小麦アレルギーを持つ4歳7ヶ月の息子について、経口負荷試験を病院で実施する。当日の準備と試験時の流れ、また試験結果に基づく今後の対応についてを記す。
こんにちは、あるこじ(@arukoji_tb)です。
小麦アレルギーの息子が経口負荷試験を実施しました。当日の様子と今後についての記録です。同じような立場の方の参考になれば幸いです。
本記事の内容を参考として、独自に経口負荷試験や経口免疫療法を行うのは絶対にやめて下さい。経口負荷試験を実施する場合は、必ず掛かりつけの病院や担当医等に相談の上、専門の医療機関と共に推進するものとして下さい。
なお、経口負荷試験の実施が決定した際の記事へのリンクを下記に張っておきます。経口負荷試験とはどんな物かについても、こちらの記事で説明を書いていますので、興味のある方はご覧下さい。
息子の状況について
息子は生まれて9ヶ月の際に与えたベビーフードに含まれていた小麦成分に反応し、アナフィラキシーを起こしました。そのまま救急車で病院に運び込まれ、注射・点滴で落ち着きました。
その後の検査で、小麦アレルギーのクラス4(より詳細に書くと、小麦[実]は35.80、ω-5グリアジンは25.90)であることが分かりました。以後、4歳半の現在に至るまで完全に小麦を除去しています。
ちなみに同時に卵のアレルギーもあった(卵白:クラス3/卵黄:クラス2)のですが、こちらは3歳になった際に加熱しての摂食は問題ないと診断され、今では生で食べさえしなければ何ら問題ない状態です。
先日、アレルギー科を受診した際に経口負荷試験を実施可能な旨、お医者様よりお話があり、この度、試験を実施しました。以下のレポはその際の記録となります。
経口負荷試験 当日の流れ
事前の準備
同意書の記述
試験実施について問題ない旨の同意書を書きました。用紙は試験実施が決まった際に病院で受領済でしたので、そちらに住所や親権者の氏名などを書いただけです。同意書は試験当日に病院に持参しました。
試験で使う食品の準備
息子は小麦粉アレルギーのため、試験ではうどんを食べさせる事になります。
病院によって違いがあるのか分かりませんが、今回試験を実施した病院では、対象の食品を家庭で準備して持参するように決まっていたので、自宅でうどんを茹でて、タッパーに入れて持って行くこととなりました。
先生からは「負荷試験が上手くいった場合は自宅での摂取を断続的に行う事になるので、簡単に手に入る物にしたほうがよい」と予め言われていたので、ごく普通に近所のスーパーで売っているうどんを用いました。
今回の試験では合計でおよそ20g弱を使用するとの事を聞いていました。その上で当日は、うどん一玉(180gの生麺タイプ)を茹でて、およそ三分の一ほどをタッパーに詰めました。
グラムにすると約60gなので、大分多めの分量です。あまりぴったりにし過ぎて足りなくなるのが怖かったのもあって、それくらいの量を持って行きました。
子供の暇つぶしの遊具の準備
今回の試験は午前8時半に病院に行き、何事も無ければ16時頃に退院というタイムスケジュールでした。
かなりの長丁場ですが、これは対象の食品(最初は0.1g)を少し食べてから時間をおいて、特に症状が出なければ次のステップへ進むという試験のためです。
病院で待機している間、息子は間違いなく退屈する筈……そう考えて、時間を潰せそうな玩具(カードゲーム、トランプ、おもちゃなど)を持参しました。
病院での過ごし方
当日は妻との二人体制で行きました。
子どもにアレルギー反応が出ないかは保護者がチェックする(何かあれば病院側に伝える)必要があるので、一人だとなかなかに大変だと思います。無理なら仕方ないですが、可能であれば複数人で行くことをお勧めします。
ルートの確保
病院で最初にやるのが、点滴等を投与するためのルートの確保。要するに注射ですね。
検査を始めて、アナフィラキシー等の症状が出てからルートを確保しようとするとバタバタするので、予め点滴を即座に行えるような準備をしておく訳です。
まあ、注射が好きな子はいない訳で、息子も泣き喚いていました。が、何とか完了。
実食
不測の事態に対応できるようルートを確保したら、いよいよアレルギー食品を食べる事になります。最初は0.1gからです。計測は病院の方が実施してくれます。
