あるこじのよしなしごと

東京の片隅で、妻と4歳の息子と三人で暮らしています。 ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、遊んだゲーム、育児について、その他日常などを綴っています。

【公式動画リンク有】『ホラーアクシデンタル』「存在の耐えられない軽さ」「車輪の下」感想

ざっくり言うと

ショートドラマ『ホラーアクシデンタル』の感想。「存在の耐えられない軽さ」「車輪の下」(7〜8話)について。心霊現象ではなく人間の怖さが表現された作品。

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

オムニバスドラマ『ホラーアクシデンタル』7〜8話の感想です。いずれもYouTubeにてオフィシャルに公開されているため、動画についてリンクを張りつつ、各話の感想を書いていきます。

『ホラーアクシデンタル』とは?

2013年にフジテレビで不定期に放送されたテレビドラマです。各話7分程度のショートドラマで、現在もYouTubeでオフィシャルに公開されており、自由に視聴が可能です。

ジャンルはホラーなのですが、いわゆる幽霊や怪奇現象の類は登場しません。描かれるのは、現実でも起こりうる人間の怖さです。なお、大きな音などによって驚かそうとする演出もありません。びっくり系のホラー動画などが苦手な方でも、純粋にストーリーを楽しめる作品だと思います。

以下、公式動画へのリンクと感想を記載しています。短いドラマですので是非視聴して頂いて、その面白さを共有できればと思います。

7話「存在の耐えられない軽さ」

動画リンク

タイトルの由来

チェコスロバキア生まれのフランスの作家、ミラン・クンデラの小説。

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

 

感想

7〜8話は共に女性が災難に巻き込まれる話であるが、その中でこの話はまだ因果応報感が強い。

最初はタクシーの運転手と乗客なのかと思っていたが、かでなれおん演じる女性の言葉の端々から、どうやら風俗嬢とその送迎担当らしいと分かってくる。

こういう職業って、そんなに女性と運転手さんの仲が悪いのだろうか? 漫画の『うなぎ鬼』や『デリバリーシンデレラ』なんかだと、結構仲良さそうだったけどなぁ……。でも、そんな仲悪かったら仕事やりづらいだけだし、この話特有の演出なのかな。

うなぎ鬼 (1) (ヤングキングコミックス)

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デリバリーシンデレラ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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しかし、女性の態度は最悪だ。それを感じるのが降車して、わざわざ運転手に窓を開けさせた上で

調子乗んなよ、クズ

と言って立ち去っていく場面。

その言葉、要る? 運転手さん、怒っていいよ!

しかし、その後に女性は皮肉な事に、異様な雰囲気を持つ客である男から、同じく「クズ」という言葉を浴びせられる事となる。

「存在の耐えられない軽さ」というサブタイトルは、運転手の男性を軽んじた女性が、その客から逆に軽んじられるという点に掛かっているのだろう。

一点、不思議に感じたのは運転手の態度だ。ラストシーンの様子からして、彼は女性を買った男性が異様な人物である事を知っているかのようにみえる。しかし、一介の運転手である彼が、何故そんな事を知っているのか?

彼が情報を得るとすれば、店の運営者からか、あるいは他の嬢からだろう。

しかし、運営者から伝えられるレベルとなるといわゆる出禁扱いの客と考えていいだろう。しかし、男は実際にこの店を利用できているのだから、出禁にはなっていないはず。

とすると一番可能性が高そうなのは、同じく彼を客とした他の嬢から、男の異様さについて語られたというケースだろう。それによって運転手は客の男の異様さを知っていたため、送り届けた女性が散々な目に遭っている様子を想像し、表情が緩んだに違いない。

8話「車輪の下」

動画リンク

タイトルの由来

ドイツ生まれのスイスの作家、ヘルマン・ヘッセの小説。

車輪の下 (集英社文庫)

車輪の下 (集英社文庫)

 

