あるこじのよしなしごと

妻・息子2人(2014生:小麦アレ持ち/2019生)と四人で暮らしています。ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、育児、その他日常等について綴っています。

漫画『五等分の花嫁』96話の感想・考察/風太郎と四葉が学園祭の成功を目指して邁進する

ざっくり言うと

高校の学園祭に向けた準備が始まる。風太郎と四葉はクラス委員長として出店の準備に全力で取り組み、成功を目指す。一方、五月は進路・成績について悩みを抱えている様子が描かれる。

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

漫画『五等分の花嫁』96話「進み続ける日常」を読んでの感想・考察です。感想・考察の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。

なお、下記は前話(95話)の感想・考察記事、および、感想・考察の記事一覧へのリンクとなります。よろしければ、ご覧下さい。

 ◾️前話の感想・考察記事 

 ◾️感想・考察記事 一覧

出来事のおさらい・感想

96話で起きた出来事を簡潔に箇条書きすると、こんな感じでした。

  • 風太郎と四葉及び他の姉妹が学園祭の成功を目指して奔走する。
  • 四葉が風太郎のことを強く意識する様子が描かれる。
  • 自身の進路・成績に悩む五月の様子が描かれる。 

 

96話は主に四葉・五月に焦点があてられた回でした。95話感想では、「分枝の時」のシリーズのまま四葉か五月のいずれかにフォーカスされると予想していました。サブタイトルは変わってしまいましたが二人に焦点が当たるという予想はその通りでしたので、半ば正解、半ば外れといったところでしょうか。

以下、今回特に気になった点を考察します。

考察

学園祭を巡るそれぞれの思惑

学校生活最後のイベントとして、学園祭が開幕します。このイベントを巡る、各人の気持ちを整理してみました。なお、一花および五月は96話において学園祭に強く絡む場面が無かったので、割愛しています。

風太郎

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風太郎は、学園祭をやるからには徹底的に楽しむと言い切り、準備に奔走しています。

96話で特に印象深かったのが、出店で何をやるのかの案を出すシーンでした。

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二乃はたこ焼きが王道で良いと主張し、前田・武田らの男性陣はその案に乗るのですが、あからさまに乗り気でない様子の女子が一部いるようでした。

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ここで風太郎は、何か言いたげな様子だった(のでしょう)三玖に水を向けることで、彼女の「パンケーキ屋さんをやりたい」という気持ちを引き出します。

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すると、先程不満げだった女子生徒ら(その髪型と色から同一人物と見て取れます)がその提案を喜んで受け入れるんですね。

この辺も、風太郎の変化・成長と言えそうです。これは想像ですが、かつての風太郎であれば、過去に学園祭で人気だったメニューからどれを選ぶかという思考止まりだったんじゃないでしょうか?

しかし、三玖の顔色から何か主張したい気持ちを読み取る事で、前例の無い「パンケーキ」というメニューを引き出し、それについて「あり」と判断し、また(これは狙ったわけではないのでしょうが)クラス内の不和の芽を摘むことにまで成功しました。

かつての風太郎では、この結果は出せなかった気がします。

四葉

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四葉は林間学校や修学旅行の時と同じく、最高の学園祭にしたいという気持ちでいっぱいのようです。

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今ではクラスに溶け込んだ感のある風太郎ですが、まだまだ人望は四葉の方が上のようで、クラスメイトの多くは四葉に相談を積極的に持ってきます。

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元々は「風太郎が凄い人だと皆に教えたい」というのが、四葉がクラス委員長に立候補した動機だったというのが私の解釈です(上のカットの場面では、四葉が風太郎をクラス委員長に推薦した理由についてのみ語られていますが、そうして風太郎を推薦する際の強い発言力を得る目的で、彼女はクラス委員長になったものというのが私の見方です)。

しかし、色々な生徒から気軽に相談を持ち掛けられる今の四葉をみていると、結果的に、クラスのまとめ役として適任だったのかもしれませんね。

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風太郎から「頼りにしてるぞ」と言われた四葉は、風太郎の事を凝視していましたね。瞳の部分が大きくクローズアップされており、その瞳の中に映り込んでいるのは現実には風太郎なのでしょうが、一方で、何処となく別人のような雰囲気にもみえるように私は感じました。

