あるこじのよしなしごと

妻・息子2人(2014生:小麦アレ持ち/2019生)と四人で暮らしています。ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、育児、その他日常等について綴っています。

漫画『五等分の花嫁』98話の感想・考察/上杉父がある人物の来訪を示唆する

ざっくり言うと

上杉父はマルオや五月に意味深な言葉を投げかける。三玖は風太郎に自身が大学進学する意思が無いことと、改めてその好意を伝える。一方の五月は大学進学について、その合否に厳しい判定を受けながらも希望校も変更する気が無い事を風太郎に決意表明する。

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

漫画『五等分の花嫁』98話「終わり掛ける日常」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。

なお、下記は前話(97話)の感想・考察記事、および、感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。

◾️前話の感想・考察記事 

◾️感想・考察記事 一覧

出来事のおさらい・感想

98話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。

  • 上杉父がマルオに同窓会をやろうと呼びかける。
  • 三玖は水族館デートに風太郎を誘い、大学に進学する意思が無い事と自身の恋心を伝える。
  • 五月は上杉家を訪れ、学園祭への招待状を渡しつつ、自身の大学進学に対する強い意志を風太郎に伝える。

 

98話は三玖の存在が中心に据えられた回でしたね。デート先は前回、スポーツジムかと想像していたのですが、正解は水族館でした。

これまでに登場した施設の多くが愛知のものであった事からして、これは名古屋港水族館だろうと推定されます。

上の通りツイートもしたのですが、シャチやペンギンはこの水族館を象徴する生き物です。

特にペンギン水槽はおススメです! 多くのペンギンが愛らしい姿で過ごしているのを見ていると、いつまでもその場から離れられません。

 

さて、三玖は水族館で、自身の進路に関する決意と、風太郎に対する好意を伝えます。

三玖が風太郎に自身の気持ちを伝えるシーンで感慨深かったのは、彼女がその判断を先送りする事なく初志貫徹した点です。

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以前までの彼女だったら、風太郎に成績を褒められるという話の流れを受けて、その本心を告げる事なく、結論を出すことまで含めて、ずるずると先延ばしにしていたかもしれません。

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しかし、修学旅行での経験を踏まえ、勇気を出して水面に飛び込んだペンギンの如く、風太郎に自身の気持ちを伝えた三玖。その姿からは彼女の成長を強く感じさせられます。

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これまで勉強を教えてきた風太郎からすれば、三玖が大学に進学しないと考えたのは複雑でしょうね……。しかし、それが本人の夢であれば後押しする他はありません。

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一方で五月はというと希望する大学があり、そこへの進学を狙っています。

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判定こそ奮わないものの、進路の方向性としては風太郎の思い(勉強を教えて成績を上げた「生徒」が大学を受験して合格する)との一致をみているのは印象的です。

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たこ焼きとパンケーキについては、本当に二つともやる事になったようですね。一クラスで二つの食材を扱うとなると、なかなか大変そうですが……。

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これは結果的に二乃の発案という事になるのでしょうか。問題が起こらずに上手くいく事を祈るばかりです。

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前田はたこ焼き屋さんのバイト経験がある(?)ようでした。パンケーキについては二乃・三玖が活躍するとして、たこ焼きサイドでは彼が活躍する場面も描かれるかもしれません。

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そして、四葉は演劇部の手伝い?で、劇に出演するみたいですね。

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96話ラストのこの場面はもしかしたら、劇への出演を依頼されているシーンだったのでしょうか?

何も問題なく上手くいくなら良いですが、ここもひと騒動ありそうです。取り扱われる物が劇という事からすると、ぱっと考えつくのは四葉がトラブルに直面し、そこを学園祭を訪れていた一花が成り代わって助けるという展開でしょうか。

あるいは、これまでのパターンのように一花が変装して助けたと見せかけて、実際には四葉が一人で乗り切った、なんて演出もありうるかもしれません(一花は観客席に普通にいる様子が描かれ、四葉が自力で乗り切った事が読者に示唆されるなど)。

 

さて、この話のタイトルは「終わり掛ける日常」。これもまた何とも深読みができるタイトルですね。

ぱっと思いつくのは、三玖と風太郎との関係性が彼女の告白によって変化し、これまでと同じ日常は続かないという解釈です。

これはこれで解釈としては合っているのでしょうが、もう一つ考えられるのが「平穏な日常が終わりを告げる事の暗示」です。誰にとっての平穏な日常かというと……五月ですね。

以下、今回特に気になった点を考察します。

考察

上杉勇也は何を知っている?