家で茹でて持参したうどんを病院の方に渡したのですが……ここで、一つミスをしていた事が判明。他の病院ではどうか分かりませんが、今回の試験では味付けは家でしてくる必要があったようでした……。
てっきり病院で味付け等をするのかと思い込んでました。が、事前に配布されたプリントには確かに「味付けは自宅でしてきて下さい」の文字がありました。完全に見落としてました。
最初の0.1g、そして二回目の1gのときは少な過ぎて味が無くても、そう変わらんだろうという事で味付け無しで食べてもらいました。そして、上の二回の検査で症状が出ないかの様子見をする間に、保護者一人が病院を出て麺つゆを調達してきました。そのため、三回目(5g)以降は麺つゆで味付けしたうどんを食べさせる事ができました(笑)
食べさせてからは、症状が出ないかをしばらく様子見します。今回は幸運なことに食べ始めて30分以内に症状が出ることは一度も無かったため、0.1g→1g→5g→10gの全ステップを実施する事ができました。
昼食(小麦除去食)
負荷試験は順調に推移したので、12時半頃に昼食の時間になりました。こちらは病院側で用意されたメニューを食べます。このメニューでは小麦が除去されています。
待機
昼食後はおよそ4時間ほどの待機となりました。事前準備の項でも書いていましたが、絶対に暇すると思い、家で遊んでいるトランプやカードゲームを持って行きました。
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上のココタキというゲームが息子のお気に入りなので持って行ったのですが、今回負荷試験を行った病院には、診療・入院のために時を過ごす子ども達のためのゲームが用意されていました。そのため、当日はそちらで遊ぶことにしました。
ちなみにどんな物があったかというと、
- 虹色のヘビ(海外カードゲーム)
- ニムト(海外カードゲーム)
- ワードバスケット(国産カードゲーム)
- 犯人は踊る(国産カードゲーム)
こんな感じでした。私は趣味がボードゲーム/カードゲームという事もあってどれも知っているのですが、いずれも楽しめる名作揃いです。
なお、海外のカードゲームと言っても、上のゲームは言語依存度が少ない(=カードに英語が使われておらず、ルールさえ分かれば日本語しか分からなくても楽しめる)ので、子どもでも遊ぶのは決して難しくありません(多少、各ゲームの難しさそれ自体に伴う対象年齢は気にする必要がありますが)。
もしかしたらボードゲーム/カードゲーム好きな方が、この病院の小児科の先生またはスタッフさんの中にいるのかも? と感じさせられるくらい、納得のいくラインナップでした。
上のゲーム類の中から、4歳の息子でも遊ぶことができる『虹色のヘビ』を拝借して、しばし時間を過ごします。
ゲームに興じる息子。ちなみにこれは「蛇のポーズ」らしいです(笑)
なお、写真の右手をよく見ると、ルートが映っていますね。最初は左手に挿入する予定だったのですが、息子が激しく抵抗する内に左手への挿入が困難となったため、右手でルートを確保したそうです(汗)
さて、このまま症状が出なければ、何事もなく負荷試験は成功! だったのですが……。
発症、対処
15時過ぎ頃に片方の目を息子が痒がり始めました。その痒みは次第に両目になり、その後じんましんも出始めました。更に、咳も出始めました。残念ながら、アレルギー反応が出たようです。
病院側に伝えると、じんましんよりも咳の方の対処を先にすることになり、吸入を実施しました。
吸入をしていると咳が治ってくるのと同時に、じんましんや痒みも時間の経過のためか、和らいできていました。このまま何もしなくても回復しそうでしたが、大事をとって点滴も行いました。
退院
吸入と点滴を一時間ほどで終えたところで、この日は退院となりました。なお、この夜はお風呂には入らず、身体を洗うのはシャワー等にする旨を伝えられました。
まとめると、息子は16.1gのうどんを摂取したところ、即座には症状が出ませんでしたが、数時間後に軽度の症状がみられるという試験結果となりました。
まあ、何も症状が出ないのが一番嬉しいのはそうなのですが、
- ある程度食べても、過去のようなアナフィラキシーは起きなかったこと
- 試験が重篤な事故等に繋がらなかったこと
これらだけでも大分良かったなと思いました。もし強くアレルギー反応が出れば、そのまま入院になるケースも想定されたので、当日自宅に無事帰れるだけでも喜ばしかったです。
