風太郎は太秦映画村を三玖と共に回る。何者かによって三玖への助け船(?)が出される中、ついに三玖は風太郎への告白を果たす。
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
漫画『五等分の花嫁』84話「シスターズウォー 七回戦」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
なお、下記は前話(83話)を読んでの感想・考察記事、および、現時点での本作における大きな謎全般についての考察記事です。よろしければ、ご覧下さい。
出来事のおさらい・感想
84話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。
- 風太郎が三玖と太秦映画村を回る。
- 池に落ちた三玖のために下着が差し出されたり、失くしたはずのパンが出てきたりと不可思議な事が起こる。
- 三玖が風太郎に告白する。
84話にしてとうとう三玖が風太郎に告白しましたね! 映画村で最初に会った際には風太郎から逃げていたものの、途中からは普段通り過ごすことができました。
結局、前週のラストで一花は三玖にEコースを譲ったという事だったようですね。平和的な解決で安心しました。
映画村を一緒に回るはずの武田と前田はどうなるのかと思っていたら、風太郎を置いて先に行ってしまったとのこと。意外と薄情ですが、コスプレにテンションが上がってしまったのなら仕方ない? ですかね。あるいは、何かと勘が良い前田が、三玖の様子から風太郎への好意を察して気を利かせたという可能性もあるのかもしれませんが……。
以下、今回特に気になった点を考察します。
考察
三玖をフォローする何者かの存在
風太郎と三玖のデートの間、不思議なことが幾つか起こりました。
- 風太郎が誰かに押されて三玖が池に落ちる
- 三玖に派手な下着が差し入れられる
- 三玖が一日目に落としたパンが現れる
誰によってこれらが引き起こされたのかについて、検証します。
風太郎が誰かに押されて三玖が池に落ちる
このシーンで風太郎が三玖にぶつかり、結果的に三玖が池に落ちます。風太郎が周りに注意しなかったからだと三玖は言いますが、当の風太郎はというと
おかしいなぁ…俺も押された気がするんだが…
と誰かによって押された事を示唆します。
ところで、話は逸れるのですが、この池の恐竜は何なのか?
調べたところ、当たり前といえば当たり前ですが、本当に映画村にあるんですね。知りませんでした。
詳細については上の記事が参考になりました。この恐竜は5分に1回、池から顔を出すそうです。池の中に引っ込むとまたしばらく顔を出さないため、三玖が風太郎を急かすのも納得ですね。
なお、恐竜が映画村にいる経緯としては
お金がないから、オープンセット(映画村)の中で唯一、プールのあった江戸の町の池に怪獣…という、なんともおかしな設定になってしまった
との事でした。ちなみに、はじめからテーマパークを作ったのではなく、撮影セットをテーマパーク的に公開したのが映画村の始まりだったと記事には書かれていました。恐竜も元々は何らか撮影に使えないかと仕込まれたオブジェクトだったようです。
ただ、江戸の町に恐竜という組み合わせがアンマッチのため、結局撮影で使われることはなかったそうです。何というか、当時の大らかさが感じられるエピソードですね。
三玖に派手な下着が差し入れられる
下着まで濡らしてしまった三玖はその後の対処に困りますが、そんな三玖に救いの手が差し伸べられます。
それが派手な下着でした。しかし、映画村の係の人がそんな派手な下着を差し出すとは考えにくいです。
普通に考えて、下着はおそらく五月が修学旅行前に買った物でしょう。しかし、何故その下着が映画村に届くのか?