この話では上杉勇也(上杉父)による、思わせぶりな発言がみられました。そこから推測できる事を考察してみました。

「来てるぜ」は招待状のこと?

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本話の冒頭で上杉勇也はマルオに対して

来てるぜ 十数年ぶりだ 同窓会しようぜ

と発言します。

この発言により、元々このブログでも87話での感想記事などからしばしば言及していましたが、勇也とマルオがクラスメイトであった事が改めて確定した事になります。

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勇也の発言を受けたマルオは勇也を追い返してしまいますが、そのカットには一通の封筒が写り込んでいました。

見た目的には何らかの招待状のようにもみえ、二乃から届いた学園祭からの招待状なのか? と思えます。

この事から、冒頭の「来てるぜ」はマルオと勇也に共に招待状が届いており、それを受けて勇也が学園祭の場において「十数年ぶりに、同窓会をしよう」とマルオに提案しているようにもみえました。

勇也は招待状の事を知らなかった

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しかし、物語の後半で五月は上杉家に学園祭の招待状を届けに来ます。

風太郎は勇也が他のクラスメイトの目に触れる事が恥と考えており、学園祭に来てほしくなかったので、招待状を送ってはいなかったようですね。

この場面で、その形状が一致することからマルオに届いていた封筒がやはり学園祭の招待状だった事が確定しますが、同時にマルオに会っていた時点では勇也は招待状のことを知らなかったという点も明確になります。

つまり、勇也は学園祭の事を話していたのではないのです。

あるいは、実はマルオと会っていた場面が招待状が届いた(五月が届けた)よりも後で、漫画的表現として時系列が逆転していたという可能性もあるのでしょうか?

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しかし、その可能性はゼロではないものの低そうです。というのは、五月が上杉家を訪れる前、勇也と風太郎が外で偶然出会って帰ってくる様子が描かれており、そこで勇也は

昔のダチとな

と友人と会っていた旨の発言をしています。

この「ダチ」がマルオの事を指すと断定はできませんが、素直に解釈すればこれは冒頭でマルオと会っている場面のことを表していると考えられます。

そう考えるなら、各シーンにおいて時系列的な逆転は起きておらず、やはり勇也はマルオと会った後に学園祭の招待状の事を知ったと考えられるといえます。

五月にも関係している事?

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また、勇也は五月に対して

何もなかったか?

と聞いています。この事から、勇也が知っている何かは五月(あるいは五つ子)にも関係がある事と推察でき、更に勇也の口振りからして、決して良い影響をもたらすものではなさそうに聞こえます。

結局、勇也は何を知っているのか

この事に関する私の推測の結論を言うと、五つ子の実父が来訪(来日?)している事実を勇也は知っているのだと思われます。

勇也の「来てるぜ」という言葉が指すものが学園祭の招待状ではないのだとすると、その対象として一般的に考えられるのは人物でしょう。

そして、その人物は文脈からして勇也・マルオと同じクラスメイトであり、五月(五つ子)に関係があり、また、それに関する話を聞いてマルオが勇也を叩きだすような相手です。

これらから総合的に考えると、その人物は五つ子の実父ではないだろうかと推察されます。

 

もしそうだとすると、五つ子の実父はマルオと同じく零奈の教え子であり、彼女と離婚した後は何処かに消えてしまったという事になりますね……。

勇也が言うところの十数年ぶりの再会というのが正しければ、現在高校三年生の五つ子が幼児の頃にいなくなったという事になり、話としても辻褄が合います。

五姉妹の実父が零奈と(おそらくは利己的な理由で)別れ、五つ子についても面倒をみることを放棄したとすれば、マルオからすれば唾棄すべき人物なので、今回勇也が話題に出しただけで追い出すのも納得がいきます。

