学園祭の二日目の様子が描かれる。風太郎の幼馴染み、竹林が学園祭を訪れる。彼女の存在に触発されるように、五姉妹は風太郎への気持ちを再確認する。五姉妹の父・マルオも学園祭には訪れているようだが……?
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
漫画『五等分の花嫁』100話「日の出祭 二日目」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
なお、下記は前話(99話)の感想・考察記事、および、感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。
◾️前話の感想・考察記事
◾️感想・考察記事 一覧
出来事のおさらい・感想
100話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。
- 風太郎の幼馴染みである竹林が学園祭を訪れ、風太郎と共に学内を回る。
- 五姉妹は竹林の存在に強く反応し、それぞれが風太郎への思いを自然と露わにする。
- 学園祭は後夜祭まで含めて全て無事終了し、いよいよ風太郎が誰か一人に告白をする。
記念すべき100話では、かつて風太郎がほのかな恋心を抱いていた少女・竹林が登場しました。
小学生くらいの頃に付き合いがあった友人と、高校生くらいに成長してから、あるいは成人式などで久し振りに出会い、またそれが他の友人と一緒の場だったりすると、何とも言えず気恥ずかしくなるように思うのですが、この感情は私だけでしょうか?
何というか、自分が今存在するコミュニティの様子をオープンにする事に対して、妙な抵抗感を覚えた記憶があります。
風太郎も竹林が五つ子と共に過ごしている様子を見られることについて、バツが悪そうな様子でした。
竹林は風太郎が金髪不良少年だった頃を知っているので、黒髪の真面目な容姿で高校生活を送っている様子を見られるのは、多少恥ずかしく思うのも無理ありませんね(笑)
以下、今回特に気になった点を考察します。
考察
竹林は何故、学園祭を訪れた?
竹林は何故学園祭に現れたのか。作中での理由と、物語構成上の理由から考えてみました。
作中における理由
竹林の視点に立って考えた場合、そもそも風太郎が旭高校に在籍している事をどうやって知ったのか?
これは全国模試の結果等から知ったのかもしれません。何せ、風太郎は全国模試三位ですから。名前と高校はこの結果で確認できるでしょう。
なお、模試の受験時には申請する事で名前や学校を結果に出さないようにする事もできますが、風太郎はあれでいて(?)学業に関する自己顕示欲は強そうなタイプです。わざわざ伏せる事はしなさそうです。
風太郎が竹林が来ることを予期していなかったことからも、竹林が高校を訪れたのは彼女が独自に調べた結果だと考えます。
その上で彼女が来た理由ですが……純粋に、成長した風太郎の様子を見たくなったのだろうと思います。
五つ子にちょっかいは出していましたが風太郎からはそれがからかいである事を指摘されていましたし、また学園祭後は真田と行動を共にしていました。
彼女が風太郎に恋愛感情を持っているとは考えにくいです。おそらくは、かつて自分が勉強を教え、今では全国でも指折りの成績を収めている彼の姿を一目見たく、また応援したかったのではないでしょうか?
ちなみに、竹林は真田に対して五つ子の事を話題にしていますが、これは単純に学園祭の場で風太郎、または五つ子の誰かと会話をした結果、知り得た事実なのかなと思います。
竹林が事前に知っていて何か裏があるという描写ではないと私は思いました。
物語構成上の理由
それでは物語構成上、彼女が訪れた事の意味は何だったのか?
ここには大きく二つの要素があったと考えます。
一つは、竹林に対する対抗意識から、四葉が自分の気持ちを口にしようとしたことです。これによって四葉は自分自身の気持ちを改めて自覚しましたし、その場にいた三玖も四葉の気持ちに気付いたふしがあります。
もう一つは、四葉と同じく五月も竹林の挑発にのり、風太郎との関係性の深さを口にする事になりました。これは恋愛感情と明確に言えるわけでないですが並々ならぬ思いがあるのは五月も他の姉妹と変わらない事が示唆されました。
つまり、五人全員が風太郎を何らか強く想っているのは間違いないという事を、外部の竹林という触媒を通じて強調する意味があったのだと考えます。
学園祭を訪れるマルオ
インタビューを拒否するマルオの手(?)
