の五月は与し易いと考えて、まず彼女から手懐けようと考えたのかもしれません。

無堂はどうやって情報を得たのか?

ちょっと不思議に思ったのが、無堂はどうやって一花を自分の娘と認識できたのか? という事ですね。

まだ五つ子が生まれる前だとしたら、一花という名前すら決まっていなかった可能性がある訳です。

また、一花が「中野」という名字だと知っているのも何故か分からないですよね。零奈の旧姓であれば知っていてもおかしくないですが……。

マルオが引き取ったことを知っていれば中野姓である事は分かるでしょうが、更に言えば、そもそもマルオが五つ子を引き取った事を知っているのも不思議な話です。

これらを総合的に考えると、設定に穴があるなどで無ければ、無堂は零奈および五つ子の動向について何らかの経路で情報を得ていたことになるといえます。

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誰かから状況を聞いていたとすると、接点になりそうなのは、同窓会の話を持ちかけていた勇也でしょうか。

マルオの場合、多分接点を持つ気にもならなかったでしょう。

「情報を流していた」という言い方をするとその印象は悪いですが、彼女らの窮状を伝えることで何とかしろと詰め寄っていたならその気持ちは分かります。

その一方、学園祭に来る時点では五つ子との遭遇を回避するように考えていた事からすると、もう最近は勇也も諦めて連絡を取っていなかったのかもしれません。

五月とのキスシーンは無し

110話では、風太郎と五月とのキスシーンはありませんでした!

これは意外でした。間接キス等、必ず何らかのキスの描写を入れてくるだろうと思っていたので。

ちなみに一応、間接キスもありました。しかし、それは無堂と風太郎との間でしたが……(笑)

 

五月と風太郎のキスが描かれなかったのはどう捉えるべきなのでしょうか?

  • 彼らはあくまで恋人ではなく友人であり、同じく教職に関わりを持つ"同志"であるため
  • 今後、彼らのキスシーンが決定的な場面で描かれるため

 

解釈はいくらでも多様にできるので、これだけで花嫁かどうかを確定するには至らないですね。

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ただ、私が思ったのは、これで花嫁が結婚式の場で語っていた

五年前のあの日を思い出して。初めてじゃないでしょ。

この台詞が「鐘キス」と結びつきやすくなったのは五月であるという事です。

他の四人は学園祭でキスをしている(注:四葉は風太郎に意識が無さそうなので、風太郎視点からは厳密にはキス済に含まれないですが)ため、もし彼女らが花嫁である(かつ鐘キスの相手である)場合、「初めてじゃないキス」をした「あの日」が指すものが鐘キスなのか学園祭なのかが分からない事になります。

しかし、五月は学園祭で(今のところ)キスをしていない。この結果、上で挙げた台詞が鐘キスを指しているのだとしたら、一つの一貫性が生まれるという見方ができると思いました。

まとめ

110話では五月の夢への思いが再確認された一方で、無堂の件については未決着となりました。

個人的には、五月編が続くのではなく、次の話からは風太郎編が始まるとみています。これまでにも、先が気になる局面で、ねぎ先生が一話クッション的に挟んでくるというケースはありました。

次話では風太郎の一日目・二日目が描かれ、無堂との決着は風太郎の三日目昼=112話の中で描かれるのではないでしょうか?

Twitterで見かけた仮説では、五月が無堂が発した「愛」というワードに端を発して、五つ子ゲームを仕掛けるという展開になるのではないかというものがありました。

これにはなるほど! と思わされました。その展開は如何にもありそうです。

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110話では勇也から情報を得た風太郎が一花に無堂(実父)の存在を教えていました。つまり、五月の他に、一花も無堂の存在を認識している事になります。

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そして、その一花は110話ラストで、他の姉妹に何やら話しかけていました。これは多分、無堂の存在について他の姉妹に共有したという描写でしょう。

つまり、110話終了時点で五つ子は全員が無堂の存在を知っている状態になったと考えられます。

この事実からは次回以降、五姉妹が無堂に対して何らか仕掛ける可能性があると解釈できると思いました。今後の展開では五姉妹の入れ替わりに要注目ですね!

以上、『五等分の花嫁』110話「最後の祭りが五月の場合②」の感想・考察でした。


§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。

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