学園祭三日目の夜、風太郎は五つ子の一人を選び、遂に告白をする。風太郎は彼女に対し、何故彼女を選んだのかの想いを真摯に伝える。
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
漫画『五等分の花嫁』114話「最後の祭りが風太郎の場合②」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
なお、下記は前話(113話)の感想・考察記事、および感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。
◾️前話の感想・考察記事
◾️感想・考察記事 一覧
出来事のおさらい・感想
114話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。
- 風太郎が四葉に対して明確に告白する。
- 四葉は風太郎の告白を拒絶する。
- 風太郎は諦めずに真摯に自身の想いを伝え、それを聞いた四葉は自身も風太郎を好きである事を伝える。
114話は予想通り「風太郎の場合②」として、前回の続きが描かれました。
なお、マガポケは例によって日付変更後の10分ほどサーバーが不安定でした。今回はいつにも増して不安定な時間が長く、私が読めたのは0:14くらいでした……。最終回の配信日は無事読めるかどうか、今からちょっと不安です(笑)
このブログ内では前回の感想で、もう四葉が風太郎の告白先であり結ばれる相手と断定してよさそうという主旨のことを書いていました。
しかし、一方で、まだそうと決まった訳ではない(=四葉が花嫁とは限らない)という論調の話も囁かれていたような気がします。
読者が各種の想像を巡らせている中、注目の集まった114話でしたが、その内容は風太郎の告白相手が四葉であることがいよいよ明確になるというものでした。
何故、風太郎は四葉を選んだのか? ここが本話の焦点だったと思います。
以下、今回特に気になった点を考察します。
考察
風太郎の想いの根源
風太郎は一度は告白を拒絶されたものの、改めて四葉にその想いを語ります。
風太郎は四葉が自分にとっての支えであると語ります。またその後、更に
(略)四葉、隣にお前がいてくれると嬉しいんだ。
安心すんだよ。お前は俺の支えであり、俺はお前の支えでありたい。
という言葉を続けて発しています。
ここからは、風太郎がパートナーに求めていたものとしては、恋愛的なトキメキよりも、人生における伴走者としての存在の方が強かったということが読み取れます。
この「自分の隣にいてほしい」という気持ちは、林間学校編のラストで描かれた未来の結婚式の場面で風太郎が花嫁に伝えた言葉とも一致しています。
この場面からも、風太郎がそのパートナーに、共にいて支え合うことを求めているのだというのは読み取れることでした。
風太郎が四葉を選んだとしたら、風太郎が重視したものは恋愛的なアプローチではなく、自身の価値観との一致、また変化をもたらしてくれた存在への感謝だったのかもしれません。
自身が子どもの頃に誓った、必要な人間になること。
学級長としてクラスに溶け込み、学校生活を楽しむこと。
勤労感謝ツアーにおける庶民的な嗜好の一致。こういった各種の点で風太郎と四葉は似たもの同士ですし、また好影響を与え合う存在である事が、過去ではなく現在の高校生活を過ごす中で描かれてきたかなと思います。
これらの点から自分のそばにいて欲しい存在として、風太郎が四葉を選んだのであれば、納得しうると私は思いました。
こちらは113話に頂いたコメントに対して自分が書いた返信です。二乃や三玖が選ばれなかったという事を前提に、風太郎の思考を推測するとしたら、やはりそういう結論になるのかなと考えていたので、個人的には収まるべきところに落ち着いたと思っており、結論への納得感は強いです。
風太郎への恋愛あるいは情愛の感情の強さでは五つ子には差は無い、またはもしかしたら二乃や三玖の方が風太郎への恋愛感情の強さは四葉より上かもしれないとさえ私は思います。それでも、風太郎という相手を必要とする度合いは四葉が一番強かったという事なのかなとも思いました。
彼女の返答
一度は風太郎の告白を拒絶して逃げ出した四葉。
ちなみに、一回外に出た理由は
私のところに来るなんて微塵も……(思わなかった)
という事のようですね。自分が告白されてはならない、というような強い意志があった訳ではなかったようです。
しかし、四葉は風太郎からの告白に対して、やはり自分が結ばれるべきではないと考え、風太郎に「嫌い」だと嘘の感情を伝えようとします。
しかし、出来なかった。四葉は風太郎には嘘はつけない。そのことが改めて確認されます。
四葉は自分が風太郎を好きだという感情を本人に伝えました。
これまで一人で悩み続けてきた四葉でしたが、ようやく風太郎にその気持ちを伝えることができたのですね。四葉が報われた瞬間です。
この告白シーンについては最早説明は要らないとと思いますが一応書くと、ここは21話「おまじない」での"嘘"の告白シーンとの対比になっています。
二人の構図、また「好き」という台詞は同じ。違うのは、それが嘘か本当かという四つ葉の口上です。
改めて114話を読み返してました。やはりラストシーンが凄く良かった😊
— あるこじ (@arukoji_tb) 2019年12月11日
四葉に「風太郎には嘘をつけない」と語らせる事で、遅くとも21話『おまじない』の時点から四葉が風太郎の事を好きだった(あの告白も嘘ではなかった)ということを風太郎に気付かせているのですね。#五等分の花嫁#ネタバレ pic.twitter.com/gemWPTuLe1
過去に同じ事があったのを覚えているのは読者だけではない。当然、風太郎も覚えているでしょう。
しかし、この夜の四葉の告白の際、風太郎には嘘を付けないと改めて本人から言われる事で、あの時の告白も四葉の本当の気持ちだったことに気付くという展開になっているんですね……!