五姉妹の誰かが届けたと考えるのが妥当です。そして、その人物は風太郎を押して結果的に三玖を池に落とした人物なのだろうと推測されます。
というのは、そもそもそんな下着が役に立つかどうかはエスパーでない限り分からないためです。自分が池に対象者(三玖)を故意に落としでもしない限りは……。
おそらくその人物は、三玖にその下着を履かせるために池に落としたのでしょう(少々手口が荒っぽいですが)。
五月が派手な下着を持っていることを知っているのは五月本人、またはホテルで目撃した一花です。念のために範囲を広げるにしても、せいぜい一緒にショッピングモールに買い物に行った四葉まででしょうか。この中の誰かが下着を差し入れた人物と考えられます。
三玖が一日目に落としたパンが現れる
最後はこれです。三玖が一日目に、伏見稲荷大社の頂上で落としたはずのパンが映画村に現れました。
自然に飛んでくる訳はないので、下着の件と同じく姉妹の誰かが届けたとしか考えられないですね。
伏見稲荷大社で落としたパンを拾えた姉妹は、告白騒動で遁走した三玖を追わずに現場に残った一花か二乃のどちらかに絞られます(四葉・五月は三玖を追いかけたので、パンを拾う機会は無かった筈です)。
誰がやったのか
五月の下着について知っており、かつ、パンを拾えた機会があったのは一花のみです。彼女が各種の事象を引き起こしたとみて、間違いないでしょう。
より厳密にいうなら、下着の件が一花から他の姉妹に伝わっている可能性や、パンを拾った一花・二乃が他の誰かに渡した可能性だってゼロでは無いかもしれませんが、とりあえずここは素直に考えました。
一花の取った行動を再整理する
三玖とコース変更をしてDコースに回った一花は腹痛を訴えていましたが、仮病だった可能性が高いですね。彼女は腹痛を理由にDコースをエスケープし、映画村に向かったのでしょう。
映画村に向かった目的は三玖のサポートですね。やはり、二日目夜の三玖とのやり取り(自身が偽三玖として場をかき回していたのに、よく事情が分からない三玖から自分のせいで修学旅行が楽しめていないと逆に謝られてしまったこと)は、一花の心に響いていたようです。そのため、風太郎が選ぶであろうEコースを三玖に譲るなど、三玖のサポートに徹する形で三日目を過ごそうと考えたものと思われます。
ちなみに、Dコースから映画村への合流に関する実現可能性についても一応検証しました。
Dコースは「織田信長のゆかりの地巡り」ですが、これとほぼ同名の観光プランが京都の観光案内サイトに載っていました。それが以下のページです。
仮にこのプランだとすると、各スポットから太秦映画村までは、公共交通機関を利用して30分〜50分で辿り着けることを確認しました。よって、大体一時間強もあれば、一花は映画村に着くことができたと考えられます。
映画村に着いた一花は、風太郎と一緒にいる三玖がコスプレ衣装の姿でいるのを見つけると、風太郎を押すことでピタゴラスイッチよろしく三玖を池に落とします。そして、更衣室において派手な下着を差し入れます。
下着を差し入れた理由は、いわゆる「勝負下着」を三玖に身に付けさせる事で彼女を勇気付け、告白を後押しさせたかったのではないかと思いました。ただ、三玖にその精神が伝わったかは微妙な所ですが……。
なお、この下着については前日の夜に五月が「身の丈に合わないので捨てる」と発言していました。一花はおそらく、「捨てるくらいなら私に頂戴」というような事を言って、五月から譲り受けたのでしょう。
最後は三玖と風太郎が腰を落ち着けた場面を見計らって、パンを届ける事でミッションコンプリートです。
ちなみにパンはこの時、三玖から見て左側の位置に現れました。ちょうど建物の陰から近寄り、一瞬手を伸ばせば置けるスペースです。気付かれずにパンを置くことは十分可能といえます。
なお、風太郎が実はパンを所持しており、三玖に気を遣ってマッチポンプしたという説も見かけたのですが、風太郎と三玖の座り位置からして、三玖に気付かれないように三玖の隣にパンを置くのは風太郎には無理だと思いました。
伏見稲荷大社でパンを拾ったのは一花だったんですね……拾得してから、そのままずっと保持していた際の胸中はどんなものだったのでしょうか。
82話の考察では二乃がパンを拾ったのではないかと書いていましたが、ここは外れました。
思えば、二乃が三玖とサシで話す機会を得たにも関わらずパンの話題に触れない時点で、二乃はパンを拾っていないと判断すべきでしたね。この辺は考察の踏み込みが足りませんでした。
【追記】上で挙げた他にも一花が取ったと思われる行動がある
本記事へのコメントにて、他にも伏線があった可能性について気付かせて頂きました。以下、コメント頂いた内容に完全に乗っかる形で恐縮ですが、挙げていきます。
・戦国武将の衣装がない
施設の人(?)の声掛けは
戦国武将の着付け体験、いかがですかー?