二乃から招待状を受け取ったマルオですが、どうやら二日目の学園祭を訪れたようです。
1ページ目、江場部長がインタビューを受けている次のコマで描かれているのはマルオでしょう。その口調と左手の薬指にある結婚指輪から、そう推測できます。
二日目にパンケーキ屋にいたのは二乃と五月の二人でした。101話以降で、もしかしたら二乃が店番をする中でマルオが訪れ、彼女が焼いたパンケーキを食べる場面が出てくるかもしれませんね。
というか、個人的には是非見たい場面です。それが起きたという事を暗示するだけで終わるのは、ちょっと寂しいと感じます。
何者かに背後に忍び寄られるマルオの足(?)
マルオの手に続いて、今度は足の話題です(笑)
何者かの影が不穏に写されているカットが終盤にありました。ここはあまり明確に描かれていないので断言はできないのですが、背後に忍び寄られている人物は、履いている革靴などからマルオのようにも見えます。
だとすると、この迫り来る人物は一体誰なのか?
そもそも、99話では「初日は無事に終わっていなかった事を後から知った」という主旨の風太郎のモノローグがありました。
しかし、100話で描かれている校内アナウンスの文言を読む限りでは、学園祭そのものは恙無く終わっているように見えます。
となると、風太郎が言っていた「何かが起きていた」というのは、学校やクラス全体ではなく風太郎や五姉妹の周辺でのみ起こっていた事態と推定できますね。
一体、何が起きていたのか。具体的にそれが明らかになるのは、まだこれからのようです。
一花と知らないおじさんが交差した可能性について
99話では、一花が二乃に変装して学園祭を訪れていた事が示唆されていましたが、この部分については100話でも言及はされませんでした。
一花が学園を訪れた際に何かが起きていると想定し、また二日目でマルオ(?)が誰かに忍び寄られている。
これらを総合すると、やはり何者か望まざる相手が学園を訪れ、それが五姉妹に悪影響を及ぼした可能性を想像してしまいます。
たとえば、前話で登場した風太郎が道案内したおじさん。彼が五姉妹の実父だったりするのでしょうか……?
しかし、この話についてよくよく考えを詰めてみると、少し気になる部分があります。
おじさんを道案内する場面を三玖は目撃していますが、彼女はおじさんの事を知らない人と表現しています。
これについては、五姉妹の実父がいなくなったのは彼女らが相当小さかった頃でしょうから、仮に実父だとしても、その容姿を覚えてないのはおかしな話ではありません。
しかし、だとすると、一花もおそらくおじさんの容姿は記憶していないと考えるのが普通です。
もちろん、一花だけが記憶していたという可能性が無い訳ではないですが……一花も三玖同様に記憶が無いのだとしたら、彼女が一方的におじさんを見かけて何かを感じ取るということは無かったはずと考えられます。
となると、考えられるのはおじさんから一花を見つけ、声を掛けてきたケースです。
しかし、今度は逆におじさんは一花を自分の娘と判別できたのか? という疑問が生じます。かつての五姉妹の姿から、今の五人の容姿を結びつけるのは至難の業でしょう。
一花は女優業なので、世間には顔が売れています。だとすると、五姉妹であることは関係なく、彼女が有名であるが故におじさんが声を掛けてきた可能性は無いでしょうか?
しかし、この時は一花は二乃に変装していた(と推定される)ので、その理屈もおかしいです。
こうして考えると、私は一花が学園を訪れる際に何かがあったと考えているのですが、一方であのおじさんと直接接点を持った可能性は低いとも結論できるとも思いました。
つまり、こっそり学園祭を訪れた一花絡みで何かが起きていた(あるいは何かを彼女が気付いた・目撃した)としたら、それはあのおじさんとは無関係という事です。
ただ、これは一花やおじさんが互いにその容姿を記憶しておらず、またその他の情報源も絡まないという前提に立って出した結論である点は注意が必要です。
実は一花が実父の容姿をその記憶から判別できたり、また二人の関係性を知る第三者が介在したりした場合には、必ずしも上の通りとはなりません。
風太郎は何処に行こうとした?