その陰影が、ロングスカートを履いている女性のようにも見えると思うんですよね……。これは、風太郎から頼りにされる事を嬉しく思いつつ、母・零奈の事を思い出しているという表現なのかな? と思いました。私の考えすぎかもしれませんが。

三玖

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上でも触れましたが、三玖はパンケーキ屋さんをやりたいようでした。

パン屋さんでのバイトによる鍛錬の成果もあり、三玖は料理をする事にとても前向きになっているようですね。

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また、クラスでの出店となれば当然二乃も一緒に作業するわけで、だから安心と三玖は言います。

この辺りは、やはりまだまだ二乃には及ばないという冷静な自己判断と、同時に二乃に対する三玖の強い信頼の気持ちを持っている様子がみて取れます。

二乃

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二乃はというと、他のクラスメイトの「親戚に招待状を送りたい」という言葉に反応していました。

これは多分、マルオや江端さんを学園祭に招待しようと考えているんでしょうね。

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以前、ケーキ屋店長を見舞いにいった病院の場でのやりとりから、二乃はマルオを家族の一員として大事に考えており、できることなら交流したいと考えているようでした。

しかし、招待されたマルオが学園祭に素直にやってくるのか? また、学園祭にやってきたマルオが風太郎たちとどのように絡むのか……この辺はとても気になります。

さすがにマルオがその招待を無視することはしないと思いますが……絶対にそうとは言い切れないのが、悲しくも切ないところです。

なお、家族の招待という話に関連して言及しますが、上杉らいはは間違いなく学園祭に登場するものと思われます。一方で、勇也(上杉父)が来るかどうかは微妙ですね。

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風太郎は勇也が来るのを嫌がって「来るな」と言いそうな気がしますが、それを意に介さずに勇也がやってくるという展開はいかにもありそうです。

四葉が「本当にやりたいこと」

95話において一花から

四葉は四葉の本当にやりたいことを探しな

とアドバイスを受けた四葉。

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その彼女が96話では激しく風太郎を意識します。

非常に分かりやすい心の動きです。四葉は「本当にやりたいこと」と風太郎の存在を結び付けているのですね。

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自分が風太郎と過去にあった子だと伝えたい、あるいは自分が風太郎を好きだという気持ちを開放したい……などなど、その詳細な流れは色々考えられますが、総じて言える事は「風太郎が好きであるという自分の気持ちについて遠慮しない、諦めない」という思考に四葉が無意識の内に傾きつつあるという事です。

学園祭が無事終わり、後夜祭などの場で四葉が風太郎に告白する、なんて流れもあるかもしれませんね。

悩みを抱える五月

さて、学園祭で盛り上がる風太郎たちですが、その流れの中に一人加わっていないのが五月です。

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何せ、四葉が持ち出した食べ物の話題にも全く食いつきませんでした。これは相当の異常事態と考えていいですよね。

95話に続き、アルバイト/塾の手伝いの話題が出てきますが、この辺もその悩みに絡んでいるのでしょうか?

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そして、96話終盤で描写された「D判定」の模試結果。

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最終ページにおける五月のカット(何らかの用紙を見てショックを受けているような様子)から見て、このD判定の模試結果は五月のものと判断してよさそうです。

五月の背景に映る意味深な「工事中」の文字。これは彼女が抱える不安な気持ちのメタファなのでしょう。

分かりやすく彼女の不安が描かれているからこそ、五月の霧はいずれ必ず晴れるものと確信していますが、そこに至る過程がどのように描かれるのかは楽しみです。

その他、気になったところ

学園祭の日程表記:単純な誤植か、狙ったのか

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96話冒頭で学園祭の日程が書かれたビラが登場するのですが、その日程をよく見ると、

10月11日(土)~10月13日(日)

となっています。言うまでもありませんが、この表記は誤りですね。

しかし、この表記の誤りが単純なミスなのか、それとも狙って入れられたものなのかは判断に迷う所です。

最初は単純なミスなのかなと思いました。しかし、敢えて誤りの表記を入れることで、10月11日が土曜日であるのが正しいのか、それとも10月13日が日曜日であるのが正しいのか、この点をわざと明確にしなかった可能性もあります。

