ボドゲ初心者の南森ゆきがボードゲーム にハマり始める過程を描いた巻。海外文芸部(ボードゲーム部)への入部や、初めてボードゲームを自身で購入する様が描かれる。主に登場したゲームは『Mr.ジャック』『ザ・マインド』『ソレニア』。
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
漫画『天王寺さんはボドゲがしたい』2巻の感想です。感想を述べる中で、あらすじや作中の展開に多少言及しています。
どんな漫画?
作者はmononofu(もののふ)さん。竹書房の雑誌「キスカ」で連載されています。
作品概要については本作品1巻の紹介文面を引用します。
クールで無口、容姿端麗、運動神経抜群、成績優秀……誰もが気になるミステリアスな帰国子女、天王寺ユリア。
そんな彼女を一方的にライバル視する南森ゆきは、ある日、 ユリアの本当の(?)姿を目撃!
ゲームをしながら一喜一憂するユリアの姿に、 ゆきは「ボードゲームの不思議な世界」へと惹かれていく――。
タイトルに含まれているボドゲとはボードゲームの略語であり、その名の通りボードゲームをテーマにした漫画です。
ちなみに1巻についても、感想記事を書いています。よろしければご覧下さい。
以下、2巻で登場するボードゲームの紹介と、読み終えての感想となります。
2巻で主に登場したボードゲーム
Mr.ジャック
切り裂きジャックと捜査官に分かれて対戦する二人対戦ゲームです。
ボード上にはホームズやワトソン、レストレード警部などの登場人物が8人存在し、ジャックと捜査官は互いにそれらを動かします。
ここで肝となるのは、二人で動かす8人の中の1人がジャックの正体ということです。
捜査官は8ラウンド以内にジャックの正体を見破り、捕まえれば勝ち。一方のジャック側は8ラウンドの間に捕まらないか、街の外に逃げられれば勝ちとなります。
ザ・マインド
複数人で協力してミッションをこなす事が目的の協力ゲームです。
各人に1〜100の数字の書かれたカードがレベルに応じた枚数、配られます。その後、全員の中で自分が一番低い数字のカードを持っていると思ったら、それを好きなタイミングで場に出していきます。
誰かがカードを出した際、より小さなカードを持っている人がいた場合は、ペナルティとなります。規定回数のペナルティを受ける前に全員がカードを出し切れれば、そのレベルをクリアとなります。
但し、声や合図など、プレイヤー間の意思疎通は一切不可のため、自分が今カードを出すべき(一番数字の小さいカードを所持している状態)なのか? それとも他の人が出すのを待つべきなのか? が悩ましいです。
最初はレベル1(手札1枚)からスタートし、成功したらレベルを上げ(手札を増やし)、より難度の高い課題にチャレンジしていきます。
バラエティ番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』でも遊ばれた事があり、その際にも話題になりました。
ソレニア
作中でプレイはされていませんが、天王寺が書店で手にしていたのは『ソレニア』ですね。
昼夜の周期が崩れた世界の住人たちに飛行船で物資を届けるという、非常に幻想的な雰囲気のゲームです。
テーマ性やそのコンポーネント(ボードゲームで用いられる駒やタイル類)の美しさに定評のあるゲームですが、それでいてきちんとゲーム内容も面白いと評判ですね。
上で挙げた二つに比べると説明が多めになるので、日本語版を販売しているホビージャパンにおける説明ページに以下、リンクを張っておきます。
このゲームはルールがそこそこ多いようなので、本当は本編で紹介したかったところを泣く泣くカットしたのかもしれませんね。
書店で天王寺の手に持たせるゲームとして選ばれているあたり、おそらくは、一巻における 『魔法の掃除機』同様、作者さんが思い入れのあるゲームなのではないでしょうか?