となっていたのですが
実際には武将の衣装はありませんでした。ということは、声を掛けてきたのは施設の人ではないですね。一花の可能性が高いです。
一花は後に下着をプレゼントしたい意図があったので、まずは着替えさせる事(そして後に池に落とす事)が必要だったのでしょう。
・係の人が何故かノリノリ
係の人はノリノリで三玖に衣装を見繕ったようです。これは三玖の可愛さに目を付けた係の人が自発的に行ったのかなと読んだときは思ったのですが、一花が偽三玖に変装して声を掛け、係の人が真三玖に着付けをするよう誘導した可能性もありますね。
また、この『扮装の館』についてきちんと調べてみたところ、何と費用は5800円でした(一時間利用の場合)。
高校生には結構なお値段です。これだけお金が掛かるのに、客がその気がないのに押し売りするような態度を係の人が取るとは思えないので、その点からしても一花の誘導があったと考えるのが自然でしょう。
・武田/前田が先に出発した
二人が先に出発したのは薄情じゃないかと、記事で書いていましたが……
よく見ると、二人の前に女性の格好をしたと思しき人物がいます。これが偽三玖に変装した一花のコスプレ姿(ややこしいな)なのではないかとのご意見です。
いかにもそれっぽいですね。顔が出ていないのが特に怪しいですし、二人は彼女の後に付いていっているようにも見えます。おそらく、風太郎は先に行ったので追いかけようなどと伝え、武田・前田・三玖(実際は一花)で出発したのではないでしょうか。
あるいは偽三玖でなく前田が憧れていた一花本人だったのかもしれませんが、それだと二人が風太郎や三玖を放って出発した理由が分からないです。やはり、一花は三玖に変装していた可能性が高そうです。
ちなみにタイミングを考えると、この着付けの際に、係の人に何らか声掛けをして、三玖がコスプレするように誘導したのだと考えると、しっくりきます。
・吹き出しが二重になっている
解釈に迷ったのがこの要素です。係の人からの声掛けの吹き出しについて、2人の人物が言葉を発したように描写されています。上で既に述べましたが、この発言は姉妹の誰か(つまり一花)による偽の声掛けです。
問題はこの描写が以下のどちらを意味するのかということです。
- 2人の人物が一緒に同じ言葉を発した
- 2人の人物が一緒に異なる言葉を発した
1の場合、一花以外にも誰か姉妹が映画村に来ており、共にサポートしている事になります。
2の場合、声掛けしたのは一花のみですので、映画村には一花だけが来ている事になります。この場合は、係の人による正しい声掛けを上書きするような声量で、三玖の気を引くために偽の声掛けをした事が、二つの吹き出しを前後に重ねる形で表現されているのでしょう。
1か2かで話はだいぶ変わってきます。姉妹の数人で三玖をサポートしているのか? それとも一花だけがサポートしているのか?
私は2だと思いました。つまり、一花は単独で三玖をサポートしているという考えです。理由は二つあります。
まず一つ目は、この声掛けを複数人でやらなければならない必然性が無いと感じた事です。強いて言えば声量が足りないとかでしょうか?
しかし、複数人で声掛けするなら同じ言葉できちんと合わせないと不自然になりますし、また秘密裏に三玖をサポートしたいなら複数人での声掛けはバレるリスクが高まります。仮に複数人でサポートしていたとしても、この場面で複数人で声を掛けるという行為は違和感があると思いました。
二つ目の理由は、吹き出しが二つ重なるような描かれ方をしている点です。もし同じ言葉が発されているなら、吹き出しは一つで声の発信元だけが二つに分かれるような形で表現されるのではないかと思うのです。しかし、上の画を見れば分かる通り、吹き出しはあくまで二つです。これは、発された言葉が異なることを意味しているのではないかと思いました。
以上から、私は映画村に来ているのは一花のみで、彼女が単独で三玖を陰からサポートしたのだとみています。
【追記の追記】何故、一花は「三玖が戦国武将に弱い」事を知っていたのか?