ここは114話の中でも特に素晴らしい演出、展開だと思いました。
余計な気遣い
二人の話から少し遡って、場面は風太郎が四葉を探すシーン。ここで風太郎は五月と遭遇し、残りの姉妹の気持ちに一瞬、思いを馳せます。
おそらくはこの時点で、他の姉妹をフォローするという考えが風太郎の頭によぎったのでしょう。
しかし、五月はそれは「余計な気遣い」だと伝えます。
五つ子の中でただ一人だけ(少なくとも単純な)恋愛感情を風太郎に持ち合わせていない彼女でなければ、この役回りはできなかったと思います。
信頼できる"友人"としての五月。逆説的ですが、だからこそ彼女もまた風太郎にとって、無くてはならない存在なのだと思わされました。
五月の主張はもっともです。そもそも、何故風太郎は好きな相手の所だけに行くという話になったのか? と考えると、これは五つ子なりの風太郎への配慮であり、また同時に自分たちを守るための方策だったと考えます。
これは個人としての意見ですが、誰かが誰かの告白を断るというのは、どちらにとっても辛い出来事です。
振られる側が辛いのはもちろんですが、振る側だって相手を傷つけないようにどう伝えればいいかに腐心しなければなりません。
五つ子は、面と向かって振られた時のショックの大きさから自身を守りたいという気持ちもあったかもしれませんが、何より風太郎に振る時の余計な重荷をできる限り背負わせたくないと考えたんじゃないかなと思いました。
そんな決断を下したであろう中、風太郎の方から五つ子の所に出向こうとするとしたら、それはやはり相手を傷つける「余計な気遣い」に他ならないのでしょう。五月が彼を止めたのは至極自然な流れだったと言えます。
為された鐘キスへの説明付け
ここからは114話から少し物語全体へと話を移します。
四葉が花嫁だとしたら、鐘キスの相手も四葉だったということ。そこへの説明付けを少しだけしてみようと思いました。
鐘キスについては過去にも、上の記事でその相手についての可能性の整理をした事がありました。その中では、
他の姉妹への遠慮から風太郎への好意を封印したが、その想いが抑えきれなかったために、自分が相手だと分からない唯一無二のシチュエーションでキスをした
と書いていました。単純な動機としてはこれで通ると思います。
一方で、四葉は三玖や一花の恋心を後押しするような言動も取っていた。とすると、自分自身が風太郎にキスをするという行為はある種の抜け駆けであり、そうした気持ちとの矛盾が生じるともみてとれます。ここはどう考えればよいのか?
ここについては、四葉が前夜に一花に対して行ったアドバイスに、自分自身も感化された可能性があるのかなと思いました。
一花に対して四葉は「したいことしてほしい」と伝えましたが、それはまた自分自身が我慢するという話とセットではないと私は思いました。
そのため、一花にそうしたアドバイスをする一方で、自分の中にある風太郎への気持ちが無意識下に増幅されたのではないでしょうか?
「他の姉妹のために自分の感情を押し殺す」というのが四葉の基本理念であるのは私も理解しています。ただ、そうしたある種のリミッターがこの場面で外れたのは、上のような理屈からなのかもしれない、というのが私の現時点での解釈です。
まとめ
114話ではとうとう風太郎と四葉が互いに両想いであることが明確になりました。ここからは結婚式のラストシーンまで伏線を回収しつつ、じっくり進むのみです。
今後の展開の中で描かれるポイントとしては
- 風太郎は四葉が写真の子と気付いているのか?(個人的には気付いてないと思っていますが)
- 他の姉妹の気持ちの整理について
- 五月がかつて"零奈"として会った際のお守りに込めたメッセージは何か?
- ドレスが大量にある、姉妹が挙式の最中に控室にいる、指輪の交換を後回しにしたなど結婚式における謎について(五つ子ゲームをやるため?)
この辺りでしょうか。
こうして挙げてみると、まだ結構ありますね。特に、他の姉妹がどう気持ちに折り合いをつけていくかは描くのがなかなか難しそうです……おそらくどんな展開になっても一定の読者からは批判されるでしょうから、だからこそ、ねぎ先生には自身の思うがままを描いて欲しいと強く思います。
五等分の花嫁は14巻で終わりです!
— 春場ねぎ 11/15 12巻発売 (@negi_haruba) 2019年12月4日
春場ねぎ先生からは、14巻で本作が完結するというツイートもありました。いよいよクライマックスに向けて突き進む五等分の花嫁から、今後も目が離せません!
以上、『五等分の花嫁』114話「最後の祭りが風太郎の場合②」の感想・考察でした。
§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。