なお、翌日は息子は何もなければ保育園に登園する予定となっていました。先生にそのことを一応確認し、登園は問題ない旨を告げられたので、翌日普段通り登園することを保育園にも連絡を入れました。
もともと、試験の数日後にはアレルギー科を受診する予定となっていたので、今後についてはその場で話しましょうということになり、この日は帰宅しました。
帰宅後も息子の様子は特に気になる部分もなく、また翌日の保育園で出た便が下痢気味になっているなどの変化もありませんでした。これといって、強い症状は出なかったとみて良さそうです。
負荷試験 以後について
負荷試験後の受診
試験から数日後の受診にて、息子の試験結果と今後に関する話を伺いました。この日は妻は都合付かず、私と息子とで受診しました。
今後の進め方について
結論から言うと、今回の負荷試験ではアレルギー反応こそ出たものの、少量であれば食べられる事が確認できたので、今後は自宅で経口免疫療法を進めて良いとの診断でした。
今回の試験内容を振り返ってみると、トータルで16.1g食べられたのですが、最後の10gを食べた時に反応が出たと考えるなら、念のため5gから試せばまあ安心でしょうとの話だったので、とりあえず家では5gから始めてみることを決めました。
進める際は、特に食べてもアレルギーの反応が出なかった場合に、およそ50%ずつ増やしていくようにとの話でした。具体的には5g→7g→10g→15g→20g→30g→40g→60g→80g→……という感じですね。
経口免疫療法を進める際に気をつけること
2〜3日に一回のペースで行うようにという説明を妻といた時には聞いたのですが、実際は別に毎日やっても問題はないとも先生からは言われました。
それなら、何で2〜3日に一回って話になったのですか? と尋ねたところ、毎日やっても大丈夫と言うと、毎日やらなきゃいけないとプレッシャーに感じるお母さんが多いからと先生は仰っていました。
それなら、俺は一体どう思われているのか……などと考えないでもなかったが(^_^;) まあ、変に凝り固まって考えないタイプと思われているのかな。この辺、深く考えるのはやめよう。
この他の注意点としては、以下のような事を聞きました。
- 1日に二回やるとアレルギー反応が出る確率が飛躍的に上がるので、1日にやるのは必ず一回までにすること。
- 風邪気味など、当人が本調子じゃない時はアレルギー反応が出やすくなるので、そういう日はやらないこと。
経口免疫療法は、水泳で泳げない子が泳げる距離を伸ばす訓練をイメージすると分かりやすいとも言われました。
全く泳げない子に、いきなり25m泳げと言っても無茶なわけで、最初は5mだけ泳いでみて、うまく泳げたらまた距離を少し伸ばして……というように、少しずつ泳げる距離を増やしていきますよね。それと同じだと。また、風邪気味の時に泳ぐ訓練をさせても、体力が落ちているから上手くいかないし、事故に繋がる可能性も高くなる。確かに、似たような感じだなと思いました。
自宅で食べさせてみる
受診後、どうしてもうどんをまた食べたいと息子が言うので、一番セーフティと思える5gだけ茹でて与えることに。もちろん、麺つゆでの味付けも忘れずに行いました(笑)
結果、5gであれば全く反応は出ませんでした!
病院で試験した時には何も問題なかった量とはいえ、最初の一回はやはり少し緊張しました。病院で点滴をいつでも打てる状態と違って、自宅で何か起きても、万全の体制では無いですからね(エピペンとかはあるけど)。
まとめ
以上が傾向負荷試験当日の流れから、その後の進め方についてとなります。
とりあえず今の息子はうどん5gであれば、アナフィラキシーやその他アレルギー反応無しで食べられることが確認できて、安心しました。ここを足掛かりにして、焦らずじっくりと経口免疫療法を進めていこうと思います。
なお、冒頭で書いた事の繰り返しになりますが、経口負荷試験ならびに経口免疫療法を行う際には、必ず掛かりつけの病院や担当医等に相談の上、専門の医療機関と共に推進するものとして下さい。独自に進めるのは大変危険なものとご認識下さい。
以上、小麦アレルギーの経口負荷試験に関するレポートでした。今後、自宅での経口免疫療法については、その進み具合に応じて、またレポートを書こうと思います。
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