更にコメント頂き、看過できないポイントだと思ったので追記しました。
戦国武将の着付けで三玖を引き付けたのが姉妹であるとするならアシストしたのは一花だけではないのでは無いかとも思うのですがどうでしょうか?
三玖が一花に趣味を暴露した事は無かったような気がするのですが…
確かに。
念のため確認したのですが、三玖が一花に戦国武将が好きと言っている、またはそう伝わっている場面は見当たらないです。それでは、どう解釈すべきなのか?
この点について、場合分けで考えてみました。
- サポートをしているのは一花だけではない
- サポートをしているのは一花だけである
1は上で挙げた話と矛盾しますが、実際には一花以外もサポートをしていたというケースです。他の姉妹が映画村まで来ている可能性もありますし、情報提供など間接的な支援までに留まる可能性もありえます。
この場合、一花は少なくとも二乃には協力を仰いでいるのでしょう。その結果、二乃から三玖が戦国武将が好きだという情報を何らかの形で得たが故に一花は例の声掛けを出来た、または二乃自身が声掛けをした、という事になりますね。
上の吹き出しの件等に関する考察とは結論が食い違いますが、少なくとも戦国武将の声掛けの件に関しては矛盾がなくなります。
2は、やはり一花が単独でサポートしているというケースです。上の吹き出しの件などの考察からすれば、私はこの立場に立ちたいところですが、この場合はもちろん、何故、一花は三玖が戦国武将好きだと知る事ができたのかについて、説明を付ける必要があります。
この点について、多少強引ですが理屈を付けてみました。それに関係すると思ったのが
82話で二乃が三玖のいる室内に入ってくるシーンです。いつもの三玖の決め台詞について、お株を奪う形で台詞を口にして部屋に入ってくる二乃でしたが……ところで、二乃はこの台詞を何処で耳にしたのでしょうか?
三玖が二乃に対して教えたのは、戦国武将が好きという事まで。この台詞は二乃の前では発していないのです。
この台詞が作中で明示されたのは、二年生の中間試験でドッペルゲンガー作戦を行ったときです。しかし、この時は三玖が先頭で、二乃はそれより後に校舎に入りました。よって、この時に台詞を聞いていたと解釈することはできないはずです。
となると、三玖は作中で描写される以外の場面でも同じような台詞を使っているのだと考えられます。二乃はそれを聞いたので、真似が出来たという理屈です。
ここから話として苦しくなってくるのですが、一花も同様に、三玖が戦国武将のことが好きだと察するシーンが、作中で表現されていない場面であったのかもしれません。だから、一花は三玖が戦国武将に食いつくと知っていた。
ただ、三玖のこの件に関するコンプレックスは相当なものですからね……一花が三玖の趣味について本当に知り得たのか? やはり疑問符はつきますね。
二乃は確かに三玖の決め台詞を知っていました。しかし、それは既に二乃には自分の趣味がバレているから、三玖が開き直って二乃の前では隠さずに使っているだけとも考えられます。だとすると、一花が三玖の趣味について知り得る機会はやはり乏しいと考えざるを得ません。
ただ、現在は勉強の際に各姉妹が教師役を務めています。歴史(社会)の教師役は三玖が務めている筈なので、歴史に関して教える際の熱の入り方から、三玖が歴女であると一花が気付いた可能性はありうるように思います。
長々と書きましたが、まとめるとこれまでの描写を見るなら二乃が関与していない限り、あの声掛けはできないと思われます。ただ、作中で描写されていない所で一花が三玖の歴女嗜好に気付いたと解釈を付ければ、一花単独でのサポートという線も残ると思いました。
三玖の告白について
三玖は元々、修学旅行の最後を風太郎と一緒に過ごせただけで満足と語っていました。この時点では告白する気は無かったんでしょうね。
しかし、三玖が作ったパンを風太郎が食べ、その際に努力した点を褒められた事に三玖は感極まります。そして、その後の風太郎への告白という流れに繋がっていきます。
この事を考えると、もし一花によってパンが届けられなかったら、三玖は告白できなかったかもしれません。これは一花の長女としての面目躍如と言えそうです。
ちなみに、風太郎はこれまで三玖の料理について、オムライスやコロッケ、また二乃と三玖のどちらが風太郎のバイト先に入るかの料理勝負の際など、何度となく食べてきています。貧乏舌の風太郎は味について不満を漏らした事はありません。
風太郎限定で言うなら、三玖の料理において改善が必要な優先度が高いのは味ではなく見た目だったといえるでしょう。
そのため、今回三玖が作った「普通の見た目のクロワッサン」を目にした事で、どれだけ三玖が頑張ったのかを風太郎は感じ取ったのではないでしょうか。
三玖の頑張りが結実した今回のエピソードは、とても清々しく読む事ができました。
パンの消費期限は?