ここを正しい年月日で設定すると、この物語が西暦何年の出来事かがほぼ明確になりますが、そうすると他のイベントの日程などで整合性が取れない可能性が出てきます。

『五等分の花嫁』は、当ブログでも行っている通り、各種の考察の種にされています。そのため、日付の設定ミスなどについてはとても目を付けられやすいといえます。

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具体例では、林間学校の日程と結婚式の日程でしょうか。そのタイトルが「結びの伝説 2000日目」となっている32話では結婚式が執り行われていますが、林間学校の日程から2000日後で結婚式を開催するとして、その曜日は整合性が取れているのか? などの分析や突っ込みが繰り広げられたりします。

こうした現状からみると、西暦何年の話なのかを明確にすることは、書き手からすると一つのリスクになりえます。そのため、西暦何年の物語なのか絞らせないように、敢えて日付に誤植を入れることで撹乱しているのかなと思いました。

なお、この点はかなり分かりやすい誤植なので、意図しないものであったなら、コミックス版では修正が入ると考えられます。もし、コミックス版で修正されなかったとしたら、この誤植は意図的なものと解釈できるかもしれません。

太田川がモデルの背景:東海市芸術劇場

風太郎が他の姉妹と歩いている場面の背景について。これは自身のツイートでも書いたので、そちらを引用します。

建物のモデルは、太田川の「東海市芸術劇場」ですね。

【追記】「問題の種」を示す描写

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読み返していて気づいたのですが、最終ページ一つ前のページのカットと、最終ページのカットはそれぞれ対応しており、これから顕在化する「問題の種」を描写しているのだなと思いました。

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奔走する四葉と相談を受ける姿

最初のカットは、おそらく奔走する四葉の足ですよね。そして、最終ページではまた別の生徒の相談を受ける四葉の姿が描かれています。

これは、多くの相談を四葉が受け過ぎて、オーバーワークになる未来を暗示しているものと思われます。

「困っている人に頼られると断れない」という四葉の長所・短所どちらとも取れる性格が、この局面では悪い方向に影響してしまったのかもしれません。

たこ焼きとパンケーキで割れるクラス

二つ目のカットは屋台で扱う食べ物がたこ焼きとパンケーキにまで絞られ、最終的にどちらになるのかという場面ですね。そして、最終ページでは、最初にたこ焼きを挙げた二乃とパンケーキを挙げた三玖が不安そうにしている姿が描かれています。

おそらく、最終的にどちらを選択するかにおいて、クラス内で一波乱あることを示唆しているのでしょう。私は三玖の提案でクラスの紛争は回避されたと思ってましたが、あれはまだ扱う食べ物の候補を挙げている段階に過ぎなかったのでしたね。たとえば、たこ焼きが良い男子・パンケーキが良い女子で争いが起きるのかもしれません。

D判定の五月

これは、上の項で既に言及した通りです。このカットの対比関係からみても、やはり模試結果は五月のものと推定できるといえます。

まとめ

95話では一花の休学問題に一応の決着をみて安堵したのですが、一難去ってまた一難、風太郎らに新たな試練の時がまたもや訪れるのでは……と96話を読んで感じました。

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風太郎は学業もイベントも両立できる頭の良さ・実行力を持っていますが、他の姉妹は必ずしもそうではないと一花は風太郎に釘を差しました。この辺はさすが長女、素晴らしい判断力ですね。

風太郎はというと、その後のやり取りの中で

心配ないさ、勉強も学園祭もきっとうまくいく

と返答していますが、果たしてその返答は楽観的な予想なのか、それともそこまで実際に風太郎がフォローできているのか……この点は気にかかります。

学園祭が終わると、あとは受験まっしぐらと二乃は語っていました。せっかく赤点圏を脱した各姉妹が、学園祭を終えた後にまたも成績を落とすなどという展開になったら、可哀想すぎて目も当てられません。

かつての勉強一辺倒であった風太郎であれば、こうした問題を抱えることは無かったのですよね。しかし、そこから変化していなければ、今のような充実した日々は送れていないのですから、そこを悔やむというのはやはり「無し」なのでしょう。

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風太郎が成長し、様々な事に全力で取り組むようになったが故の試練、一花が言うところの正念場がおそらく訪れるのでしょう。それをどのように風太郎と五姉妹が乗り越えていくのか。97話以降の展開も見逃せませんね。

以上、『五等分の花嫁』96話「進み続ける日常」の感想・考察でした。


§ 本記事で掲載している画像は(C)春場ねぎ・講談社/『五等分の花嫁』より引用しています。


 

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