感想

こちらも7話と同じく主人公は女性。そして、彼女には多少のうっかりはあれど、何の罪も無いだけに、7話に比べて後味が悪い話に仕上がっている。

外出から帰宅した彼女は、自身が携帯を無くした事に気付く。部屋の中で無くした可能性に賭けて家の電話から掛けてみると、ベランダ越しに自身の携帯の着信音が聞こえてくる。

外に携帯があるのに気付いた彼女はホッとして携帯を拾うも、自室に戻ってから、落としている間に着信があった相手に掛けてみたところ、「さっきは男の人が出た」と言われ、愕然とする。そしてその刹那、彼女は強烈な不安に駆られる。

最初に帰宅した際はきちんと施錠していた。それでは、今は? そもそも携帯を拾いに行くときは?

嫌な予感は的中し、彼女は室内への闖入者を許してしまう……。

「ちょっとした外出でも鍵はしっかり掛けよう」という内容の、一種の啓発動画めいた作りである。この辺はある種、第6話「百年の孤独」に似た雰囲気を持つ。

最初に自宅に帰ってきた際に施錠する様子がクローズアップされている場面を見ただけで、侵入者が絡む可能性を想起した視聴者は多いだろう。その後、携帯を拾った帰りでは鍵を開閉する様子が見られない部分を見て、その予想は確信に変わったに違いない。

ここでは、侵入者の男にフォーカスしてみたい。彼はどういった行動を取ったのか?

まず、帰宅した彼女は駐輪場で携帯を落としてしまった筈だ。サブタイトルの「車輪の下」とは、おそらく彼女が最初に携帯を落とした箇所を示唆しているのだろう。

男は彼女が携帯を落としたのを見て、すぐさま拾った事だろう。そして、彼女の友人からの電話に出て、少しやり取りをして切る。その後、彼女自身の家の電話からの着信を認めると、携帯を道路に放置して身を隠したに違いない。その後、彼女が携帯を探しに降りてくると予想した男は、彼女が施錠を怠る可能性に思いつき、彼女と入れ違いに自室に入る。

男の行動を整理すると、こうなる筈である。しかし、ここで2点の疑問が生じる。一つ目は、男は彼女の自宅からの電話には出なかったのは何故かという点。もう一つは、男は何故、携帯の落とし主である彼女の部屋番号が分かったのかという点だ。

彼女の部屋番号については、ベランダから顔を覗かせた彼女の様子を認め、その位置から推測した可能性もある。しかし、もしそうだとすると、そこから部屋に侵入して彼女を襲うと男が計画を立てるまでの判断があまりにも早過ぎる。

この点は、こう考えた方がすっきりする。つまり、彼女について男は予め知っており、もともと狙っていたのだ。そう考えられる大きな理由は、彼女の自宅からの電話には出なかった点だ。

男は彼女の家電の番号を既に知っていた、だから出なかったのだ。友人からの電話には出て、本人からの電話には出ないと対応を変えられた理由はこれしかないだろう。

つまり、男は既に彼女について下調べを済ませていたのだ。だから、当然彼女の部屋番号も知っていたし、この機会に彼女の部屋に侵入するという判断も速やかに行えたのだ。

そもそも、彼女は男によって尾けられていたのだろう。そんな際に携帯を落としてしまったのは不運以外の何物でもない。ちょっとした外出でも油断せずに鍵さえ掛けていたなら、男の凶行は防げていたのだが……。

ちなみに、携帯の着信履歴についてみると、女の子が自宅から掛けたはずなのにその着信履歴が見つからないという謎がある。これについては①男が消した ②編集ミスの二通りが考えられるが、おそらく②だろう。①の場合、第三者が携帯に関与している事実をわざわざ彼女に知らせるようなもの。男がそんな事をするのはデメリットしかない。興ざめな結論だが、映像作成時の瑕疵と考えるのが妥当だろう。

 

以上、ドラマ『ホラーアクシデンタル』7〜8話の感想でした。