少し気になったのは三玖が作ったパンの消費期限についてです。
作ったのは修学旅行一日目の朝でしたが、果たして食べて大丈夫なのでしょうか?
この点について「手作りパン 消費期限」のキーワードで検索したところ、大体作ってから2〜3日であれば食べられるとの情報を確認しました。
また、クロワッサンの賞味期限については、以下の記事が大変細かく書かれていて、読んでいて面白かったです。
こちらの記事で書かれているのは賞味期限なので「食べて問題ない範囲(消費期限)」よりは厳しめな日数になっているでしょう。
諸々読んだ結果、作ってから2日後であれば食べても問題はなさそうですね!
風太郎の父は消費期限が一週間切れの牛乳を飲んでも大丈夫という驚異的な胃の持ち主でした。
しかし、風太郎は自宅の牛乳(おそらくこれも消費期限切れ)をテスト当日に飲んで、えらい事になっていました。そのため、胃腸の強さは常人並みと思われますが、今回のパンを食べて体調を崩す事は無さそうです。
【追記】風太郎の母親の死について
84話では、風太郎の母親についての情報が新たに提示されました。その点について掘り下げてみたいと思います。
まず、風太郎の口から提示された情報を整理すると、以下のようになります。
- 風太郎の母親が亡くなったのは6年前であること
- 亡くなる前までパンを毎日焼いていたこと
- 小さな個人喫茶をやっていたこと
- 手作りパンは個人喫茶で人気を博していたこと
これらの情報から読み取れることを幾つか整理してみました。
上杉らいは(上杉妹)の年齢は?
風太郎の妹であるらいはについて、年齢が明らかだったか記憶が定かでないのですが、とりあえず今回の情報から年齢を探ってみました(もし何処かで既に明示されているようなら、コメント等でご指摘頂けるとありがたいです)。
風太郎は、母の死が6年前であり、亡くなる前までパンを焼いてくれていたと語りました。
出産直後の時期に「お店でも評判のパン」を「毎日」焼くのはまず無理でしょう。出産後の母体の回復、そして、らいはの育児を彼女が主体で行ったと仮定すると、上杉母の職場復帰までは最低でも一年、できれば二年はインターバルを置いて考えるべきでしょう。
ひとまず、ここでは二年間のインターバルがあったと仮置きしました。すると、らいはが生まれたのは最短でも8年前となります。よって、らいはの年齢は少なくとも8歳以上と推定できます。
なお、これは風太郎が2年生の林間学校に参加する前日に、らいはが学校で倒れたシーンです。よく見るとコマの左下、同じクラスの男の子の教科書に円と三角形が描かれています。
小学生算数で図形の概念が登場するのは二年生から、そして円の概念は四年生から扱われるそうです。よって、らいはのクラスは二年生〜四年生の間と考えられます。
らいはの精神の成熟度や家事能力等を見る限りでは低学年とは考えにくく、そうなると小学校四年生頃が妥当といえそうです。
よって、年齢に換算すると10歳ですから、先程の推定(らいはの年齢は8歳以上)と辻褄は合っています。
更にこちらは「結びの伝説2000日目」の一コマです。林間学校に行ったのは2年生の冬の時期でした。そこから数えて2000日後に結婚式が行われています。この際、らいはがセーラー服姿で登場しています。中学・高校のどちらの制服か分かりませんが、2000日を約5.5年と換算すると、結婚式の頃のらいはの年齢は15〜16歳となりますので、この点も辻褄はあっていますね。
もしこの推測が正しければ、風太郎の母は今からおよそ10年前にらいはを出産し、その後職場復帰し、6年前……つまり、らいはが4歳の時に亡くなったという事になります。
風太郎は母の死に強いショックを受けたと思いますが、同時にらいはに対して自分が守らなければならないという気持ちを強く持った事と思います。溺愛するのも納得です。
上杉家は喫茶店?
