あるこじのよしなしごと

東京の片隅で、妻と4歳の息子と三人で暮らしています。 ボードゲーム、読んだ漫画・本、観た映画・テレビ、遊んだゲーム、育児について、その他日常などを綴っています。

漫画『笑ゥせぇるすまん』第36話「超豪華カーション」感想

ざっくり言うと

お客様は車の駐車場がなく困っているサラリーマン。喪黒さんは彼に、車専用のマンションこと"カーション"を紹介する。喪黒さんはお客様に、決して人間は泊まってはいけないと例によって忠告をするが……。

こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。

漫画『笑ゥせぇるすまん』第36話の感想です。
感想の性質上、展開やオチなどに多々言及することになるため、ネタバレ多数になります。ご注意下さい。
他方、あらすじの紹介が主眼ではないので、話の枝葉末節は記載しないつもりです。そのため、本記事を読むだけでは物語の内容は分からない可能性があることも、ご了承下さい。

第36話「超豪華カーション」

お客様について

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サラリーマンの泊場梨雄です。名前の由来は、車を停める場所が無いことから。単純で分かりやすいです(笑)

泊場は駐車禁止の巡回が来るスケジュールを把握しており、その網の目をかいくぐるように車を街中のあちこちに停めては、移動するという日々を送っていました。聞いているだけで精神が疲弊しそうな行為ですが…… 

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泊場がそんな事をしているのは、契約していた駐車場の料金が急激に跳ね上がったことが原因でした。街中を駐車場代わりに使うというのは、駐車場の契約を打ち切らざるを得なかった泊場の苦肉の策だったようですね。

喪黒さんは泊場の話に「よくあることです」と相槌を打っていますが、そもそもこの頃の駐車場料金はどのくらいだったのでしょうか?

1991〜1992年の駐車場費用は?

本エピソードが掲載された正確な時期は分かりませんでした。ただ、本作の連載開始からのエピソード数をカウントして推測すると、おそらく1991年末か1992年初に掲載されたものと思われます。

バブル時期の駐車場の月額については、残念ながら明確な情報が見つかりませんでした。ただ、以下のような記述をよく見かけました。

都内ならワンルームの家賃程度。下手したらワンルームよりも高い。

およそ家賃と同額となれば、それは相当きついでしょうね。ただ、泊場の言うような「契約期間の途中から倍になる」ということが本当にあったのかは分かりませんが……いずれにせよ、駐車場の費用負担が今よりも大きかったのは間違いなさそうです。

ちなみに2019年現在の東京23区における月極駐車場の費用相場はおよそ20,000〜50,000円程度のようですね。区によって大分値段が異なり、高額なのが中央区や港区、逆に安いのが荒川区・葛飾区・練馬区のようです。正直、これでも充分高いと思いますが。

バブル崩壊後でも地価は高い?

ところで、この1991年から1992年といえば、ちょうどバブル景気が崩壊したと言われる頃と重なります。

バブル崩壊についてきちんと調べてみると1990年3月27日に大蔵省(現在の財務省)から通達された「土地関連融資の抑制について」(いわゆる"総量規制")によって、金融機関の不動産向け融資についてストップが掛かった事が契機とされています。また、内閣府景気基準日付でのバブル崩壊期間は、1991年(平成3年)3月から1993年(平成5年)10月とされています。

とすると、本エピソードが掲載された1991年末から1992年初は既にバブル崩壊後とみられます。それなのに駐車場料金が高いのは何故なんだろうと不思議に思いました。

上の記事で地価の推移を見させて頂いたのですが、1992年(平成4年)は地価がピーク時より下がり始めている様子は見られるものの、まだ地価が頂点にあった頃からあまり下がっていないのが分かります。地価がぐーんと下がっていくのは、実際には1993〜1995年(平成5〜7年)頃のようです。

バブル崩壊というと急激に物価が下がったような印象を持っていましたが、かといって総量規制が通達された翌日とかに一気に下落する訳がないんですよね。当たり前といえば当たり前ですが、当時まだ子どもだった自分はバブルに関して実感がなく、その辺の実態がよく分かっていませんでした。

超豪華カーション

さて、駐車場に困っているという泊場に対し、喪黒さんはある施設を紹介します。

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それが車の専用マンションこと、カーションでした。駐車場所の確保という面だけでなく、サービスも充実しています。

個人的に良いなと思ったのが電話一本でクリーニングの手配までできるところ! 自分の手で洗いたいという人には不要でしょうが、私はものぐさなので洗ってもらえるなら頼みたいです(笑) また、自分で洗いたいという人のために素敵な洗車スペースもきっと準備されていることでしょう。

至れり尽くせりの施設ですが、費用については喪黒さんサービス安定の無料です。詐欺にでもあってるんじゃないかという気がしてきますが(というか、実際は喪黒さんによって詐欺より酷い目に遭うんですが)、忠告さえ守れば本当に無料なのだから良いですよね。

では、その守るべき忠告とは?

ここは車のマンションですから泊まれるのは車だけです。ドライバーはもちろん他の人間も泊まることは一切禁止です

との事でした。

喪黒さんの忠告は、守れそうもないものと守りやすいものの差が激しい印象ですが、この忠告は比較的守りやすい部類ですよね。自分の欲とかとの関連性が薄く、単なる利用規約に近いです。

ちなみに、車専用のマンションである"カーション"。同種のサービスが現実にあるのかを調べてみましたが、私が調べた範囲では、さすがに見つかりませんでした。

まあ、どこまでいっても駐車場ですからね……そこにわざわざ金を掛けられるような富裕層であれば、自宅のガレージを充実させればいい話です。

破られる忠告とシュールなオチ

喪黒さんに感謝してカーションを利用する泊場ですが、やっぱり喪黒さんの忠告を破ってしまいます。

カーションに停めた車の中の居心地が良くて、ついつい寝過ごしてしまう……というような感じで破るのかなと思っていたのですが

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実際は、女性を連れ込んで一泊してました。この女性はカーションがあまりに豪華なので泊場が資産を持っていると思い、それに目が眩んで一夜を過ごしてしまうんですね。泊場はカーションの豪華さを利用して、彼女と関係を持つわけです。なかなかに悪質ですね。

当然、忠告を破ったということで喪黒さんは泊場にドーン!とやります。そのペナルティは、どういう理屈かよく分かりませんが、泊場の本来の自宅(狭い古アパートの一室)を強引に車の駐車場所にするというものでした。

ちょっと言葉だとイメージが伝わりづらいので、実際に書籍等で画を確認頂ければと思うのですが、安普請で狭いワンルームのど真ん中に車が鎮座しているというのはなかなかにシュールな光景です。

泊場はどこで生活してるのかとか、そもそもアパートの二階にある自宅にどう入れたのかとか、出庫はどうするのかとか、このオチの突っ込みどころは満載です。力技のラストといえますね。

ちなみにアニメ版では泊場が室内で水を垂れ流しながら一種異様な様子で洗車をしている姿が描写されているので、実際のところ、泊場は精神に異常をきたしているのかもしれません。生き死にに関わるペナルティではないので、まだ軽い方かなと思っていましたが、泊場の精神状態如何によっては、結構エグいラストなのかもしれませんね……。

なお、このエピソードは中公文庫版コミックス2巻における最後の話となります。次話からは中公文庫版コミックス3巻の内容となります。

以上、『笑ゥせぇるすまん』第36話の感想でした。


§ 本記事で掲載している画像は藤子不二雄A『笑ゥせぇるすまん』より引用しています。


笑ゥせぇるすまん (2) (中公文庫―コミック版)

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