ただ、少し引っかかるのは、もしその対象が五姉妹の実父だとして、少し考えればマルオが忌み嫌っている事くらいは勇也だって想像がつくはずという点です。

なのに、その仲をある種取り持つように、勇也が同窓会を提案するというのは何故か。

その理由として考えられるのは、勇也が恐ろしく空気が読めていないなどでなければ、零奈の元を実父が去ったのには(万人が納得できるかはともかく)何らかの理由があったからなのかもしれません。だからこそ、勇也は彼らの仲違いを解消したいと考えているのかもしれません。

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そして、実父の存在と関係がありそうなのが、97話で示唆された「有名な講師による特別授業」です。

この講師については、風太郎・江端さん・勇也、また竹林など様々な可能性を考えていましたが、いずれのキャラクターも「(講師として)有名」とは考えにくいため、しっくり来ないものを感じていました。

これが五つ子の実父がその人物だったとすれば、今まで彼の情報は一切無かったため、それが実は有名人であったとしても不自然ではないかもしれません。

また、勇也の「来ている」という言葉からは、普段は日本におらず、今回来日したというようにも読み取れます。

もし、普段から日本にいないのだとしたら、「有名」であるにも関わらず、各登場人物らはよく知らないという状況についても、より説明が付くように思います。

五姉妹が零奈と死別した際に保護しなかったのも、それが真っ当な理由といえるかはともあれ、日本にいなかったから助けられなかったという可能性も出てきます。

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もっとも、仮に日本にいなかったのだとしても、普通なら零奈と五つ子に何かあれば助けられるように最低限の連絡経路だけは考えておくのが真っ当な大人だとは思いますが……。

 

ところで、有名な講師が五つ子の実父だとして、想像がつかないのは五つ子と顔を合わせた際の反応です。

展開的に遭遇するのは五月と考えられますが、そもそも五月に彼の記憶があるのかは微妙なところです。

ただ、仮に五月が記憶していなかったとしても、彼女が実父について存在を感知しないままに行きあって話が終わるとはおよそ考えられないので、現在の記憶の有無に関わらず、おそらくは五月が彼を実父と認識する場面はいずれ訪れる事になると思われます。

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実父の存在を五つ子が知ったとして、影響が一番大きいのは、やはり母親の代わりとして生きている五月でしょう。

まだ実父が登場すると決まったわけではありませんが、彼が登場するとして、果たしてどんな波紋がもたらされるのかは大変気になるところです。

まとめ

正直、五姉妹の実父についてはある種のファンタジー的な存在として、作中に登場させなくてもよいのではないか……と以前は、考えていました。

ただ、このように思っていたのは本作がもうすぐ(年内には)終わってしまうという前提の上でした。残り短い中でこの辺のエピソードまで描こうとすると、おそらく相当な駆け足になると思っていたのです。

youtu.be

しかし、先日公開された担当編集さんへのインタビュー動画の中で、『五等分の花嫁』の連載は今年中には終わらない(来年中には終わる?)という喜ばしいアナウンスがありました。

それだけ連載が続くのであれば、五姉妹の実父について、そのバックグラウンドまで丁寧に描く事も可能そうなので、今はこの展開についてもそこまで否定的には考えなくなりました。

未だ謎めいている五姉妹の出生の経緯や零奈の真意など、綺麗に明らかになることを期待しています。

 

サブタイトル「◯◯日常」のシリーズは次話も続くと考えられます。私の解釈では各話が順番に五姉妹の姿を表しており、その仮定が正しければ、次回は四葉が主軸に置かれる回となります。

進む、変わる、終わると来て、次に四葉を象徴しそうなワードとしては、戻る・返る・忘れる・分かる・取り戻す……辺りでしょうか? どんなサブタイトルが設定されるのかも、また一つの楽しみですね。

以上、『五等分の花嫁』98話「終わり掛ける日常」の感想・考察でした。


§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。

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