風太郎の口から明確に語られた話の中で違和感があったのは、かつて上杉家は個人喫茶をやっていたという部分でした。
ひょっとしたら上杉母が自宅以外の喫茶店で働いていて、そこで手作りパンが評判だったという可能性も無いとはいえませんが、自宅と異なる店舗で販売するパンを自宅で焼いて持って行ったというのは考えにくいです。額面通りに受け取るなら、やはり風太郎自身の家で個人喫茶は運営されていたと考えるべきでしょう。
しかし、漫画版では描写がありませんが、アニメ版では「小料……」という、小料理屋を行なっていた事を示唆するような看板が上杉家の外に確認されています。これは矛盾なのでしょうか?
もしかしたらアニメ化時の打ち合わせ漏れ等があったのかもしれませんが、この点について辻褄を合わせるならば、風太郎の家はかつて小料理屋&個人喫茶という業務形態だったと考えられます。
あまり意識した事はありませんでしたが、「小料理 喫茶」などで検索すると、同様の形態のお店が実際に見つかります。そうしたお店では昼に喫茶店、夜に小料理屋といったスタイルで営業を行う事があるようです。
風太郎の家も同様に、小料理屋と喫茶店を同一店舗で運営していた可能性があります。
マルオ(中野父)と勇也(上杉父)の接点?
風太郎の母親が6年前に死亡した事は明らかになりましたが、その死因は明らかになっていません。
もし病死等だった場合、医師であるマルオが診療にあたった可能性もあります。もしかしたらマルオと勇也の接点は、ここにあるのでしょうか?
しかし、マルオと勇也はそれぞれ名字・名前を呼び捨てにする形で呼び合っています。もし二人が医師と患者家族という関係で出会ったのだとしたら、特別な事情が無い限り、そんな仲にはならないでしょう。
よって、元々知り合いだったために勇也がマルオに診療を依頼したという可能性はありますが、上杉母の診療を起点として二人の関係が構築されたという可能性は低いと思われます。
なお、もし仮にマルオが診療に当たったとすると、薬石効なく風太郎の母は亡くなってしまったという事になります。
素朴な疑問として、何故マルオは江端さんや業者等の優秀な家庭教師ではなく、同年代の風太郎に家庭教師を依頼したのかという点がありました。多少、発想が飛躍しているかもしれませんが、もしかしたら、上杉母を救えなかった事についてある種の負い目のように感じていたマルオが、上杉家の財政状況を考え、姉妹の家庭教師を依頼したといった背景があるのかもしれませんね。
まとめ
今話の見所は、やはり三玖による告白でしょう。風太郎は、二乃からの告白の時とは違い、三玖からの好意には気付いていました。なので、修学旅行中に三玖から告白される可能性についても想定していた筈です。
であれば、告白された際にどう対応するかまでを既に考えているかもしれません。果たして、風太郎は三玖に対してどういった返答をするのでしょうか。
また、他のルートに向かった姉妹の動向も気になります。二乃に対する盗撮は未だ継続しているのか。そして、五月は和菓子にありつく事ができたのか。
何かと気になる点は沢山あります。次のエピソードも公開される日が待ち遠しいですね。
以上、『五等分の花嫁』84話「シスターズ・ウォー七回戦」の感想・考察でした。
§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。