そう思って考えてみると、どちらも幻想的なフレーバーを持っており、それでいて考え所や面白さもしっかり担保されているゲームという共通点があるようにも感じられます。
感想
ボードゲームにハマり始める南森ゆき
ボードゲーム部ならぬ海外文芸部に入り、ボードゲームに慣れ親しんでいく南森の姿はとても初々しいです。
周囲の先輩も、彼女の興味があるテーマに沿ってゲームを選ぶ(推理小説好き→『Mr.ジャック』)など、その姿勢には好感がもてます。
また、南森が本屋さんで初めてのボードゲームを買うときの様子は、いかにもボドゲ初心者という感じがしました。
どこにそれを感じたかというと、部室に既にあるゲーム(歓迎会で遊んで楽しかったゲーム)を買うという行動についてです。
私自身もそうだったのですが、ボードゲームを買おうとして、果たしてどのゲームを買えば良いのか? は結構悩むポイントでした。
今ではそのルールやテーマから、自分が楽しめそうかがある程度分かるので、遊んだこともないゲームをホイホイ買っています(笑)
しかし、ボードゲームに慣れ親しんで最初の頃は、何を買うかについてある種今よりも吟味していました。
この際、一番安全・確実なのが、自分が遊んで面白かったものを買うという選択でした。
しかし、ある程度ボードゲームに慣れてきた段階になると、自身の属するコミュニティで遊べるゲームは買わないという選択になっていくように思うのです。
もちろん、たまにしか会えない友人が持っているだけとか、自分が物凄く気に入ったので確保しておきたいとか、そういう場合は同じゲームを買う事もあります。
ただ、今はどうせ買うなら誰も押さえていないゲームの中から選びたいという意識が強いです。というのはもちろん、また遊びたい時にはそのゲームをそのコミュニティで遊ばせてもらえばいいですし、また、自分が属するコミュニティで所有していないゲームを買っておけば、他の人は買わなくても遊ぶことができることにも繋がるからです。
色々書きましたが、南森が本屋において、ボードゲーム部で既に所有されているゲームを店舗で手に取った場面には、その初心者らしさが上手く表されているように感じました。
※もっとも、南森が本エピソードで買うゲームを選んだ際は、おそらく海外文芸部における歓迎会でこのゲームを遊んだことから強い思い入れを抱き、それ故に購入するゲームに選んだという気持ちが強そうでした。そのため、彼女は「安全牌」だからという一点を理由に買うゲームを選んだ訳ではないと思われるという点は補足しておきます。
南森は天王寺とどんなゲームで対決するのか?
2巻では南森による天王寺さんへのリベンジは果たされませんでした。是非対戦したい! と考えた南森でしたが、出てきたのが皆で協力するゲーム『ザ・マインド』では、再戦がお預けとなるのもやむを得ません。
この巻は今後の二人の対決に向けての地盤固めのような巻だったように感じます。二人が真剣勝負で相対するのは、もう少し先のことになりそうです。
ところで、二人が対決するとして、一体どんなゲームが題材になるだろうか? と何となく思ったので、ちょっと考えてみました。
私が考える二人の対戦ゲームは……ずばり『アンギャルド』です。
これは、フェンシングがテーマの二人対戦ゲームです。何故これが選ばれると考えたかは、以下箇条書きで。
- 二人用である
- ルールが比較的シンプルなので戦いの様子を深く描きやすい
- 対決感が感じられやすいテーマである
- テクニックと心理戦、どちらも表現できるゲームである
- 5ポイント先取制のため、個々のラウンドで互いに勝つ場面を描ける(天王寺と南森、どちらにも魅せ場を用意できる)
如何でしょうか? 他にも二人が対決するに相応しいゲームはありそうですが、パッと思いついたのは、この『アンギャルド』でした。
この予想が当たるかはともかく、いずれ二人が対決する場面は描かれることでしょう。
その時を南森がどのように迎え、その決着がどう描かれ、そしてその結果が何をもたらすのかはとても興味のある所です。楽しみですね!
以上、『天王寺さんはボドゲがしたい』2巻の感想でした。
§ 本記事で掲載している画像はmononofu/『天王寺さんはボドゲがしたい』より引用しています。
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