一日休みをもらい、手持ち無沙汰になる風太郎。この後、竹林に見つかり行動を共にする訳ですが、彼はこの時何処に行こうとしたのでしょうか?
ポケットに手を入れた時の音からして、お金が無い風太郎はおそらく、何らかの無料チケットを使う事を考えたのでしょう。
以前五月が上杉家に届けた招待状の中で、無料のチケットの存在は描かれていました。「出し物」は無料で見る事ができそうですね。
100話ではキャスト変更の看板が掲げられていました。これが伏線だとすると、四葉がスポットの当たる役に抜擢されたという事でしょうか?
100話では描かれていませんでしたが、竹林と別れた後に、風太郎は四葉が出ている劇を見に行っているのかもしれませんね。今後の回想に期待です。
風太郎は誰に告白するのか?
いよいよ五姉妹の誰かに告白するとみられる風太郎。果たして彼は誰に告白するのでしょうか?
自分の中での予想は五月です。
まず、物語上の流れとして、ここで一花・二乃・三玖に告白をしたとすると、風太郎への好意が明白な彼女らはそのまま彼の告白を受け入れると考えられます。
一方で、四葉と五月が相手の場合、その告白に対して彼女らが困惑するのは間違いありません。
但し、100話で竹林が現れた際に四葉は、彼女に対してではあるものの、自分の風太郎への想いを形にしようとする様子が伺えました。
また、五月も自分も風太郎から告白されたらどうするかを想像しており、完全に自分が蚊帳の外であるとは考えていない事が読み取れました。
となると、四葉や五月に告白をしたとしても、素直に事が運べば彼女らはその告白を受け入れるはずなのです。
しかし、風太郎が告白してそれを相手が受け入れたら、物語はここで閉じてしまうのです。
だとしたら、どういう展開が考えられるのか?
この状況で風太郎が告白を行い、それでもスムーズに話が進まないケースを考えると、風太郎が五月に告白するのだが、彼女を選んだ理由について、かつて京都で会った"写真の子"の正体を五月と誤認していたことに起因する場合でしょう。
風太郎は写真の子が四葉であると気付いているかどうか? というのはよく話題に上がりますが、私はまだその事には気付いていないと思っています。
修学旅行でお守りの有無から一花の"嘘を見破った"時から、風太郎の中での情報がアップデートされた様子は伺えません。だとすると、彼は未だに写真の子の正体を公園やショッピングモールで会った零奈だと思っている可能性が高いです。
一方で、風太郎が零奈の正体を五月だと見破っている可能性はあります。
四葉と五月で訪れたショッピングモールに零奈が現れ、またその零奈と会話している最中、四葉はらいはと一緒だった。他の姉妹も実はショッピングモールに来ていた……という可能性もなくはないですが、上の事実を素直に考えれば零奈の正体は五月で決まりです。
風太郎は写真の子に対して感謝の念を持っています。それを理由に彼が五姉妹の中から一人を選んだとしてもおかしくはないでしょう。
ただ……この選択は彼女が好きだからではなくて、五人の中から一人を選ばなければならないと考えた中でひねり出した理屈とも見えます。
彼女に抱いている気持ちは恋愛感情としての「好き」なのか? そのことに対する疑問は、風太郎自身も感じているのではないでしょうか。
だからこそ、彼自身、この選択は正しかったのか? と悩んでいる様子が描かれているのだと私は思うのです。
まとめ
次話の展開は非常に気になりますね! いよいよ風太郎が告白する相手が明らかになるのか、あるいはその前に学園祭の様子を描写する回が一旦挟まれるのか?
個人的には、次話では学園祭の様子が描かれると思ってますが、この手の展開予想は最近全然当たらないので自信薄です(笑)
ただ、どちらが描かれるにせよ、その中身が気になることは変わりありません。私たち読者にできるのは、次の展開が提示されるまで、親鳥から与えられる餌を待つ雛鳥の如く、口を開けて待つばかりです。
以上、『五等分の花嫁』100話「日の出祭 二日目」の感想・考察でした。
§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。